オリーブオイルは、中世の時代から健康に良いとされています。ただそういえるのは、エキストラバージンリーブオイルのこと。伝統的な製法で作られた、オリーブの実を絞っただけのオイルで天然果汁です。品種の違いや、作り手や搾油方法、気候や栽培条件など様々な理由により味や香りに大きな違いがあります。絞っただけの天然果汁ですので、色々な香りがあり、化学的に証明されていない成分が含まれ、これが健康に良いとされています。
健康に対する影響ですが、実は化学的に完全に実証されているわけではありません。化学的に証明されていることは、オリーブオイルが不飽和脂肪酸とオレイン酸の割合が高く、悪玉コレステロール値を下げ、善玉コレステロール値を上げて、動脈硬化を予防したりするだろうということ。また消費量が多いクレタ島の住民の心臓病疾患率が低いので、帰納的に心臓病になりにくいのではないかといわれています。
これらポマースオイルや精製オイルは、伝統的にはランパンテ(ランプ用油や石けん用油)に分類され、食用ではないとされてきました。しかし、より低価格なオリーブオイルを求めるマスマーケットの需要により、「オリーブオイル」として、出荷されるようになりました。またイタリアブランドが好まれることから、スペイン産やアフリカ産のオイルも何千トン級のタンカーで船積みされ、イタリアで精製加工されれば、イタリア産として出荷・流通することになりました。
問題とされるのは、ポマースオイルや精製オイルに、少量のエキストラバージンオイルをにおい付けのために添加し、「エキストラバージンオイル」としての販売が常態化していることです。検査機関もあるのですが、1.流通する商品のすべてを検査できない、2.本物も微量添加されているので、正確な成分調査が困難、3.巨大なオイルメーカーからの政治的圧力、4.告発する仕組みが整備されていない等の理由により、黙認されているそうです。
実際2004年の覆面調査で、欧州のスーパーマーケットで販売されているエキストラバージンオイル31本を、複数の専門テイスターにチェックしてもらったところ、エキストラVOは1本のみ、9本はその下のファイン、オーディナリー、残りの20本はランパンテだったとのこと。アメリカでも偽装オイルは常態化しているとのことです。
さらに違法性が帯びてくると、さらに生産コストが低いヤシ油や綿花油を、無味無臭に脱臭加工した上で混入させて、香り付けし「エキストラバージンオイル」として販売されている例もあるそうです。
欧州議会でのエキストラバージンオイルの定義は、以下の通り。
1.機械的な方法だけで作られ、化学的処理を行なっていないこと
2.含有するオレイン酸に対する遊離化したオレイン酸の重量割合が1%以下等の化学的要件
3.腐敗臭、カビ臭等の不快な臭いがしないこと
実際には2をクリアすることは当然だし、3についても(専門家としてのテイスターはいますが)主観的なものなので、1が問題となります。
自宅で使っているオリーブオイルをチェックしたところ、上記基準の「オリーブポマースオイル」でした。原産国は低価格オリーブオイルの生産地スペイン。上記基準によれば、精製オイルやポマースオイルにバージンオイルをブレンドしたものとのこと。精製オリーブオイルは、食用ではないオイルとされていますが、下記写真のとおり、「プロ仕様、揚げ物や炒め物に最適な、和食も美味しく仕上げる油です。毎日のお料理に。」とラベル表記されています。ちなみに、2kg、1.8リットル 2000円程度で購入したものです。
風味は個人の味覚の問題なので別として、抽出過程で化学的溶剤を介在させているところが、消費者としては心配です。発がん性物質は含まれないのか?本来の性質に化学的な変化は本当にないのか(かつて欧州の健康問題の公的機関が、あるオリーブ・ポマスオイルを検査したところ、法的基準値を超えたPAHs (多環芳香族炭化水素Polycyclic aromatic hydrocarbons)が検出されたそうです。PAHSsは、有機物質が不完全燃焼した際に生成される化学合成物の一種で、発がん性のほか、遺伝子損傷や神経障害を引き起こす可能性が指摘されています)?
