「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」、略称「もしドラ」がミリオンセラーになってから、ライトノベル風の経営学紹介本がひとつのジャンルを築いたと感じるのは、私だけでしょうか。この本もその類いの入門書なのだろうなと、チョコレートの表紙のおもしろさに釣られて購入しました。

タイトルと表紙とは、およそ似つかわしくない、バリバリ原価計算とはなんぞや!の本でした。入門のふりしていますが、間違いなく工場会計担当者と会計士にしか理解できない内容です。著者が、製造工場の原価計算・会計監査で経験した現場で、見聞きしたことをぜひ紹介したかったんだろうなあ、と推測します。確かに現場にいなければわからない内容が詰め込まれていて、臨場感あふれています。私も思わずぐいぐい引き込まれて、あっという間に読み切ってしまいました。

ただ、この本は工場管理会計担当者及び若い会計士という極めてニッチなマーケットを対象にしているといわざるを得ない。それ以外の方には、文章は平易ですが、内容は深いので、読み解くのに時間がかかるのではないでしょうか。それって、もはやライトノベルではないような・・・
R0017616
最後に、著者から読者に対して、問題が出題されています。それまでの章を理解し、ちょっと頭をひねれば回答できるのですが、どの程度の方が正答できるか興味があります(なお、私は自己申告で7割くらいは当てられましたが、残り3割は気づきが足りませんでした)。管理会計の限界と利用方法について、新たな引き出しをひとつ増やすことができました。