吉田みきと ほぼ毎日ブログ

「死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし。 生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし。」 吉田松陰・高杉晋作語録   「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ人は始末に困るが、そのような人でなければ天下の偉業は成し遂げられない。」 西郷隆盛・山岡鉄舟語録

2020年04月

アパレル興亡 黒木亮著

著者の黒木亮氏は、「トップレフト」「巨大投資銀行」等の小説家です。自らの三和銀行・三菱商事での勤務経験を元にした小説は、現実の金融・投資業界のリアルを描いています。小説というスタイルを取ることで、ほぼ実会社・実名で書ける。そんな著者が、日本のアパレル業界の歴史を、あるアパレル会社の起業から消滅まで(正確には買収され、経営陣が総退陣するまで)を書いています。金融の世界だけでなく、アパレルにも詳しいんですね。私も、ラルフローレンの企画・製造をしていたアパレル会社の会計監査を数年やっていたので、業界には詳しいつもりでしたが、新たな視点をいただきました。

中心となるのは、日本の伝統的なアパレルメーカー、東京スタイルです。1977年に東京証券取引所1部上場となった、無借金経営で有名な会社でした。2002年から村上ファンドが株式を買い集め、株主提案で、内部留保を使って自社株買いを行うことを提案し、プロキシーファイトとなった「東京スタイル事件」の経緯も、もちろん詳細に記載されていました。村上世彰氏が、仲裁に入ったイトーヨーカドーの伊藤雅俊氏を激怒させてしまったんですね。

・昭和の時代の百貨店は、夢のようにモノがあふれ、消費者吸引力は強大だった
・百貨店の職員食堂は、幼稚園のお遊戯会のように他職種のコスプレであふれている
・繊維業界は、糸を作る「川上」、生地を作る「川中」、縫製・アパレル・小売りなどの「川下」
・百貨店が消費者に売る価格が「上代」、アパレルが百貨店に卸す価格が「下代」の下代÷上代が掛け値。その率は百貨店とアパレルの力関係や商品によって異なるが、一般的に60-70%。
・従来のアパレルメーカーの原価率は、20-30%。
・中国への生地や縫製の生産移管が、国内業者(特に川中)の激減につながった
・百貨店とアパレルメーカーの「消化仕入」という特殊な取引形態が、長期的に両者のパワーを弱める遠因となってしまった

当時の東京スタイルは、日本全国の生地生産地や親機を知り尽くし、その時点でベストな先に発注、売れ筋を見ながらすぐに追加発注し、売れ筋を逃しませんでした。そして丁寧な縫製と仕上げから、安定した顧客基盤を作りました。支払条件等の金払いが良かったので、受託先とWIN-WINの関係性も作れた。
一方、現代のSPAの代表であるユニクロも、詳細が違えど、かなり似ていると思います。全世界で最適な生産地を探し(結果として中国メインですが)、売れ筋を見ながら追加発注し、大量の在庫を抱え込まないようにしました。ベーシックな定番商品を基本とし、機能性と品質の向上を追求しています。低価格にもかかわらず、大量発注するので、受託先とWIN-WINの関係性も作れています。
時代が違うので、日本国内/国外生産、企画製造アパレル/SPA、規模の大小という違いはあるものの、商売のスタイルはかなり似ているのではないか。東京スタイルは、創業者社長の死去、2代目社長の専横、3代目社長の迷走で、事実上、消滅してしまいました。さて、ユニクロはどうなっていくのか。事業承継が最大のキーポイントであることは、間違い有りません。

<ユニクロ ニューヨーク 5番街店は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/25612167.html
2020-04-23 12.27.27-1

 

フィンランドの幸せメソッド SISU(シス) カトヤ・パンツァル著

著者のカトヤ・パンツァルさん(女性)は、フィンランド生まれのカナダ人です。バンクーバー・トロントといった大都会で、編集者としてバリバリ働いていましたが、ストレスで体に変調をきたし、ふとしたきっかけで両親の故郷であるフィンランドに戻ったところ、心の落ち着きを取り戻しました。なぜ落ち着きを取り戻せたのか、自問し、いろいろな専門家やフィンランドの知人に聞いてまわってただりついたのが、フィンランド語のシスSee-Su。意味は、勇気・忍耐・シンプル・自然体です。レジリエンス、グリッド、あきらめない力といっても良い。フィンランドにルーツを持ちつつも、大学教育やキャリアのほとんどをカナダで過ごした著者にとって、フィンランドで生活してみての働き方や教育は、客観的な分析だと思います。

フィンランドといえば、世界一の幸せ大国、かつ教育先進国として有名です。2019年の経済協力開発機構(OECD)が発表した国際学習到達度調査(PISA)で、フィンランドは参加国のなかで唯一、読解力と生活満足度の両方が高い国です。国連の「世界幸福度ランキング」で2年連続トップに輝いているフィンランドですが、未来を担う子ども世代も幸せな日常生活を送っているわけです。一方、フィンランド人は「無口で物静かで、世界でもっとも笑わず、最もしゃべらない国民」ともいわれています。フィンランド人と話したかったら、裸でサウナに入り、隣に座ること。その背景は何か?