本当に心配であれば、「エステート」もの、すなわちブレンドがなく伝統的な手法で作られた単一の生産者だけのエキストラバージンオリーブオイルを購入すればよいということになりますが、1リットル4,000-8,000円程度する、エステートものを日常に使うわけにもいきません。
個人的には、上記分類の「ファイン」や「オーディナリー」に相当するグレードのオリーブオイルを日常で使いたいと思います。しかし商業的には、「エクストラバージン」ブランドでないと利ざやがとれないので、流通していないことも事実。一般消費者が正しい知識を持つこと、そして新しい品質基準を持ち生産国から独立した国際的な機関の新規設立の両方がなければ、現状のオリーブオイルマーケットはしばらく続くと思います。消費者視点で働きかけていきたいなと思います。
日本でも、エステートものを販売している良心的なお店が、オリオテーカさんです。一度、お店で試飲&購入してくるつもりです。
http://www.olioteca.jp/
健康に対する影響ですが、実は化学的に完全に実証されているわけではありません。化学的に証明されていることは、オリーブオイルが不飽和脂肪酸とオレイン酸の割合が高く、悪玉コレステロール値を下げ、善玉コレステロール値を上げて、動脈硬化を予防したりするだろうということ。また消費量が多いクレタ島の住民の心臓病疾患率が低いので、帰納的に心臓病になりにくいのではないかといわれています。
(年間消費量:アメリカ1L未満、イギリス1L、イタリア・スペイン13L、ギリシャ21L、クレタ島クリツア村50L)
オリーブオイルを使いたいと思っていても、オリーブの実に含まれる油分は15-20%程度。全世界の消費需要を満たすことができません。 また伝統的な製法では、生産コストが、1リットルあたり最低でも5ユーロ程度かかるそうなので、マスマーケットに乗りにくい商品になってしまいます。そこで最初に考えられたのが、ポマースオイルです。 一度搾った後の絞りかすにヘキサンなどの化学的有機溶剤で油分を溶かしだし、後で溶剤を揮発させて油をさらに搾り取ったオイルです。次が精製オイルです。これは落ちたオリーブの実などの適さないものも集め、オイル抽出したものです。悪い臭いがついてしまうのですが、化学的な脱臭装置(精製、純正、ライト、Pure)を通すことにより、文字通りピュアな、無味無臭のオリーブオイルができあがります。この脱臭過程で、オリーブオイル特有の独特の香りや、EVO内に天然に含まれるオレオカンタール(強い抗酸化作用等をもつ有機化合物)も取り除かれます。
オリーブオイルを使いたいと思っていても、オリーブの実に含まれる油分は15-20%程度。全世界の消費需要を満たすことができません。 また伝統的な製法では、生産コストが、1リットルあたり最低でも5ユーロ程度かかるそうなので、マスマーケットに乗りにくい商品になってしまいます。そこで最初に考えられたのが、ポマースオイルです。 一度搾った後の絞りかすにヘキサンなどの化学的有機溶剤で油分を溶かしだし、後で溶剤を揮発させて油をさらに搾り取ったオイルです。次が精製オイルです。これは落ちたオリーブの実などの適さないものも集め、オイル抽出したものです。悪い臭いがついてしまうのですが、化学的な脱臭装置(精製、純正、ライト、Pure)を通すことにより、文字通りピュアな、無味無臭のオリーブオイルができあがります。この脱臭過程で、オリーブオイル特有の独特の香りや、EVO内に天然に含まれるオレオカンタール(強い抗酸化作用等をもつ有機化合物)も取り除かれます。
これらポマースオイルや精製オイルは、伝統的にはランパンテ(ランプ用油や石けん用油)に分類され、食用ではないとされてきました。しかし、より低価格なオリーブオイルを求めるマスマーケットの需要により、「オリーブオイル」として、出荷されるようになりました。またイタリアブランドが好まれることから、スペイン産やアフリカ産のオイルも何千トン級のタンカーで船積みされ、イタリアで精製加工されれば、イタリア産として出荷・流通することになりました。
