いわき市の市立磐城総合共立病院の過去から現在までの経営成績を、確認すべく原典にあたってみました。第1次情報は、市立病院事業決算書です。さらに言えばそれが議会承認されたものが最終版ですので、過去10年分の議会議事録をひっくり返すことになりました。

一般的には決算は、経常利益もしくは最終利益だけで、収支が黒字か赤字か判断されていますが、私の注目しているのは、本来医療行為からの収入である医業収益から、本来の医療行為にかかるコストである医業費用を差し引いた医業純損益です。資料収集には労力がかかったものの、集計自体には非常にシンプルで、以下の結果になりました。
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毎年継続して、数億円から29億円の医業純損失(医業収益から医業費用を差し引いたもの)を出し、直近10年間だけでも約200億円の累積損失を出しています。この累積損失は、いわき市の一般会計から補填されています(一般会計からの繰入れ、といいます)。ひとつの医学部新設に必要な資金に匹敵するくらいの金額が、出血して止まらないといってもいいかもしれません。
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現在の市立総合磐城共立病院建物自体は、古く償却も進んでいますし(その分減価償却負担が軽くなる)、競合となる大病院(日本赤十字病院や国立大学病院、済生会、また大手民間病院チェーン)が医療圏内にひとつもおらず、独占状態です。さらには市民の認知度も高く、立地もいわき市のほぼ簿真ん中に位置しており申し分ありません。さらには医療現場の医師・医療スタッフの地域医療に貢献しているという意識は高いと思います。それなのに何故、毎年継続して医業純損失が計上されるのか。

ひとことでいうなら、政策医療に限られた医療資源が投入されているためです。病院全体に十分な医師数がいないにも関わらず、より患者数の多い医療領域に医師が割り当てられていないということに尽きます。病院の収益の主要なドライバーは医師数ですが、平成17年度には140人を超えていた常勤医師数が、直近では110人あまりまで、30名近く流出してしまっています。医師の勤務先として魅力的な病院となるべく、病院経営をしていかなければなりません。 
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