ニューヨーク滞在中は、ニュージャージー州の知人の家に寄宿させていただいていました。非常に環境の良い住宅地で人気のエリアだそうですが、マンハッタンへの通勤圏内ぎりぎりでした。マンハッタンへの移動は、通常フリーウェイを飛ばして車を使うそうです(約80km、渋滞がなければ40-50分で到着可能)。さいわいNew Jersey Transitという路線の、LYONSという最寄り駅まで徒歩圏でしたので、電車通勤を経験してみることにしました。 
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米国は基本的に車社会で、車がないと一般生活が困難なのが普通です。ニュージャージー州でマンハッタン通勤圏の地域から通勤する人の多くは、バスか電車で通勤します。電車に乗っているだけでも長い時間がかかるし、電車の本数も少なく、途中で乗り換えが必要なこともあるので、あまり便利とはいえません。
 
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よく見ると線路は単線。低床式のプラットホームなので、電車に乗るときは「よいしょ」と体を持ち上げなければなりません(車椅子の人はどうするんだろう?)。またパーク&ライドが奨励されていて、駅の隣接駐車場には20-30台のマイカーが駐車されていました。
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時刻表によると、マンハッタンそばのホーボーケンまで直通で約50分。東京でいえばつくば市に住んでいるようなものでしょうか。ただし1時間に1本程度の運行本数です。小さな駅舎で切符を買い、中で電車を待ちます。渋い駅舎です。
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駅舎内は小さなレストランが併設されていて、電車待ちの間に新聞を読んだり、コーヒーを飲んで過ごします。おっちゃんばかりで、のんびりとして時間が流れていました。
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(意外にも)電車は定刻通りに出発し、定刻通り到着しました。横3列シートが両サイドにあります。広軌の線路のなせるわざですね。シートはビニール素材で質素でしたが、掃除はきちんとされており、快適です。磁気切符でしたが、検札のために車掌が2回、各席をまわっていました。車掌の人件費がもったいないなあ、などと考えていると、出発地ではがらがらだった車内も、ホーボーケン到着のころは8割方、埋まっていました。
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ホーボーケン駅を定刻通り到着。幾つかの交通網の発着点となっており、10以上のプラットホームからそれぞれの方面へ向けて電車が走っています。
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ひとつひとつの線路の運行本数は少ないものの、ホーボーケン駅としては頻繁に電車が出発しています。
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ホーボーケン駅はニュージャージー州にありますので(マンハッタンから見るとハドソン川の岸向こう)、ハドソン川を渡って、マンハッタンに入ります。ハドソン川を渡るのに、PATHトレインという地下鉄に乗ります。
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郊外からの通勤電車の牧歌的雰囲気と打って変わって、PATHは都心の通勤電車らしい車内です。
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ダウンタウンに到着。地上まで6本あるエレベータでのぼっていきます。
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ダウンタウンの金融街へ到着。駅to駅で、約1時間20分でした。やはりニュージャージー州といっても、西側よりだと、マンハッタンまで毎日電車通勤は大変だということがわかりました。
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公共交通機関を使わずに郊外からマンハッタンまで自家用車で通勤する人もたくさん、いらっしゃいます。しかし、マンハッタンの駐車場は月額1,000ドル近くするところもありますし、橋やトンネルを渡る料金も1往復すると8-12ドルくらいかかます。橋とトンネルの通勤ラッシュも大変で、橋を渡るのだけで1時間かかることもザラです。だからこそ、公共交通機関を使って通勤する"Park & Ride"ことが奨励されていて、郊外の主要な電車駅やバス停留所には大きな駐車場があるのです。自宅から駅そばの駐車場まで車で行って、そこから公共交通機関を使って通勤するわけです。通勤は、どこでも頭の痛い問題だということを改めて思いました。