今月に開催された、高校生の「春休み米国訪問プログラム」の帰国報告です。
<概要については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/25506909.html

今回の訪問の目的のひとつは、スカイプ通話で毎朝、画面を通して話しているイエール大学生に直接会うことと、彼らに対して被災者本人(訪問した高校生は全て、何らかの形での被災者)の口から直接、英語で被災体験及びその後の支援に対する感謝の言葉を、自らニューヨークで表現することです。

高校生ひとりひとりが、英語で原稿を書き、自分で撮った写真を素材にパワーポイントスライドを準備してきました。それをイエール大で、スカイプ通話に協力してもらっている学生と日本語科を選択している学生を中心に集まってもらい、「震災の記憶」と題して発表、プレゼンテーションを行ないました。
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被災地の写真をともに話した内容は、いわきの私から見ても、心に刺さるものがありました。高校生はそれぞれ、自宅が津波で流された家庭、職場が消滅した家庭、家族で市外に一時避難した家庭等、被災の程度の軽重はあります。それぞれの立場から、当時どのように震災を捉えたか、その後の各地からの支援を受けてどう思ったか等を語りました。何人かは、震災を踏まえて今後の自分の将来・夢が少し変わったことを話しました。いわきの被災者しか語れない事実や思いを、日本語だけでなく英語で発信することで、はじめて英語圏の方に事実を知ってもらうことができるということを改めて体感したと思います。


開始当初は集まった大学生に緊張感がなかったのですが、次第に真剣なまなざしで耳を傾けてくれるようになりました。6人の高校生の発表後には、質疑応答が行なわれました。当然、事前準備のない(台詞が準備されていない)質問とその場での回答なので、あたふたしたところはありますが、我々同行者のヘルプを借りつつ、なんとか自ら英語で回答を心がけていました。
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質疑終了後は、デリバリーのピザをほおばっての懇親会(アルコールなし!)。国は違えど年齢は2-3才しか違わない同年代、話ははずみました。特にスカイプで一度でも直接話した学生とは話が合ったようです。この場で、数人の学生から、この夏にぜひ日本、そして被災地を訪問して、何か役に立つことをやりたい、という申し出がありました。もしいわきを訪問してくれるのであれば、(お客様としてではなく)被災地を体感してもらい、そして復興に役立ったといえるようなプログラムを準備して受入れてあげたいと、思います。
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<イエール大学について>
http://www.mikito.biz/archives/25372325.html

同様のプレゼンの、ホレースマンスクールという私立高校でも行ないました。こちらは、1週間の授業体験をさせていただいたクラスメート及びホームステイさせていただいたホストファミリーに集まって頂きました。クラスメートに司会をお願いし、6人それぞれが短い発表を行ないました。日本の中での被災地の位置や、自ら撮った自宅やご両親が勤務している工場、海岸の状況等を、解説しました。事前に自分で調べて、きちんと伝わる英語の台詞にしました。これまで英語は受験のためにしか勉強したことがありませんでしたが、今回初めて他人に伝える手段として英語を体感できた(実際に伝わって、相手が自分のいいたいことを理解した)ことは、今後の英語との関わりを深めることになると思います。
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<ホレースマンスクールについて> 
http://www.mikito.biz/archives/25372345.html

手前みそかもしれませんが、参加した高校生にとってはOpen your eyesという目的が達成できたのではないかと思います。(英語という言語の問題でなく)新しい環境に飛び込むことによって得られるものは、じっと今までの環境で努力することだけでは得られない、既存の枠組みで計れないモノであることが体感できたはずです。ぜひ今回の経験を家族や友人に広めて、外の世界や新たなことに一歩踏み出す勇気は、とても成果が大きいということを分って欲しいと思います。今回は私の旧知のNPOさんの無償の人的支援とともに、高校生の渡航費等の資金的援助を受けて実現することができました。今後、プログラムを継続するために、(私も無償協力しますし)プログラムへの新たな賛同者・協力者を募って、今後も継続して活動いきたいと思います。

高校生の支援が目的で同行した今回のプログラムでしたが、非常に自分の勉強にもなりました。現場授業の方法の相違だけでなく、高校教育制度、大学受験の仕組み、個性の育み方、学費、進路等、10日間の日程期間中に、同行した磐城高校の先生や現地の先生、ホストマザーらと、延々議論できたのは大きな大きな収穫となりました。

いわき民報(2013.4.23)に掲載されました。
いわき民報_20130423
 
いわき民報(2013.4.23)に掲載されました。 
20130514173922-0001