TVで紹介されていた本です。書店でも平積みになっているようなので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。 著者は「抗がん剤は効かない」「がん検診は百害あって一利なし」「がんと闘うな」と、一貫して、現在臨床で行なわれているがん治療に批判的な放射線科の医師です。その活動が認められて、第60回菊池寛賞を受賞しました。
著者の主張は、基本的に次のとおりです。
・病院は、患者が望む意思よりも、既存の治療方法を優先しがち。
・日本は欧米よりも、必要以上に薬を服用しすぎ(副作用に無頓着)。
・抗ガン剤でガンは治らない
・本物のガンなら、初期ガンでも早期に全身転移するので、手術も効果的でない
・本物のガンなら、初期ガンでも早期に全身転移するので、手術も効果的でない
・検診で見つかるガンの多くは、がんもどきであって、手術で取り除こうが取り除くまいが寿命に関係ない。ただ手術成功例としてカウントされるのみ。等等
アメリカで国立癌研所長が、抗がん剤が治療に効かないことを議会で証言したそうです。今まで自覚症状もなく元気に活躍していた人が、検診でがんと診断され、「治療に専念する」といって、数か月で亡くなってしまう悲劇が繰り返されています。がんで死んだのではなく医者がすすめる「がんの治療」によって死亡したともとれる事例です。
著者の結論・推奨は、がんと宣告されたらがんによる痛み等はモルヒネ等で緩和し、外科手術に頼らず、心穏やかに残りの人生を楽しむということ。私の家族もこうありたいと考え、以前家族で話し合って、延命治療を拒否する署名をそれぞれしたことがあります。しかし、いざ現実に医師から、健康な状態(にみえた)の自分・家族が、がん宣告されたら、どれくらい動揺するか想像もできません。永遠の命はありえず、がんも心臓発作も限りある命が燃え尽きるための手段なのかもしれませんが、そのときに、自分が諸行無常の境地でいられるかどうか。