年金財政・高齢者医療・介護保険の破綻の可能性が指摘されて久しいです。いわき市においても、国民健康保険や介護保険は市が運営していますので、対岸の火事ではありません、私はどんな制度も、持続可能でなければ、どんな高邁な理念や理想も、将来に禍根を残すと思っています。上記三点についても同様です。その解決策のアイデアを見いだすべく、本書を読みました。

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結論からいうと、完全無欠の解決方法はないということがわかります。その根源は、年金・健康保険・介護保険とも、Cashの入りと出を管理するいわゆるお財布が「どんぶり勘定」であることです。どんぶり勘定のまま、非常に大きなお財布が、コントロールできない状況になっていると思います。複雑化した結果、そこからの支出についてきびしいチェックが容易でないのも要因です。

ひとつの例ですが、シンガポールは年金について、ドル・セント単位で個人別に残高を随時管理しており、毎年その残高を国民に通知しています(私も、シンガポールに年金を積み立ていたので、いまでも残高を持っています)。したがってそれらを合計したものが、年金のお財布であり、その入りと出は非常に明瞭です。支出のチェックも容易ですし、本当の意味でもプロフェッショナル集団が運用益を追求するので、ファンド詐欺に引っかかるようなことはありません。

日本の 年金・健康保険・介護保険制度は、例外メニューの追加を重ね、屋上屋を積み上げていった結果、手をつけれられない状態に近くなっていると思います。近い将来のどこかの時点で仕切り直しが必要になるでしょう。でなければ現在の制度設計を破綻するギリギリまで引っ張って、一律給付削減等の荒療治が不可避になってしまうであろうことを、この本から感じました。