復興特別法人税が、始まっています。3月決算の会社であれば、平成25年3月末の決算から、通常の法人税に加えて、さらに追加的に10%の復興特別法人税が賦課されます。結論からいえば、すでに決まっていた法人税率の減税が相殺されてしまい、現行30%→28.05%(△2%の影響)の、非常にインパクトの欠けるものとなってしまいました。
税率変更2
従来の法人税率30%は、法人住民税、事業税と相まって、日本の実効税率(利益に対して納める税金)が40%を超えていました。これでは日系企業が他の国の同業他社と同じ土俵で戦えない、すなわち同じ利益水準を達成しても、納税によって企業に残る利益(これが次の研究開発投資の資力となる)が少なくなってしまうからです。例えばシンガポールや香港の法人税率は20%なので、雑駁にいえば同じ企業活動をしても、40%の納税義務を負う日本企業との間には、手元に残る現金に大きく差がついてしまうということです。これについて、10年以上の議論をし(放置し?)やっと税率が軽減されました。すなわち、国内企業に国際競争力を持たせるため、法人税率が30%→25%に改正されたのです。

しかしながら、一昨年の大震災発生。その復旧の財源確保のために、追加的に10%の復興特別法人税が賦課されることになってしまいました。そのため結果として、実効税率は38%程度になり、減税効果は2%にしかすぎなくなってしまったのです。これで本来の減税の目的である、日本企業の国際競争力強化にどれほど貢献するでしょうか。

(参考)実効税率の計算方法
法定
実効税率
法人税率×{1× (1+復興特別法人税率)+住民税率}+事業税率+
事業税標準税率×地方法人特別税の税率
1+事業税率+事業税標準税率×地方法人特別税の税率

最近、話題になっているパナソニックショック(松下電器の不振)も、サムスンやLGとのデジタル家電争いで疲弊してしまった点が上げられると思います。法人税による企業内部留保額の小ささが遠因でないこと、法人税率の対応の遅さが致命的でないことを祈ります・・・