非常にラジカルな本です。かなりの部分に虚言も入っているかもしれない、しかし本質をついている部分もあるかもしれない。そんな気を起こさせてくれる本が、外国人(アメリカ生まれ、シンガポール在住)によって書かれている点が興味深いです。

著者の表現と主張は、過激です。よくぞここまで言えるな!と思います。
・日本人の貯金が盗まれている
・政府はお金を持っていない
・日本の社会保障費は、40%削減しなければならない
・国債はネズミ講だ
・農家が泥棒
・日本は破綻まであと4年しかない
・日本の政府は、すでに国際通貨基金とデフォルトの時期について相談している

著者の提案は、現実の世界とかけ離れているところが、これまた興味深いです。
1. 国が通貨の価値を一定にしなければならない
(現実)現政権は、インフレターゲットを数%プラスに設定しようとしている
2. 国は赤字国債を発行してはいけない
(現実)現政権は、40兆円の税収に対し、100兆円の歳出を見込んでいる
3. 銀行などの金融会社は本業に徹しなければならない
(現実)デリバティブ取引や株式投資業は、もはや金融機関の業務の本業に組み込まれている
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よく見かける日本の将来悲観論の本のようですが、日本が栄える道はある!との助言と捉えればいいと思います。特に官僚・公務員の利害と国民の利害を一致させるべきだ、との論には賛同しました。一見当たり前なので、当然行われているようですが、現実はやや違います。日本では国民の利益が定義されていないため、多くの公務員はそれぞれ所属する部局のロジックで活動しているのが実態です(結果的にうまくいっている部分もあります)。もし国民の利益≒国益≒国富≒GDP(国民総生産)であるなら、官僚・公務員の給与をGDP連動にし、官僚・公務員の利害と国民の利害を一致させるのも一つの方法です。実際にシンガポール政府では、公務員のボーナスはシンガポールGDPに連動させています。私の知る限り、シンガポール公務員が非常に民間企業のために迅速に行動し、結果を求める基本姿勢は、ここにあるのではないかと思っています。
そのまま鵜呑みにできる本ではありませんが、そういう視点もあるのだなと認識しました。