私はユニクロの商品のファンです。フリースから始まり、UT、ドライシャツ、ジーンズを愛用しています(もちろん、他のもありますが)。ユニクロ商品に共通しているのは、定番たり得る一定レベルの縫製品質と、顧客が選べるセンスだと思っています。カテゴリとしてはファストファッションですが、いわゆるベーシックな定番商品だということです。
一方、ユニクロの労働環境を告発した「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/3月9日号)の記事『ユニクロ疲弊する職場』など、経営の負の点も話題になっています。筆者は一橋大学から、将来の幹部候補生として新卒でユニクロに入社した一風変わったです。いったいどうなっているのか複眼的に見る必要があると思っていました。そこで、著者が新卒でのユニクロ就職経験者ということで読んでみました。
一方、ユニクロの労働環境を告発した「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/3月9日号)の記事『ユニクロ疲弊する職場』など、経営の負の点も話題になっています。筆者は一橋大学から、将来の幹部候補生として新卒でユニクロに入社した一風変わったです。いったいどうなっているのか複眼的に見る必要があると思っていました。そこで、著者が新卒でのユニクロ就職経験者ということで読んでみました。
書きぶりは経営分析や告発というより、就職当時から退職までに出会った仕事仲間達との思い出話・回顧録です。「商調」(店に出て顧客が広げた商品を畳み直すこと、「店出し」(倉庫から送られてきた段ボール箱を開けて、商品を店頭に出すこと)等、アパレル用語が頻出して面白い)。
「町田店(154番店、ユニクロは出店順にナンバリングして店舗管理している)は、色々あったけど、楽しかったね」というフレーズが何回も出てきます。当時のユニクロ町田店は、筆者及び職場の仲間にとって、とても居心地の良い職場であったらしい。職場というものは、体力的に厳しくても、また給料が高くなくても、人間関係が良好だと仕事から充実感が得られる良い例です。
実際、大きな店舗のレイアウト全体を任されたり、店舗内スタッフ(社員、契約社員、シニアパート、パート等)の、時間帯別の業務量を勘案したシフト作成等は、やりがいがあるかもしれません。 だからこそ商品自体の魅力に加えて店舗運営がうまくいったことが日本全国の顧客に支持され、急速な店舗展開が可能になったのでしょう。
実際、大きな店舗のレイアウト全体を任されたり、店舗内スタッフ(社員、契約社員、シニアパート、パート等)の、時間帯別の業務量を勘案したシフト作成等は、やりがいがあるかもしれません。 だからこそ商品自体の魅力に加えて店舗運営がうまくいったことが日本全国の顧客に支持され、急速な店舗展開が可能になったのでしょう。
ただユニクロは、SPA(「製造小売業」。ファッション商品の企画から生産、販売までの機能を垂直統合したビジネスモデル)形態であり、商品企画は日本等で行なうものの、縫製工賃の低廉な国で生産し、それを全世界の消費地で販売するグローバル企業です。である以上、単純作業に対する人件費の考え方は競争力の高い(すなわち労務費が安い)ところに収斂していくことになります。その意味で日本の労働者は、単価が高い以上、それに見合う高い生産性が期待されてしまい、労働環境的にはきびしくなります。もしユニクロモデルが成功・確立するならば、販売価格≒全世界共通の生産コスト+販売国での販売コスト、になるでしょう。家具のニトリに似ているかもしれません。
ユニクロのユニークな考え方の一つに、「時間単位当たり人工」があります。すなわちある細かな作業工程の見積りを、何人が何時間かかるかの標準を徹底的に決めていくことにあります。経営学的にいえば、労務費のみの標準原価管理を行なって都度原価差額を把握し、標準原価に近づくよう現場で努力することになります。作業効率の向上は一企業ベースでは妥当性があっても、経済全体では賃金引き下げ、所得減少、消費支出減少をもたらすため必ずしも受入れられるものではないかもしれません。
先日、有名アートディレクターが監修し、ユニクロブランドを体現した旗艦店「ユニクロ ニューヨーク 5番街店」に行ってきました。3階建て、売り場面積約4,600㎡の店舗周辺には、ZARA、FOREVER21、H&M、GAP、アバクロンビー&フィッチも出店しています。
店舗の賃借料は15年契約で総額3億ドル(230億円)、OPEN初日開店前には雨模様のなか約2千人が並んだそうです。確かにNYテイスト、かつリーズナブルな価格であれば人気になるのも当然かもしれません。
3層の吹き抜けになっていて、1F2FはTシャツ等の軽衣料、3Fはフリース・ジーンズを含む総合になっていました。内装はコストがかかっているものではありませんでしたが、シンプルな内装デザインセンスは流石でした。
ただ買い物客総数自体は多いものの、店舗内は4,600㎡もあるだけあって商品の陳列密度が薄いです。旗艦店としてイメージ発信が基本で、面積当たりの売上効率、また賃料に見合う売上は重視されていないようです。
3層の吹き抜けになっていて、1F2FはTシャツ等の軽衣料、3Fはフリース・ジーンズを含む総合になっていました。内装はコストがかかっているものではありませんでしたが、シンプルな内装デザインセンスは流石でした。
ただ買い物客総数自体は多いものの、店舗内は4,600㎡もあるだけあって商品の陳列密度が薄いです。旗艦店としてイメージ発信が基本で、面積当たりの売上効率、また賃料に見合う売上は重視されていないようです。
マネキンはお世辞にも、かっこいいとは思えません。こんな服装のニューヨーカーはないでしょ!と思いませんか。いくらなんでも、このマネキンを参考に商品を選ぶとは考えにくいです。ユニクロブランドに対して、とがったイメージを持ってもらう仕掛けとして、このような風変わりなセンスを出しているのだと思います。
商品構成が「薄い」と感じた例がパンツ(トランクス)売り場です。同じ品番の同じカラーの商品がフェイスに並んでいます。日本だったら販売機会を逸するので、ありえないと思います。これは店舗が広すぎる故に、商品揃えが追いつかず、売り場を埋めるための窮余の策に見えます。結果的に同じ商品が複数の売り場に陳列されることになり、店舗内ウィンドウショッピングのワクワク感が減衰してしまっています。
すぐ近くにGAPの店舗がありました。NYのユニクロは、縫製の良さよりもファストファッションとしての価格とカラーリングで、同業他社に勝負しています。一方、GAPのほうは、価格はユニクロに比べて比較的高いですが、デザイン性、アドバタイズのセンスに関して、上手だと思います。確かに顧客は来店していましたが、五番街という好立地を考慮すれば、まったく満足できる来店数ではないと思います。一ユニクロファンとしては、ユニクロの特徴である縫製の良さと、定番商品のベーシックなデザインが、NY市民に全くアピール、浸透できていない点が残念でした。