いろいろな歴史的背景があるものの、その根底にあるのがフィンランド人それぞれが持っている「シス」だと著者は結論づけています。それによってウェルビーイング(心身の充足感)が得られるといいます。

・北欧のシンプルなライフスタイル・ミニマリスト、レス・イズ・モア
・週末には、自然と交わるアクティビティ
・夏には、ほぼ全員が1週間以上、郊外のコテージで過ごす
・ひとりになって静けさにひたる時間を重視
・自動車よりも自転車通勤という、社会的責任
・マイナス20℃でも、スパイクタイヤの自転車で通勤
・レイングッズ・帽子・手袋・フェイスマスク・着替え・リフレッシュキットさえあれば自転車ライフは快適
・この世に悪天候は存在しない。ただ不適切な衣服があるだけ
・シスはメンタル面だが、フィジカルを鍛えることでプラスに働く
・就学前教育(生まれる前から学校に入るまで)を重視。「遊び」「信頼」「健康」
/」フィンランド教育の強みは、全員が成功することをゴールに定め、国家的アプローチを取っていること
・すべての小学校教師が、修士号以上の学位を持っている
・統一テストや政府の検閲・検定はなく、プロフェッショナリズムに基づく教育現場を信頼
・何事にもスマートにモノゴトを進める

著者が、毎日続けているアイススイミングとは、冷たいエクスタシー、冷水治療のひとつです。冷たい海の中で30秒~1分間くらい、平泳ぎするというもの。冬期は厚い氷が張るので、穴を開けて入る。装備は、水着と毛糸の帽子・手足にネオプレンの手袋・サンダルのみ。著者自身、やってみるまでは、とても信じられない所業だったとのこと。しかしいまでは、その虜になっているそうです。ちょっとずつ、試してみたいですね。

<フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのかは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54505214.html
2020-04-25 12.33.03-1

<マンガ サ道 タナカカツキ作は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54433819.html

太平洋戦争の大嘘 藤井厳喜著

著者の藤井厳喜氏は、ハーバード大学政治学部大学院卒の政治学者、評論家です。かつては大学で教えていたこともあるようですが、現在は、YouTubeや、有料記事配信等で活動されておられる方。保守の立場ですが、必ずしも政権寄りは発言をされているわけではありません。

本書は、太平洋戦争(大東亜戦争)を望んだ者は誰なのか、第31代アメリカ大統領ハーバート・フーバー(任期1929~33)の著作をもとに、藤井厳喜氏オリジナルな見立てを展開しています。まずフーバー大統領の回顧録とは、第二次世界大戦の過程を詳細に検証した「裏切られた自由(Freedom Betrayd)」です。

まず、フーバー大統領ですが、一般的な歴史観は、1929年の世界大恐慌時に有効な経済政策を打ち出せなかった無能な大統領というもの。しかし実際は、第28代大統領ウッドロウ・ウィルソンの下で食糧庁長官、第29代大統領ウォレン・ハーディングと第30代大統領カルビン・クーリッジの下で商務長官を務めた、極めて有能な方だったようです。

結論からいうと、大東亜戦争はルーズベルトによって日本が巻き込まれた戦争だったというもの。昭和初期に日本が軍国主義国家になったことは事実でしょうが、軍国主義だからアメリカに戦争を仕掛けたというわけではないんですね。戦後、マッカーサーも「日本の戦争は自衛戦争であった」と認めているし、フーバーがマッカーサーに「太平洋戦争は日本が始めた戦争ではない。ルーズベルトが始めた戦争であり、ルーズベルトが日本を追い詰めてやった戦争である」とマッカーサーに言うと、「その通りだ。」と認めたそうです。

あの戦争は、「ファシズム・軍国主義 対 デモクラシーの戦い」ではなく「後進資本主義国家である日独伊が、先進資本主義国家である英米の覇権に挑んだ戦い」だった。ヤルタ協定で、ルーズベルト(とチャーチル)がスターリンを連合軍側に引き入れたことが、ソ連が共産主義を世界中に広める手助けになってしまった。スターリンとヒトラー同士を戦わせておけばよかった。

第二次世界大戦の本当の勝者はソ連でありスターリンであり、次に儲かったのは毛沢東の共産党だった。イギリスは戦勝国にはなっても植民地など失ったものが大きい。アメリカは中国本土へ侵入し領土獲得を望んでいたようだが、それもスターリンや毛沢東に阻まれ、実現しなかった。この戦争が無かったら世界地図は全く異なっていた。

