カジキグルメサミット2013が、小名浜マリンパークで開催されていました。1匹のカジキ全身がごろんと、そのまま展示されており、直接手に触れることができるため、その大きさを実感しました。

常磐沖は、暖流と寒流が交わる潮目の海として多くのプランクトンが発生します。このプランクトンを食べる小魚を求め多くのカジキが集まることから、世界的にも有名なカジキの漁揚として、平成10年からビルフィッシュトーナメントが行われてきました。さらに、これまで「カジキグルメサミット」や「ビルフィッシュトーナメント」「カジキ料理コンテスト」等が開催されてきました。

今回も10店以上の飲食店から出品され、お店オリジナルの創作「カジキ料理」が準備され、店舗・屋台等で試験販売されていました。これらはカジキグルメマップという冊子で紹介されています。これが、いわきの新しい食文化となり、全国的な地名度が向上し、さらには観光復興、地域経済発展となればとの思いを込めてのイベントです。

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いわき市には久之浜、四倉、沼之内、豊間、江名、中之作、小名浜、勿来の8つの「港」があります。そのうち国の重要港湾に指定されている小名浜港は、物流港湾として重要な役割を担うとともに、豊富な水揚げを誇っています。中之作港は、特にカツオの水揚量が全国有数の港として知られています。漁業には、現在でも約600名の方々が従事しています(産業別・年齢別就業者数 平成22年)。なおいわき市漁業の市内総生産は6,658百万円で、いわき市全体の0.6%です(産業別市内総生産 平成21年度)。
 
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魚種別にみると、サンマとカツオだけで全体の約6割を占めます。さらサバ・イワシの光物を加えると3/4を超え、沿岸魚種よりも、回遊魚種が主であることがわかります(上記と同じく、平成22年1-12月のデータに基づいて作成)。

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このように見てくると、カジキはカツオという魚種の一部であり、必ずしも(サンマや普通のカツオ等に比べて)いわき名産でないことも分ってきます。ではなぜ、「カジキ」なのか?なぜ「サンマ」や「カツオ」でないのか?という疑問が湧いてきます。過去の経緯は分らないのですが、「サンマ」や「カツオ」は普及しすぎていて選定対象としてふさわしくないという判断が働いたのでしょうか。仮にカジキ料理が美味しい!ということで大ブレイクしても、いわき経済にもたらす影響の裾野は、限定的なのではないかと心配しています。

商店街再生の罠という本には、B級グルメも含めた地域おこしの問題点を踏まえて、以下の3つの戦略が提案されています。一つ目は、商店街の再生は顧客を増やすことが基本で、人のつながり、コミュニティを生かした顧客づくりを進める協働経営、2つ目は、地域経済の循環率を高める第一次産業との共生、3つ目が趣味を媒介にした地域コミュニティを育成することを挙げています。これらが、カジキ料理にあてはまるのか。イベント開催のための予算も、見方によっては、多額の補助金を投入し続けられると、事業者は自立する意欲と能力を知らず知らずのうちに失い、補助金への依存度がかえって高まるとのおそれもあります。一般顧客の出足としては大盛況のイベントでしたが、何を短期的・中期的な数値目標にされているのか、私には理解が及びませんでした。ひょっとするとイベントの盛り上がり自体が、目標なのかもしれません。

<商店街再生の罠は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/31995056.html
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天気にも恵まれ、一般市民向けの集客イベントとしては、大成功です。海風に吹かれながらボードウォークを散歩でき、美味しいモノを食べることは、日常生活の癒やしですね。イベント企画者・運営者に感謝したいと思います。

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