平七夕まつり(たいらたなばたまつり、と読みます)は、平の商店街で、毎年8月6日から8日にかけて行われるお祭りです。その歴史は古く、1919年に七十七銀行が、平に支店を出し七夕飾りをしたのをきっかけに、周辺の商店街でも七夕飾りをし始めたそうです。いったんは消えかかったものの、1930年前後に商店街が仙台を参考にした飾り付けが盛り上がり、継続して行うようになったそうです。なお開催日は8/6-8/8は、日にち固定のため3日間が平日であろうと土日であろうと関係なく行なわれます。本来別のイベントであった「いわきおどり」も最終日の夜に同時開催されています。

その由来から、風俗・歴史的なものではなく、商店街が行なう、日頃のご愛顧に感謝しての賑わい創出のための感謝イベントだったはずです。その性格は引き継がれているものの、現在の祭りは、飾りのマンネリ化、全国どこにでもある屋台、通行人と商店街のお店のご商売と間に直接関係性がない等、ただ人が集まるだけの大衆イベントではないかとの指摘もあります。そのイベントを商店街の献身的な運営だけで支えていくのは無理があるとの声も聞かれます。情緒的な面は大切ですが、経済的に見合わなければ持続的でないと思うので、まつりのオカネの流れを考えてみます。

まず主催について。実は平七夕まつりの主催者は平の商店街の単独事業です。参考までにいわきおどりは、いわきおどり実行委員会、小名浜のいわき花火大会も実行委員会方式です。商店街の構成員が、(経済的にとても見合わないので)祭りをやらない!とギブアップ宣言すれば開催しないことも可能なのです。

開催に要する経費ですが、総経費は約5百万円のうち会場設営費と安全対策費だけで過半を占めます。もっとも七夕のイベント自体が、吹き流し等の飾り付けがメインであることを考えれば当然のことかもしれません。ただ商店街独自のイベント興業にかけられる予算が5%もなく、賑わいはそれぞれの露天商や商店街のお店にまかされているのが実情です(平成24年度平七夕まつり決算書による)。

それにしても、観光入込み客数が36万人ともいわれるイベントが、たった5百万で運営されているとは驚きです。商店街の方々の裏方での活動に頭が下がります。
http://www.mikito.biz/archives/27961271.html
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収入の面を見ると、露天商を中心とする出店負担金、すなわちお店を出すための場所代、次に地元企業からの協賛金が主になっています。同時にいわき市からの補助金1.9百万円も大きな割合を占めています。この補助金がなかりせば、祭りの開催自体があやぶまれるといっても過言ではないでしょう。参考までにいわき市の、いわき踊りへの補助金は13百万円、小名浜の花火大会への補助金は10百万円であり、それらに比べると数分の一の補助となっています。
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課題は、36万人ともいわれる入込客数に対し、開催・運営に対する商店街の負担が大きいことです。当該入込み客が、直接のご商売の売上に貢献してくれれば問題ないのですが、多くの通行人は、商店街を練り歩き、七夕飾りを見て楽しみ、露店でジャンクフードを食べ、子どもが露店商での遊戯に興じ、(人によっては浴衣などを着て)お祭りの情緒を楽しむという過ごし方をします。飾り付け等のセットアップは商店街及びお手伝いが行なうのですが、残念ながら商店街の既存店舗への売上貢献は、非常に限定的なのです。

冒頭の開催趣旨に立ち戻れば、「日頃のご愛顧に感謝」なので問題ないのですが、商店数の減少・商店主の高齢化・商店街の経済的余裕のなさ等が相まって、何のために七夕をやるの?という疑問はつきません。日程も七夕にちなんで8/6-8/8の三日間固定となっていますが、イベントとしては土日を絡めないという選択は非常に不利です。開催日程に土日を絡める、露店のありかたを再考する、運営自体を軽くする、実行委員会方式をとり幅広くメンバーを募る、他のイベントと合併する等、いろいろなアイデアがありますが、今年の開催結果次第で何かが変わっていくかもしれません。