それにしても、もととなったフーバー大統領の著作「Freedom Betrayd」が、2011年まで出版されなかったのが不思議です。その邦訳「裏切られた自由」は2017年です。それは本の内容が、ルーズベルト批判、アメリカの第二次世界大戦への参戦への批判だったから。都合が悪かったので、これまで戦後50年以上の放置されてきました。ここにきていろいろな外交文書・秘密文書等が公開されてきていて、出版できる状況になったのでしょうか。

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「イノベーター」で読む アパレル全史 中野香織著

著者の中野香織氏は、服飾史家。東京大学文学部卒、英国ケンブリッジ大学客員研究員などを経て、ライターとなり、アパレル関連の著作多数です。その氏が、1858年以降のアパレル業界に革新をもたらしたイノベーター達の足跡を紹介するという、斬新なものです。50人もの方を紹介しているのですが、特に印象に残ったのは、以下の14人です。

・モードのサイクルを作った、クリスチャン・ディオール
・女性の社会進出を後押しした高級既製服の始祖、イヴ・サンローラン
・時代にふさわしい男性像、女性像を作ったジョルジオ・アルマーニ
・アメリカの上流階級という幻想を創出した、ラルフ・ローレン
・遊び心と親近感ある英国紳士像を体現する、ポール・スミス
・デザイナーズ・アンダーウェアを発明した、カルバンクライン
・ミニマリストの女王、ジル・サンダー
・アジア人初のパリ・オートクチュール組合会員、森英恵
・実用エレガンスの巨匠、芦田淳
・テクノロジーを駆使したファッションデザイン、三宅一生
・モードの哲学者、山本耀司
・コムデギャルソン、川久保玲
・ファストファッションを生み出した、アマンシオ・オルテガ
・コモディティファッションの価値を変えた、柳井正

多くのブランド名が、創始者・イノベーターたちの名前ということが改めてわかりました。すでに鬼籍に入られた方も多く、ブランドのテイストを受け継ぎながら、後継者がブランドを維持していくことに成功しているところもあれば、後継者がいなかったり、会社自体が倒産してしまっているところもあります。本の中で著者は、「人の見え方を変えることは、あり方を変えること」、「ファッション史を学ぶことは、時代と人のあり方の関わりを学ぶことにつながる」といっていますが、先人たちの足跡の先に、今のアパレル業界があることを改めて、体感しました。

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お金の減らし方 森博嗣著

お金を増やすためのノウハウ本があふれている今日、なんという刺激的なタイトルでしょう。そのタイトルだけで購入しました。著者の森博嗣氏は、専門が航空物理学の研究者で工学博士、かつ小説家という異色の方です。ヒットメーカーらしく、氏によると印税収入だけで累計20億円を超えているとのこと。また、私はあまり小説は読まないのですが、「スカイ・クロラ」という小説は、アニメ化されています(著者によれば、小説自体はあまり売れなかったとのこと)。

著者の主張をつきつめれば、自分にとって欲しいものを知ろう、そして買おうということ。現実社会では、多くのひとは自分のためにお金を使っていないように見える。誰かに見せるためにお金を使っている、のではないか。「お金の減らし方」とは、自分が本当に欲しいもの、自分が本当にやりたいことにお金をつぎ込もうということ。それがさらなるチャンスにつながる。

実際、著者の食生活や他人との関わりは、薄給だった国立大学教員だったころとあまり変わらないそうです。逆に小さい頃からやりたかったこと、それは自宅の庭にSL列車を走らせること、ラジコン飛行機を組み立てることに、印税収入をつぎ込む。それ以外の洋服や人付き合い関連支出は、ほとんどしないそうです。

もうちょっと踏み込むと、「お金を減らす方法」が、自分が欲しいもの、やりたいことを実現することとはいっても、単なる消費でなく、その先の探求・研究レベルになると、より楽しくなり、知識が増え、自分の価値が高まる。なるほど、タイトルは「お金を減らす方法」ですが、実は、こういったアプローチでお金を減らすことで、自己実現を達成しようという、著者の実践報告なんですね。新鮮でした。

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21世紀の「男の子」の親たちへ 男子校の先生たちからのアドバイス

著者のおおたとしまさ氏は、教育関連の書籍を多数、書かれている教育・育児ジャーナリストさんです。著者のいくつかの本を読んで感じたことは、実際に取材している、塾の現状等のレポートは、教育学者にはない視点があるということ。今回の本は、男子校(麻布、栄光、海城、開成、芝、修道、巣鴨、東大寺、桐朋、灘、武蔵)のベテラン先生たちのいっていることを、聞いてきてまとめたもの。客観的なエビデンスやデータに欠けるということはありますが、それもそういうスタイルなのだからしょうがないと思います。

