本日9/4に「震災後の土地利用に関する懇談会」が、市役所議会棟で開催されました。これは市街化区域と市街化調整区域(以下、調区)の区域区分の指定の見直し(いわゆる、「線引き」の見直し)等について、学識・経済・農業・不動産などの関係者の意見を伺い、今後の取組みに反映させることを目的としたものです。

市内では、双相地区からの避難民23,000人の流入もあり、住宅用地(及び工業用地も)が逼迫しています。そのため供給が需要に追いつかない状態で、家を新築しようにも敷地を買い求めることができない状態が続いています。そのため、原則として家を建てられない市街化調整区域を、市街化区域に編入して宅地化してほしいという要望が開催の背景にあります。

検討テーマは、下記の3つです。
1. 市街化区域内の未利用地の有効活用
2. 市街化調整区域における土地利用
3. 町外コミュニティへの対応

出席者は、以下の方々です。市役所都市建設部長を司会進行役とし、市からの説明は都市建設部の職員が行いました。
・いわき商工会議所 会頭 小野栄重氏
・いわき市農業委員会 会長 鈴木理氏
・福島県宅地建物取引業協会 いわき支部長 佐藤光代氏
・福島県建築士会 いわき支部 岡田かおり氏
・福島工業高等専門学校 建設環境工学科 准教授 斎藤充弘氏
・福島県土木部 都市計画課長 鈴木典弘氏
・福島県企画調整部 生活拠点課 主幹兼副課長 国分守氏
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<データの確認>
いわき市の総面積:123,135ha
うち、都市計画区域外:85,518ha(69.5%)、都市計画区域:37,617ha(30.5%)
うち、市街化調整区域:27,569ha(73.3%)、市街化区域:10,048ha(26.7%)

都市計画法の定め:
・市街化区域と市街化調整区域との区域区分(線引き)は、無秩序な市街化を防止し、都市の発展を計画的に誘導するため、県が定める都市計画
・概ね5年ごとに実施する都市計画基礎調査の結果等に基づき、見直しを行う
・市街化区域とは、計画的に市街化を図る区域であり、市街化調整区域とは、原則的に市街化を抑制する区域

いわき市の場合、当初指定が昭和45年で、以後5回の変更を経て現在に至っています。最後の5回目が平成16年であり、本来であれば見直しがあってしかるべきタイミングですが、大震災等により、線引き見直しが中断しています。
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以下、私のメモをもとに発言内容の抄録です。なお正確ではありませんので、正式には市の公表資料をご参照下さい。
全体討議
(小野)避難されている12町村23,731人、うち町外コミュニティ希望の4町で12,931人が、いわき市に流入している。これからさらにいわき市への引っ越しを希望されている方がいることを考えると、いわき市の将来人口は増加するという前提で、都市計画があるべき
(斎藤)生活環境や交通インフラ等の整備は、長期的視点での都市計画として取り扱うべき
(小野)双相地区住民は、喜んで市内に受入れるべき。逆の立場だったらどうか考えれば自明だ。住民同士のあつれきや、市民の住宅取得困難、医療サービスの低下はあっても、長期的ビジョンを持ち解決することは可能だ。現在は平時でなく、非常事態である。震災で亡くなった英霊達に報いるためにも、線引き見直しにあたって再生のモデル都市となるような姿勢で取り組まなくてはならない
(鈴木(農))市街化区域内の農地から宅地への転用許可申請が150件を超えた。
(佐藤)住宅取得希望者に対し、供給が全く追いつかない。現存空屋だけでなく取壊予定の家屋も直して住んでいる。これでも対応しきれず、いわき市外に流出してしまった方もいる。
(岡田)平成23年度の建築確認件数は1,200件、平成24年度は2,000件で5割増しだ。ここでも住民票を移さない相双地区の方がおり、市民とのあつれきを生んでいる。受入れるのは大前提だが、市民の声も聞いて欲しい
(国分)県としては閉鎖された仮の街を造る計画はない。県の整備する災害公営住宅は分散型を想定している。
(鈴木(県))市街化区域内の未利用地の有効活用を優先することを考えている。

テーマ1. 市街化区域内の未利用地の有効活用
(執行部)市街化区域内の未利用地が発生する要因としては、都市インフラ未整備や所有者の営農希望、現況が山林である等がある。市道は幹線の整備が優先されるので、必ずしも市街化区域全域まで行き渡っていない
(佐藤)行き止まり道路の買い上げ等を検討してほしい
(執行部)市街化区域内の未利用地が発生する要因を、地区ごとに調査する必要がある
(斎藤)保全すべき農地は、地域にとっての財産という見方もある
(鈴木)農地・山林開発にあたり、自前でのインフラ整備負担は重いので、未開発になっているところがある

