4/15に教育再生実行会議において、「教育委員会制度等の在り方について」(第二次提言)が取りまとめられました。現行の教育委員会制度に対して、合議制の執行機関である教育委員会、その代表者である委員長、事務の統括者である教育長の間での責任の所在の不明確さ、教育委員会の審議等の形骸化、危機管理能力の不足といった課題が指摘されています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/teigen.html

<朝日小学生新聞(2013.5.11)の解説は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/27062449.html

内容的に目新しいものはないものの、このような現状分析・提言が「明文化」されたことに意義があります。これを根拠に安倍首相は、下山文部大臣へ指示できますし、文部大臣は文科省へ具体的指示が可能となります。これまでは、任期が数年でかつ文部科学行政を実務経験したことがない大臣が、改善指示を文科省に対して出すのは難しかったのです。

大津いじめ事件でも、教育委員会をはじめとする責任の所在の不明確さが指摘されています。
http://www.mikito.biz/archives/26137937.html
問題点がはっきりしている以上、これらを文部科学省がどのように改善していくかが問われます。今後の文部科学省の対応に注目していきたいと思います。

提言内容(抜粋)
・地域の民意を代表する首長が、教育行政に連帯して責任を果たせる体制にする
・教育長には、教育の専門的識見(教職であることを問わない)とマネジメント能力に優れた者を充てる
・教育委員には、広い視野を持って我が国の将来を思い、熱心に考え行動できる者を人選し、住民の意向の反映に努める
・国は教育のナショナル・スタンダードを維持し、各地方公共団体がそれぞれの創意工夫によって、特色ある教育を十分展開できるようにする
・具体の教育行政については、原則として地方公共団体自らが判断し、責任を負うべき
・県費負担教職員の人事権について、市町村の理解を絵いて、市町村に委譲することを検討する
・教職員の人事について、校長の権限を強化に務める
・学校教育の第三者評価の仕組みを検討する(英国の先例を参考に)
・政治的中立性確保のために、重要事項は教育委員会で審議する

残念なのは、現状の教育委員会制度に対する切り込みがないことです。実行会議の委員からは、教職員の人事権を教育長に委任する(現在は、県教育委員会に人事権)ことや、首長を教育行政の責任者とし、教育長を教育事務執行の責任者とすべきという意見も出ましたが、最終的に提言書には盛り込まれませんでした。

教育再生実行会議の構成メンバーは以下の通り。
大竹美喜 (アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)創業者・最高顧問)
尾﨑正直 (高知県知事)
貝ノ瀨滋 (三鷹市教育委員会委員長)
加戸守行 (前愛媛県知事)
蒲島郁夫 (熊本県知事)
鎌田 薫 (早稲田大学総長)
川合眞紀 (東京大学教授、理化学研究所理事)
河野達信 (全日本教職員連盟委員長) 
佐々木喜一 (成基コミュニティグループ代表)
鈴木高弘 (専修大学附属高等学校理事・前校長)
曽野綾子 (作家)
武田美保 (スポーツ/教育コメンテーター)
佃 和夫 (三菱重工業株式会社取締役相談役)
八木秀次 (高崎経済大学教授)
山内昌之 (東京大学名誉教授、明治大学特任教授)