21世紀の~とのタイトルはあるものの、これからの教育に求められることは、これまでの教育とそう変わらない。必要とされるのは「そこそこの知力と体力」「やり抜く力」「他人とチームになるコミュニケーション能力」です。日本においては、中学受験のプロセスが非認知能力を高める上で、役立つこともあるとのこと。これは、幼児教育の経済学でも明らかにされています。

面白かったのが、思春期にできることに集中しろ!ということ。これは部活動であったり、恋愛だったりします。恋愛でいえば、これまで両親から全身の愛を受ける側だったのが、愛を他人(女性)に向ける側に立つということ。さらにいえば一人の女性を愛するということを通じて、全世界の人がその営みをしていて、誰かを愛し愛されていることに気づけば、他人を誹謗したり傷つけるような思考や行動にならなくなるだろうと。

<幼児教育の経済学は、コチラ>
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 「あの人はちゃんと見てくれている、わかってくれてる。そう思える大人がいれば、子供は決してねじ曲がらない」。だまって子どもを抱きしめてあげたくなりました。

告発 フェイスブックを揺るがした巨大スキャンダル

フェイスブックは、GAFAのひとつであり、全世界のSNSインフラといっても良い存在だと思います。そのFBは、2019年末に個人情報流出事件を起こしています。2億6700万人以上のフェイスブックユーザーの名前や電話番号を含んだデータベースがオンライン上に公開されていたというもの。

実は、それ以前からフェイスブックの個人情報が、市場で販売・流通していました。個人が知らないうちに、個人の行動・好み・性格等が、第三者に販売され、収益化されていたことが明らかになりました。どういう収益化かというと、例えば選挙行動の誘導です。投票者の性格を分析し、特定に候補者に有利になるような政治広告を出すことによって、当選確率を上げるというもの。そのコンサルティングと実行をしていたのが、イギリスの選挙コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ社(現在は、閉鎖済み)です。著者は、そのCA社で、創立初期の段階から関わり、顧客開拓等の生生しい場面を経験してきた女史です。

有名な事象は、CA社が5000万人以上の個人情報を利用し、2016年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプを支援し、実際に当選に導いたことです。CA社がやっていたことは、「行動マイクロマーケティング」というもの。流れとしては、CAは、自分のデータだけでなく全ての友達のデータをアプリ開発者にアクセスさせる「友達API」アプリ(無料の性格判断アプリ等)によって、収集したFBのユーザーのデータを収集。そして、個人ユーザーに関する数千ものデータポイントから算出されるデータを、行動心理学と社会心理学で分析。その人が、どの程度に「開放的」「誠実」「外向的」「協調的」「神経質」なのかを特定。これらの性格タイプをモデル化することで、ひとりひとりをグループ分け。あとは、マイクロデータターゲティングです。共通する性格と共通する問題意識をもつ個人に的を絞って、望みどおりの結果を得られるまで微調整と改良を加えたメッセージを何度も送る。選挙の場合には、人々に呼びかけて、献金し、候補者と選挙戦の争点について学び、実際に投票所へ出かけ、自陣の候補者へ投票することを求める。

まさに、データ=資産、です。FBが、個人データを外部に販売していることにも驚きましたが、それを活用して、大きくビジネスにしている会社があることにも驚きです。CA社がやっていることは違法性が強いものの、これに近いビジネスが現実の世界で同時多発していると考えると、空恐ろしくなります。

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2030年のアパレルの未来 福田稔著

著者の福田稔氏は、経営戦略コンサルティング会社の共同経営者のひとり。アパレルをはじめとする小売業のアドバイザーとして活躍されている方です。業界慣行やビジネスモデルを熟知しながらも、取引のしがらみがないので、極めてオープンに業界分析と将来を予測しています。

グローバル全体ではアパレル業界は成長しています。ただ市場の構造変化で勝ち組と負け組の格差が広がっている。海外進出ができていない国内には負け組が多い。今後、国内では服の単価も数量も減少していく。その中で生き残っていくためには、①インバウンド需要の取り込み、②越境ECの取組み、③海外出店。

アパレル業界にデジタル化の波は、いろいろな変化を起こしています。

・2割の「能動的な消費者」はインフルエンサー化、プロシューマー化する
ファッションに関心が高い消費者は、影響力の大きい人物、生産活動を行う消費者となり、かつて流行を作っていった編集者やスタイリスト、販売員の役割を担う。その例が、リアルなファッション情報がある、インスタグラム。

・8割の「受動的な消費者」にはレコメンデーション機能の影響力が増す
どうやって服を選んでいいかわからない層は、EC上でのサポートやサブスクによる似合う服のレコメンデーション機能により、パーソナライズされた提示で、合理的に選ぶことができる。その例が、衣服のレンタルサービス、エアークローゼット。

