熊本県のゆるキャラ 「くまモン」をご存じでしょうか。全国にあまたあるゆるキャラの中でも、ゆるキャラグランプリ2011王者に輝いた、熊本県庁が仕掛けたキャラクターです。天草市出身の脚本家・小山薫堂が提案した「くまもとサプライズ」運動の中から出てきたキャラといわれています。
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しかし、その大胆な提案を採用することを決めたのは、頭の固い役所の中でも特に固いといわれる県庁の知事であるところがみそです。私見ですが、くまモンが成功した理由の第1は、熊本出身で、かつ現在、東京で活躍している脚本家を起用し、その人脈を生かしたこと、そして地元のために継続して幅広い良い提案を出してもらったこと、第2は、発注者がその脚本家に自由度を持たせ、提案された奇抜な提案を受入れたことにあると思います。

その知事こそが、著者の蒲島郁夫氏です。農協の職員を皮切りに、農家、米国大学入学、ハーバード大学博士、東京大学教授と転身をし、最終的に熊本県知事に就任された方です。くまモンの調査をしたことをきっかけに、この本を手にとりました(熊本県庁の地下売店で購入しました)。
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実はこの本を出した時点では、まだ東大法学部の教授の職にありました。しかし最終章で、政治家を目指すとして、その理由を述べています。これまで公共事業を含めて、分配型社会であったものが、新自由主義を経て強者と弱者の格差がはっきり現れるようになりました。著者はこの閉塞感を破るのは道州制との考えです。私個人としては、道州制の意義について賛同するに至っていないので、なんともいえませんが信念は感じました。

<著書より抜粋>
 私はその夢を本気で信じていた。もちろん、私のような貧乏人の落ちこぼれにでもできるのだから、誰にでも夢は見られるはずだ。しかし、ほとんどの人が、この夢を夢の間まで終わらせてしまう。では、そのような人たちと私が違うとことは何なのだろうか。一つだけある。私は、そんな夢に対して、一歩だけ前に踏み出すことできた。この一歩を踏み出せるかどうかで、人生は大きく変わる。今の私があるのは、この一歩のおかげなのである。私がどんな人生にも、最低、5度の大きなチャンスが潜んでいると信じている。そこで一歩前に踏み出すかどうか、それが人生を大きく変えるのである。

くまモン
著者の思い描いていた夢は3つあるそうです。1.小説家になること、2.政治家になること、3.牧場経営をすることです。いちおう出版し、県知事になった今、残りは牧場経営のみ。波瀾万丈な人生を生きてきた著者だけに、これもいつか達成されることでしょう。