福島県では独自の少人数教育を推進しています。平成17年度から小・中学校全学年に「30人程度学級」を導入されています。「30人程度学級」とは、小学校1・2年、中学校1年を「30人学級編制」とし、他の学年では市町村に「33人」を基準とする学級編制が可能な教員を配置し、市町村教育委員会の判断で、30人程度の少人数学級編制を可能とするものです。実際には、それ以下のクラス編成になりますから、平均で20-25人程度で授業が行なわれるケースが多いと思います。

30人程度学級編制によって、一人一人に目がよく行き届き、丁寧な個別指導が出来ると同時に、つまずきの早期発見と対応が容易になります。また少人数なので、生徒同士がお互いに助け合い、協力し合う雰囲気が生まれやすく、落ち着いた生活に結びつくと考えられます。学習・生活習慣を身に付けさせるための丁寧な指導が期待できます。
具体的には、先生から、「一人ひとりに目が配れて、個に応じた指導をすることができるようになった」「学習プリントは丸をつけるだけで精いっぱいだったのが、コメントをかけるようになった」というコメントがあるそうです。子どもたちからも、「わからないところを、先生に聞きやすくなった」「勉強がわかるようになった」と感想があるそうです。

少人数教育は、学習環境向上のツールのひとつではありますが、「学力世界一」で注目されているフィンランドやドイツは24人学級とのこと、やはり日本の40人学級は多すぎたのでしょう。10年前(2002年)は初等教育にオカネをかけていなかったことが下記グラフでわかります。

公財政による初等中等教育費の国内総生産(GDP)に対する比率(2002年) 
公財政による初等中等教育費の国内総生産(GDP)に対する比率(2002年)のグラフ
 OECD, “Education at a Glance - OECD Indicators 2005
(文科省HPより転載) 

現在は、福島県を含む大多数の県が何らかの形で少人数学級を導入しています。逆に言えば残りの都道府県(東京都を含む)は取り残されている状態です。それらの県も早急に導入をしていくことは自明と思われます。

少人数学級を導入のグラフ

疑問なのは、少人数学級が導入されているのが小中学校までであるということ。言い換えれば高校からは、突然40人の大学級になるわけです。公立高校をご覧になったらわかるのですが、体格の良い高校生が40人も一つのクラスに詰め込まれており、小中学校との落差があまりに大きいことに驚かされます。少人数教育に一定のプラスの効果があることは、証明されていることであり、ぜひ高校にもその流れを取り入れて欲しいと思っています。