・お気に入りのブランドを「直販サイト」で購入する「DtoC」ビジネスモデルが増える
コアなファンを作り、自社ECサイトから直接買ってもらう、Derect to Consumer。その例が、インスタグラムで口コミを誘発したり、リアルのイベントでブランド価値観を消費者に伝える。例として、誰でも参加できるファッションコーディネイトサイト、WEARアプリ。人気のユーザーをフォローしたり、同じ服をzozo経由で購入可能。

・「売り手と買い手の情報格差」がなくなり、業界人の地位と仕事が奪われる
インスタグラムやWEARアプリが、かつての流行の仕掛け人であった業界人から、優れた個人へ変化し、双方向化しつつある。インスタグラムは、ファッションに特化したものではないが、人のライフスタイル全体の価値観や流行の最先端が、スマホの中にある。

・「無駄な在庫」を抱えるリスクがなくなる
ECとAIの組み合わせで、需要予測の難しさが一定レベルまで解決される。具体的には、ヒット率の向上と生産量決定の精度向上が見込める。その前提として、ブランドとしての独自性がさらに重要となる。例として、ファッションビッグデータを提供する、英エディテッド社がある。

・服づくりのデザインプロセスもデジタル化する
これまでの2次元スケッチをデザイナーが行い、パタンナーが3次元化して立体化するというプロセスが、3DCAD導入により、リードタイムを短縮可能、これが競争力の源泉になっていく。すでにCLOVirtual Fashion社が3Dバーチャルソフトを提供始めている。

・「マス・カスタマイゼーション」で、「受注生産」と「大量生産」の両立が可能になる
パーソナライズされた受注生産と、低コストの大量生産が両立できるようになる。すでにZOZOスーツの登場により、自動計測されたオーダーシャツを安価に提供できる仕組みはできている。

国内アパレル業界に関する書籍は、2017年に出版された「誰がアパレルを殺すのか」等、数多くあれど、これだけの海外アパレル社に精通し、また10年先、20年先を見通す眼力は、さすが経営コンサルティング会社のパートナー。本当に、書かれていることの多くが現実化されると思いました。

<誰がアパレルを殺すのか 杉原淳一・染原睦美著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54456164.html
<アパレル・サバイバル 齊藤孝浩著は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54455358.html
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成功に奇策はいらない 平山真也著

著者の平山真也氏は、海外育ちで、アメリカの戦略コンサルタント会社を皮切りに、リクルートの営業職、米アパレルDickiesの中国法人の副社長、同日本法人の社長として新規法人立ち上げを経験されてきた方です。業界の経営をしていく中で、著者は「当たり前の徹底」が圧倒的な成果を生むことを、体感したそうです。

・アート&サイエンスのバランスが成功の鍵
アパレルは感性(アート)と計数(サイエンス)のビジネスといわれるが、それぞれ専門性を持つスタッフが、お互いをリスペクトし、理解しようとする企業文化が作れるかどうか。

・事業のすべてを有機的に結合し、シンプルな戦略を
戦略は、誰もが理解し、明快でシンプルなものでなければならない。そしてそれが商品企画・製造・物流・価格設定・店舗設計・ディスプレイ・接客・広告・人事・財務・情報システムなど、すべてにかみあっていなければならない。

・「らしさ」を考え抜き、それに根差して戦略を立てる
自らのブランドのらしさを、深く考え直す。それは歴史からひもとき、その企業の核を中心に、適した成長や変革の道筋が見えてくる。

・未来がわからないからこそ、「思い」が大切
ブランディングは、約束の積み重ね。守るべきところと変化していくこと。丁寧に対話し、現場へ説明していくことで、最終的に消費者に伝わっていく。

・ビジョンに「数字」をつければ、実現への道が見えてくる
理念だけでは、観念的・抽象的。実行性あるビジョンとするには、①実現を思い描けること、②従業員がわくわくできること、③数字に落とし込めること。

・人への投資がいちばん大事
高い給与を支払うのは、人に投資しているため。企業のビジョンから戦略が生まれ、戦略から組織像が生まれる。組織像から、求められる各人材像が生まれる。その人材にとって推奨される行動特性(コンピテンシー)を具体的に示し、こまめにフィードバックを重ねることで、個々人の成長を支援していく。これが会社の業績向上につながる。

・遊びも大事、楽しさも大事。ただし、それを業績につなげること。
会社が社員にとって居心地が良く楽しい場所であることで、生産性の向上につなげる。組織のビジョン・戦略の実現につなげるためのもの。楽しく働けるから成果が上がり、業績が良いから働くのが楽しいというサイクルにしなければならない。Work Hard & Play Hard.

