内閣府特命担当大臣(女性活力・子育て支援、消費者及び食品安全 少子化対策、男女共同参画)参議院議員 森まさこ氏の著書です。自身の幼少期の貧乏体験から、「弱い立場の人たちを助ける」消費者弁護士になるまで、そしてその後政治に身を置くまでの足跡が書かれています。
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貧乏な高校・大学時代を過ごしてきたとは聞いていましたが、借金取りに追われ続けるくだりは、かなりシリアスです。著者は、そのたびに幸運な出会いがあったといっていますが、大変な思いで進学したことは想像に難くありません。司法試験中に大病を患い、結婚をあきらめかけたこともあるそうです。弁護士として登録後も、(儲かる)企業弁護士・渉外弁護士を目指さず、弱者救済を主とした消費者弁護士を指向するのも、あえて厳しい道を選んでいるようにみえます。

そんなひたむきな著者を神様は見放すはずもなく、司法試験合格後は、結婚、出産、留学と目の回るような忙しさの中、非常に充実した公私を過ごしました。金融庁への出向を機会に、東西奔走して消費者金融のグレーゾーン金利の撤廃という、サラ金地獄から被害者を救う(消費者金融業界の滅亡させた)法律を、成立させます(これには想像を絶する業界の反対活動があったことは容易に予想できるはず)。その背景には業界や金融庁の反対にもかかわらず、毅然として消費者のために改正案を貫き通した、後藤田正純政務官の存在がありました。そのぶれない姿勢を見て、政治家の職業は尊いと感じたそうです。

そこで自らクリーンな政治を実現したいという思いから、2006年に地元福島県の知事選挙に出馬、そして落選。めげずに翌年2007年の参議院議員選挙に出馬し、当選しました。その後は議員1年生にもかかわらず、舌鋒鋭い論戦を国会で繰り広げたことは、国会中継をご覧になった方も多いのではないでしょうか。市井での経験に裏打ちされたの実務能力の高さ、論理的な思考、ディベートの仕方等、まったく複数期当選の方々と引けを取らない、いやそれ以上の活動をされてきた直近6年間でした。「新人だから」「1年生だから」等は、言い訳やエクスキューズであることが証明されたのではないかと思います。

私も昨年、著者の国政報告会に参加させて頂いたことがあります。非常に親しみやすい口調で、丁寧でかつ言いまわしをされていたのが印象的でした。
<森まさこ氏国政報告会については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/19456792.html

そしてついに、2012年末に第2次安倍内閣で、内閣府特命担当大臣に就任。2011.3.11震災から2年経過してもいっこうに復興が進まない福島県浜通り地域から初の大臣誕生となりました。現在は弁護士のご主人の奥様と2人のお子様のお母様という顔もお持ちで、八面六臂の活躍をされています。

参議院議員の任期は6年、今年2013年夏が改選時期にあたります。2007年のときは、福島県の議席数は2つでしたので、著者は得票数第2位で当選となりました(第1位は、民主党の金子恵美氏)が、議席見直しで2013年の福島県の議席数は1です。 当時の1位との得票差は約25%ありましたので、捲土重来が必要です。お勉強ができるのではなく実務能力が高い人を、いわゆる「地頭(じあたま)が良い」と表現しますが、まさにこれだけの地頭の良い方の能力を、いかんなく国政で発揮して欲しいと思います。同時に、公私ともに活動が多忙な中、どうかどうか体調を崩されないよう祈念しています。

 <前回2007年7月の福島県の参議院議員選挙 結果>
当落候補者名年齢所属党派新旧別得票数得票率
金子恵美42民主党503,423票49.9%
森雅子42自由民主党372,857票37.0%
 宮本しづえ55日本共産党78,237票7.8%
 小川右善57社会民主党54,466票5.4%
<出典:Wikipediaより>

※上記文中に記載した内容の出典はすべて著者の上記著作物、もしくは公表出版物からの引用等です。

<著者略歴>
1964年、福島県生まれ。東北大学法学部卒業後、5回目の挑戦で司法試験を突破し、1995年、第二東京弁護士会に所属。「ココ山岡事件」や「オレンジ共済事件」といった消費者事件を手がけ、人権派弁護士として辣腕をふるう。1999年、日本弁護士連合会の推薦でアメリカに留学し、日本の法制度の不備を知る。2005年、任期付き官僚として金融庁に入庁し、弁護士時代とは違う視点から消費者保護活動に奔走する。2006年10月、金融庁を退職。2007年6月、森雅子法律事務所の所長を務める。2007年 参議院議員選挙に出馬し当選、2012年12月第二次安倍内閣にて国務大臣に就任。