ふざけたタイトルです。しかしサブタイトルがイイ。「量産型人材として生き抜いてきた著者によるニュータイプになれない僕たちのための希望のキャリア論」。ちまたによくいわれる、グローバル人材を必ずしも目指す必要はない、という「必要以上にがんばらなくてよい」論者のようです。

ジムは地球連邦軍が開発した量産型モビルスーツ、性能は悪くないのだが、突出してよいわけではないんです。初期型はガンダムが2本持つビームサーベルも1本しかなく、ガンダムが持つ強力なビームライフルでなくビームスプレーガンといういかもに弱そうな武器装備なんです。私も小学校のとき友人と、ガンダムのシミュレーションゲームをしたのですが、ガンダムやシャア専用ザクとの圧倒的な性能差に、1対1では必ず負けると理解していました。

前提として、ほとんどの人がジム、すなわち突出した能力を持つガンダムでないという点から始まります。ガンダムと突出した人材、実生活社会とめぐり会い宇宙の世界、そしてジムと一般人との比喩は、あながち外れていない。
内容は著者の経験に基づくキャリア論だけでなく、外部データやファクトを検証材料として使っており、一定の説得力があります。いわゆる80:20の法則、すなわち2割の人間が8割を養っているという見方についても、逆に8割の一般人が2割のエースを下支えしている、という考えです。

秀逸は、「弱いジムだから戦略が必要だ」という項目でした。すなわち打たれ弱いジム(普通の人間)だから、戦略がなければ生き残れないということです。パイロットのスキルを上げるか(経験値up)、機体の装備を上げるか(ジム・カスタム機)、戦場を選ぶか(シャア専用ズゴックと1対1で闘わない)です。特に最後、自分にとって有利なポジションで戦うことが重要です。それには自分の強み・弱みを分析した上で、自分が戦う環境を選ぶということが必要になります。
また著者は自分の経験として、若いうちにつまらなく見えた仕事が後になって効いてきたことが経験値UPにつながったことや、1ヶ月に20冊の本を読むことが自分の武器となることを、例として紹介しています。

読み終えてみればまっとうな提案ですが、ガンダム、なかんずくジムを主語にした、キャリアプラン論の展開に拍手を送りたいです。
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