・すべては時間の使い方次第。時間軸を合わせ、余裕を作る
時間を無駄にせず、徹底的に行う。1日に24時間しかない。パフォーマンスを上げるには、時間の使い方を考えて、時間あたりの価値を高めるしかない。そのために各部門・各機能の時間軸を合わせ、足並みをそろえる。だらだらやらない。その場で決めることはすぐ決める。ツールを活用する。無意味な作業はしない。無駄な会議はしない。価値の生まれる場所を意識する。

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既存の日本のアパレル経営の闇は、セールの乱発、企画の丸投げ、商品の画一化、若者を低賃金で使い捨てにする経営等は、「誰がアパレルを殺すのか 杉原淳一・染原睦美著」等で、明らかになっています。では、現実の経営者として、どう行動すべきか?その答えは、人・現場・ブランドにこだわること、そして、従業員を幸せにするという、極めて当たり前のこと。当たり前のことを極限まで追求する、との帯に書いてあるが、上記のような行動様式・経営哲学そのものでした。

<誰がアパレルを殺すのか、はコチラ>
http://www.mikito.biz/archives/54456164.html

フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか

フィンランドのイメージは、サウナ・マリメッコ・ムーミン・ノキア、そしてオーロラ。著者の堀内都喜子氏は、フィンランド・ユヴァスキュラ大学大学院で修士号を取得し、フィンランド系企業を経て、現在はフィンランド大使館で広報の仕事に携わっていらっしゃる、長野出身の日本人です。現地で数年間生活し、フィンランド人と関わっていく中で、両国の考え方や行動の相違を感じた(感じている)そうです。それを書籍化したもの。

表紙にも書いてありますが、フィンランドは「仕事も休みも大切にして自分らしく生きる」ことで、幸福度世界一位!有給消化率100%、一人当たりGDPが日本の1.25倍、在宅勤務3割、といまの日本からは考えられないようなユートピアのようですが、本書を読めば、確かに事実だけれど、各個人が自立し、がんばっている結果ということがわかりました。

フィンランド人は、仕事も、家庭も、趣味も、勉強も、なんにでも貪欲。しっかり休んで、効率良く働いているんですね。だから1ヶ月の夏休みをとり、みんなが取るので、他が補完しあう。仕事の能力を高めるために、自主的に継続教育を受講する。

フィンランドの仕事文化は、「ウェルビーイング」Well-Being。身体的・精神的・社会的に老巧な状態にあるという概念です。これは仕事のみならず、日常生活全般にあてはまる。短時間勤務やオフィス環境の整備が、社員の健康やパフォーマンスに直結する。人件費が高いので、生産性の向上・業務の効率化が強く求められる。必然的に、付加価値の高いこと、創造性・革新性が求められる、という好循環です。これは労働人口が減少してくことが間違いない日本に、まさに当てはまることでしょう。少ない労働人口で、男女ともに働き、家事も行い、無駄を省き、効率をあげて、結果のパフォーマンスを出す。そのためには、単なる短時間労働でなく、ITを有効に導入し、書類を減らし、間接業務を減らし、これまでのやり方やしがらみにとらわれず、より効率的に費用的にも良いと思ったことを、ドライに大胆に導入していく。

面白いと思ったのは、上記ウェルビーイングの根底には、「シス」という思考・行動規範があるということです。日本語に直訳すると「頑張る」。ガッツ・忍耐・やり遂げるという強い気持ちです。そして自力でどうにかする、考えるより行動あるのみ。日本の武士道にも、ある意味、通じるところがあるのでしょうか。

<武士道 The soul of Japanは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/51289814.html
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良い会議のためのルール、が紹介されていました。フィンランド企業が集まって作った「良い会議のためのキャンペーン」だそうです。これは実践的で、役に立ちそう。

会議の前に:
①会議の前に本当に必要な会議なのか、開催の是非を検討する。
②もし必要なら、会議のタイプと、相応しい場所を考える。
③出席者を絞る。
④適切な準備をする。細かな準備が必要な時もあれば、そうでない時もある。議長は、参加者に事前に通知し、必要に応じて責任を割り当てる。

会議のはじめに:
⑤会議のはじめに目標を確認。会議が終わった時にどんな結果が生まれるべきか。
⑥会議の終了時間と議題、プロセスの確認。それがアイデア、ディスカッション、意思決定、コミュニケーションのどれであるかを参加者に知らせる。

会議中に:
⑦会議の議論と決定に全員を巻き込む。一部が支配するのではなく、各自の多様性(外向的/内向的)を考慮に入れる。少人数、隣同士との議論を通して意見を表明する機会なども作る。