テーマ2. 市街化調整区域における土地利用
(執行部)平成18年の都市計画法の改正によって、以前は認められていた調整区域内での大規模宅地開発が原則として認められなくなった
(小野)現在は非常事態なのだから、双相地区からの避難民の住宅需要に対し、調整区域を市街化区域に編入して、宅地供給すべき。北茨城・双相を入れれば40万人都市構想も見えてくる。市街化区域内の未利用地の有効活用と、調整区域の線引き見直しは同レベルで議論すべき
(佐藤)使い勝手の悪い市街化区域から調整区域への線引き見直しがあってよい。また市街化区域隣接の調整区域は、市街地として形成すべきであれば市街化区域に線引き見直しすべき
(鈴木(農))農地保全は守るが、この非常時においては総合判断すべきだ。個人的意見だが、鹿島街道沿いの市街化調整区域農地は、一定のインフラが整備されており、利活用・開発すべきではないか
(岡田)草木台や若葉台はすでにインフラ整備済みであり、公共下水に接続されているところもあるが、なぜか調整区域のままだ。どうして市街化区域に線引き見直ししないのか
(執行部)市街化区域の編入については、面積要件や市街地隣接要件等があって、これまでやってこなかったが、見直しも検討する
(鈴木(農))集落接続農地は、一般住宅敷地として転用を認める方針と聞いている。これからは農業委員会と都市計画課との密接な連携が必要だ。ただ農業者年金は、農地を手放すと支給停止になってしまう仕組みになっており、特例等の対応が必要
(鈴木(県))以前は、調整区域の開発許可基準に郊外型住宅団地があったが、現在は要件が厳格になり認められない。ただ調整区域内でも地区計画制度を活用すれば、住宅開発は可能。それが過疎地での人口誘導やまちづくり計画の手法として利用できる

テーマ3. 町外コミュニティへの対応
(国分)県施行の災害公営住宅は県全体で3,700戸、いわき市に1,800戸を建設予定。小名浜神白200戸、常磐桜が丘50戸を先行して整備する。受け入れ市の都市計画に影響を与えないよう配慮し、現在は市街化区域内の未利用地に限定しているが、まとまった土地は稀少なため、もし調整区域にも建設できるとありがたい。現在の計画戸数は、避難者からのアンケートに基づいて算定しているが、今後いわき市への入居希望者は増える可能性が高い
(斎藤)分散型といっても、インフラが整備されているところでなくてはならない。例えば、震災事業の土地区画整理事業地区内の宅地も候補地とすべき
(小野)いわき市への移住希望者が増えれば、現在予定されている集合住宅のみでは不足する。線引きの見直しは、市と県が一緒になってやらねばならない。国の出先機関が建設されれば、住宅はそれに付随して必要になる。第2つくば構想として、市・県・国の3位一体となって40年後見据えたモデル都市づくりを制度設計してほしい。
(鈴木(農))優良農地の確保が、農業委員会の役割である。住宅建設は、市街化区域内の未利用地+市街化区域隣接の調整区域を優先して欲しい。現在の仮設住宅周辺も、避難民にとって住み慣れた環境なので候補となるのではないか
(佐藤)避難民のアンケート実施から、日々環境は変化している。医療や職業に困っている人達が存在するが、それぞれ新しい生活に向き合っている。そういう人達が諦めて市外に出て行ってしまわないようにしてほしい
(岡田)豊間のワークショップに参加したが、若者世帯の参加は少なく、ほとんどが高齢者世帯だった。内郷の雇用促進住宅等に住んでいる若者世帯は、病院・道路・買い物の利便性を享受してしまった以上、豊間に戻りたがらない。高齢者が豊間に建設される災害公営住宅に入居できたとして、その後亡くなったら誰が住むのだろうか。また住民のほとんどが集合住宅に住んだことがなく、駐車スペースの制限や壁からの生活音がとても気になる。
(鈴木(県))市街化区域隣接状態やインフラの整備状況も踏まえて、総合的に線引きの見直しを行う
(国分)双相4町といわき市とで、公営住宅や住宅政策のあり方について意見すりあわせしていきたい。コミュニティ復活交付金は、ハード事業(周辺道路の改良や上下水道の基盤整備)もソフト事業(地域交流)も使える。小名浜下神白では、県道・市道の改良工事や地域集会所等を整備予定だ

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当初予定していた2時間を超過しての懇談会となりました。懇談会の形はとっていますが、線引きの見直しの担当部局である、福島県及び市の都市計画課を交えての意見交換は、非常に意義のあることだと思います。総じていえば、平成27年度を目処に市街化調整区域の見直し(市街化区域の拡大)は避けられない、と思います。双相地区住民を受入れる以上、すべて取り込んで、復興の再生モデル都市になるという意気込みでなければ、震災で亡くなった方に申し訳が立ちませんし、藻谷浩介氏からいわきへの提案もそのことを指しています。

<藻谷浩介氏からいわきへの提案は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/30993813.html

当日は、NHK、福島テレビ、テレビユー福島、福島中央テレビの4社のカメラが入り、関心の高さを感じました。一方、(意外にも)傍聴者は約20名だけで、市議会議員の傍聴者は私と狩野議員のみでした。