問題とされるのは、ポマースオイルや精製オイルに、少量のエキストラバージンオイルをにおい付けのために添加し、「エキストラバージンオイル」としての販売が常態化していることです。検査機関もあるのですが、1.流通する商品のすべてを検査できない、2.本物も微量添加されているので、正確な成分調査が困難、3.巨大なオイルメーカーからの政治的圧力、4.告発する仕組みが整備されていない等の理由により、黙認されているそうです。
実際2004年の覆面調査で、欧州のスーパーマーケットで販売されているエキストラバージンオイル31本を、複数の専門テイスターにチェックしてもらったところ、エキストラVOは1本のみ、9本はその下のファイン、オーディナリー、残りの20本はランパンテだったとのこと。アメリカでも偽装オイルは常態化しているとのことです。
さらに違法性が帯びてくると、さらに生産コストが低いヤシ油や綿花油を、無味無臭に脱臭加工した上で混入させて、香り付けし「エキストラバージンオイル」として販売されている例もあるそうです。
欧州議会でのエキストラバージンオイルの定義は、以下の通り。
1.機械的な方法だけで作られ、化学的処理を行なっていないこと
2.含有するオレイン酸に対する遊離化したオレイン酸の重量割合が1%以下等の化学的要件
3.腐敗臭、カビ臭等の不快な臭いがしないこと
実際には2をクリアすることは当然だし、3についても(専門家としてのテイスターはいますが)主観的なものなので、1が問題となります。
自宅で使っているオリーブオイルをチェックしたところ、上記基準の「オリーブポマースオイル」でした。原産国は低価格オリーブオイルの生産地スペイン。上記基準によれば、精製オイルやポマースオイルにバージンオイルをブレンドしたものとのこと。精製オリーブオイルは、食用ではないオイルとされていますが、下記写真のとおり、「プロ仕様、揚げ物や炒め物に最適な、和食も美味しく仕上げる油です。毎日のお料理に。」とラベル表記されています。ちなみに、2kg、1.8リットル 2000円程度で購入したものです。
風味は個人の味覚の問題なので別として、抽出過程で化学的溶剤を介在させているところが、消費者としては心配です。発がん性物質は含まれないのか?本来の性質に化学的な変化は本当にないのか(かつて欧州の健康問題の公的機関が、あるオリーブ・ポマスオイルを検査したところ、法的基準値を超えたPAHs (多環芳香族炭化水素Polycyclic aromatic hydrocarbons)が検出されたそうです。PAHSsは、有機物質が不完全燃焼した際に生成される化学合成物の一種で、発がん性のほか、遺伝子損傷や神経障害を引き起こす可能性が指摘されています)?
本当に心配であれば、「エステート」もの、すなわちブレンドがなく伝統的な手法で作られた単一の生産者だけのエキストラバージンオリーブオイルを購入すればよいということになりますが、1リットル4,000-8,000円程度する、エステートものを日常に使うわけにもいきません。
個人的には、上記分類の「ファイン」や「オーディナリー」に相当するグレードのオリーブオイルを日常で使いたいと思います。しかし商業的には、「エクストラバージン」ブランドでないと利ざやがとれないので、流通していないことも事実。一般消費者が正しい知識を持つこと、そして新しい品質基準を持ち生産国から独立した国際的な機関の新規設立の両方がなければ、現状のオリーブオイルマーケットはしばらく続くと思います。消費者視点で働きかけていきたいなと思います。
日本でも、エステートものを販売している良心的なお店が、オリオテーカさんです。一度、お店で試飲&購入してくるつもりです。
http://www.olioteca.jp/