会議の終わりに:
⑧結果や、その役割分担をリストアップし明白にする。


マンガ サ道 タナカカツキ作

サウナブームの火付け役といえば、やはりマンガ「サ道」です。サ道とは、サウナを極めた道。この本が、いろんなサウナ本の導入になったことは間違いないし、ドラマ化された「サ道」全12話は、放送終了しましたが、Amazon Primeで見れます。

ストーリーとしては、主人公がこれまでオヤジが集まり高温のガマン大会だと思っていたが、偶然サウナの本当の気持ち良さを知ってしまう。蒸しZという架空の師匠を追い求めているうちに、すっかりサウナ中毒に。通い詰める内、サウナ友ができ、気持ち良くなれるサウナの入り方を一緒に追求していく。その中で、全国の有名なサウナを訪れ、ひたすら快楽を追い求めていく。サウナトランス=キマッた瞬間の名ゼリフ「ととのったー!」は、あまりに有名。

著者のタナカカツキ氏は、日本サウナスパ協会公認のサウナ大使(本当)。サウナでのトランス状態を「ととのう」と初めて言語化した方です。今のところ3巻までですが、サウナを広めるために、これからもぜひ続編を描いてほしいと思います。

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私も、ジムや健康センターに附属しているサウナの存在は知っていましたが、暑くて息苦しく、オヤジのガマン大会だという認識でした。さらには水風呂なんで、心臓麻痺一歩寸前のものになんでリスクを犯してまで入るのが理解に苦しんでいました。この本を機に、サウナ10分+水風呂1分+休憩5分を試したところ、血行の流れを直に感じることができたし、脳みそが真っ白になる感覚もちょっとだけ感じられました。新たな境地にまで、導いてくれたこのマンガに感謝です。

ユニクロ対ZARA 齊藤孝浩著

著者はファッション流通コンサルタントの齋藤孝浩氏。日経ビジネスや日経MJ等でアパレル関連の記事を書いていて、大学等でもファッションビジネスを教えていらっしゃる方です。

昨今、既存のアパレル企業が業績を悪化させている中、SPAと呼ばれる製造小売業が躍進しています。その代表が、ユニクロ・ZARA・H&M・GAP等です。その中でも、特にユニクロとZARAは、一歩頭が抜けていて、世界一のファッションチェーンを争っています。

その2社の大きな違いは、ZARAは製造業から始まり、ユニクロは小売業から始まっていること。このスタートの違いが、同じSPAでもいろいろなところに違いがでてきています。

・ベーシックの品質を極めるユニクロと、最新トレンドの提供スピードに磨きをかけるZARA
・対象客層を広く浅く狙うユニクロと、狭く深く狙うZARA
・中国で作り日本で拡大したユニクロと、自国スペインを中心に作り世界で拡大したZARA
・時間をかけてローコストを実現するユニクロと、スピードを重視して値下げを抑えて実現するZARA
・広告宣伝に投資して集客するユニクロと、広告宣伝を一切行わず店舗に磨きをかけるZARA

日本企業なのでユニクロの分析をしている本は多いですが、スペイン企業であるZARAの分析を、店舗に訪れ、ディスプレイを分析し、スペイン本社までインタービューして調べ上げた本は、珍しい。ZARAが、スペインから全世界に商品を空輸できるのは、年間2000本ものボーイング747チャーター便を持っているとは驚き。

ただ両者に共通するのは、顧客ニーズを毎週ごとにくみ取り、デザインや製造にタイムリーに反映させていることです。ユニクロでいえば、毎週月曜日に前週のアイテム・サイズ・色別ごとに売上と予算を比較し、生産調整発注をかけていること。また年間52週すべてにチラシを制作・頒布し、値下げロスを最小限に抑える仕組み。ZARAでいえば、毎週2回、全店舗に新アイテムを投入し、顧客がいつ来ても新商品が並んでいて、立ち寄りを誘因し、いま買わなければアイテムがなくなってしまうことを印象づけ、実際に平均4週間で売り切ってしまうこと、です。

SPA企業は数多くあれども、トレンドファッションの鮮度でいえばZARA、ベーシックのコストパフォーマンスではユニクロ、というポジショニングは、しばらく不動でしょうね。

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スノーデン 日本への警告

著者は、2013年にアメリカ政府が無差別監視をしている実態等を暴露した「スノーデン・リーク」で有名な、エドワード スノーデン氏。元CIA、NSA及びDIAの情報局員で、インターネットの電子通信や電話盗聴活動に従事していました。個人の通信や、家宅捜索や物品の捜索・差押えは法律で禁じられ許されないのに、プライバシーの権利を国民が奪われているということ。大きな権限を持つ中で、国のインテリジェンス活動に疑念を持ち、国民に政府活動の事実を知らせるために、上記のリークをすることにしたそうです。現在、このリークに関してアメリカで刑事訴追中なので、ロシアモスクワに政治亡命中とのこと。

