ニューヨークの超進学高校、ホレースマンスクール※1 を訪問しました。こちらはアイビーリーグの進学率で全米1.2位を争うほどの有名私立高校です。今回、磐城高校生がこちらで1週間の体験授業を受けるアレンジのお手伝いをしましたので、同行してアメリカの高校生の授業を見学させて頂きました。
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見学させていただいたのは、東アジア歴史、フランス語(アメリカ人にとっては外国語)、日本語の3つです。クラス人数、授業の進め方、テキスト、参加姿勢、宿題の内容等全てが、新鮮です。磐城高校の先生とご一緒できたので、日本の高校との相違等を教えていただきながら生の授業を体験できたのは大きな収穫でした。
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・習得授業内容
最低限学習すべき内容は、国・州で決められていますが、多くの学校(公立・私立)は、それ以上の内容を任意に教えます(アメリカでは高校卒業までが義務教育期間)。なぜなら大学進学を考えれば、そのほうが圧倒的に有利だからです。ホレースマンスクールはその選択肢が多いことで有名です(それだけ教師数が増えるので、職員給与が増加する)。生徒は複数の講義の選択肢の中から、自分が受講するコマを決めてセメスター(もしくは半期)ごとに登録します。日本の大学の授業選択に似ています。所属する「組」はないので、ホームルームもありません。もっとも1学年170人程度なので、それぞれの先生が科目を履修している生徒の顔を熟知しており、休み時間中、登下校の際には、それぞれ声をかけあっているのが印象的でした。

・クラス人数
15-20人程度になることが多いとのこと。実際に体験した東アジア歴史のクラスは10名、フランス吾は15名、日本語は15名でした。これは教師数が大きく影響していると思います。私立の場合、公的支援がまったくないことから、経営に余裕がないところは、教師数が削減→講義種類が絞り込み→大人数クラスとなります。逆に経営に余裕がある高校は、教師数に余裕→講義種類を拡大→少人数クラス→きめ細かい指導となり、結果的に生徒、保護者満足度がさらに上がるという循環です。
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・昼食休憩
敷地内に素晴らしいカフェテリアが併設されており、生徒はいつでも昼食をとることができます。
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しかし、全校一斉の昼食休憩はありません。したがって多くの生徒は正午付近のコマをひとつ空けて、その時間に昼食をとります。しかしみっちりコマを履修登録してしまう日は、カフェテリアでゆったりとした昼食をとることができません。ではどうするかというと、授業中に食べることになります(驚愕!)。私も実際に自分の目で見るまで、このような教師・授業を冒涜し、失礼千万な行為はあるまじきと思っていました。しかしある意味みっちりコマを履修登録する子は、非常に真面目な子かもしくはやむにやまれず登録する子です。少人数クラスということもあり、生徒は遠慮がちに(そう見えました)、授業の妨げにならないよう、サンドイッチ等の軽食をそっと食べていました。

・テスト
授業参加態度(50%)、ペーパーテスト(50%)の絶対評価で成績が決められることが多いようです。どんなにペーパーがよくても(逆も真)、まったく授業に参加しないと50点しかもらえません。ここに授業参加意欲の源泉があります。先生が質問をすると、必ず複数の生徒から手が上がります。答えが間違っているいないではなく、授業に参加しているかどうかが問われているわけです。なお、A-Fの順で評価され、Fが2回続くと、保護者に対して退学勧奨が実施されるため、成績が落ちると真剣に勉強することになります。大学進学のためにはSATのスコアを上げるだけでなく、授業態度及び宿題やペーパーテストもクリアしなければならず、生徒はけっこう忙しいです。

<次回に続きます>
http://www.mikito.biz/archives/25795323.html

※1 ホレースマンスクール
ホーレス・マン・スクール(Horace Mann School)とは、1887年創立で本年で126周年の伝統ある幼稚園から高校までを擁する共学の私立学校です。生徒はニューヨーク市近郊、コネティカット州、ニュージャージー州から通学。全米でトップランクの進学校でハーバード、プリンストン、イエールなどの有名大学に多くの卒業生を送っています。
中学・高校キャンパスは、ニューヨーク市ブロンクスにあり、敷地は約22,000千坪。生徒数は中学校(ただし6年生から8年生)454名、高校(9年生から12年生)756名、 1学年の平均生徒数 189名。それに対し教師数は240名です。特徴として、スポーツ、アートも重要なカリキュラムであり、コミュニティ・サービス(社会への貢献)が卒業の条件となっていることです。
 
※2 SAT:
SAT(Scholastic Assessment Test、大学入試)は、米国の高校生が大学を受験する際の学力を測る共通テスト。一番広く大学受験に使われている筆記テスト。試験は1年間に7回実施され、複数回受験することが可能。