内容は、アメリカをはじめ日本でも行われている、「超監視社会の脅威」です。2001.9.11のアメリカ同時多発テロ事件以降、テロ防止の名の下に、アメリカ政府は、大規模な監視体制を開始。技術発展と相まって、低コストで膨大なデータをインターネットを通じて集めています。対象はテロリストだけではなく、一般市民すべてです。通話記録データから携帯の移動位置情報まで、自動的に一般人の行動が収集されていること。これらの諜報活動の事実を、2013年に動かざる証拠をもってマスコミに持ち込んだのが、スノーデン氏。

さらに、氏は日本警察機構での、イスラムへの上記のような無制限な諜報活動の事実も明らかにしています。いわく「権力が際限のない監視を行い、それが秘密にされるとき、権力の濫用と腐敗が始まる」。これを止めるには、健全なマスコミと市民の声しかないとのこと。一市民として、単に政府に要望するだけでなく、選挙等を通じて政府内部に「公」の心を持つ人間を送り込まなくてはならないと思います。また健全でないマスコミ会社を、視聴しない購読しないという形で積極的に応援しないことも大事。一方、地道な探査報道をしているマスコミ会社を、購読するという形で積極的に応援していきたい。

著作の内容は、2016年にスノーデン氏をゲストに迎えた東京大学本郷キャンパスでの、公益社団法人自由人権協会での講演会の内容をもとに、文字起しを行い、加筆修正したものだそうです。実際には、氏はインターネット中継で出演だったそうですが、その生の声の迫力は文字になってからでも感じられました。2017年に発刊された書籍ですが、2020年の今、読み返しても背筋に汗が流れる感覚です。

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ぜんぶ毛包のせい。花房火月著

私の髪は(まだ)禿げてませんが、AGAについては興味がありました。そんな中、ある書店の一角が「毛包(もうほう)本」にジャックされていました。その大胆なキャッチコピーは、「男性の外見の悩みは、ほぼ全て、毛包のシワザだった」というもの。そもそも毛包って何?というところから読破してみました。

著者の花房火月氏は、東京大学医学部附属病院皮膚科・皮膚光線レーザー科で助教を務められているそうです。皮膚疾患の保険治療だけでなく、美容皮膚・エイジングケア等で、個人病院を経営されている方です。いわく、男は「毛包(もうほう)」に握られている!すなわち、薄毛・AGA・ニキビ・ヒゲ・体毛・ニオイ・汗など、男性であれば何かしら悩みを持っている症状に全て関連しているのが、毛包ユニットのしわざというわけです。

はじめて知った!こと。
・ヒゲエリアの毛の本数は、生まれてから変わらない
・ヒゲエリアの毛の本数は、男女で変わらない
・違うのは、男性の毛が太くて剛毛ということ

なるほど、、、毛包を攻略すれば、悩みの大半はなくなるってことですね。外見に関するコンプレックスを少しでも減らすことで、対人関係(特に異性への)を改善していこうという提案です。さすが皮膚科専門医の視点だと、膝を打ちました。

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毛包本が、書店の一角をずらりと、平積みされていました。それだけ書店が売り出したい!ということでしょうし、ニーズがあるに違いない!!!という確信でしょう。

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古代ローマ人、カエサルも薄毛に悩んでいたとか。すべての男性に一読をお勧めします。

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誰がアパレルを殺すのか 杉原淳一・染原睦美著

著者の杉原淳一氏と染原睦美氏は、日経ビジネスの記者。その現場取材力はすごく、アパレル業界の過去と現在の商流・サプライチェーンが詳しく書かれています。また当事者として高島屋や大丸松坂屋等の百貨店の経営者やユニクロの矢内会長にも直接インタビューする等、アパレル現役プレーヤーの率直な声も収録されていて興味深い。「誰がアパレルを殺すのか」という衝撃的なタイトルと、どピンクの表紙は、書店でもかなり目立っています。私が好きな著名ブロガーのちきりんさんの推薦の書とのこと。

現状認識として、経営的に深刻な苦境にあえぐ大手アパレル業界各社があります。その例が、ワールド・三陽商会・オンワード樫山・レナウンです。それら国内大手の売上高や純利益は激減しています。同時にアパレル業界と、一緒にビジネスを拡大してきた百貨店も業績不振店が多く、地方だけでなく都内でも閉店店舗が出てきています。

その原因は、アパレル・百貨店いずれもかつての成功体験・ビジネスモデルから抜け出せないから。そして、消費者のニーズを考えずに、服を作りすぎるからです。高度成長期以降、服は作れば作った分だけ言い値売れて、余っても在庫処分しても十分な利益が取れていた。海外ブランドの取扱い数を増やせば、その分だけ、売上げが伸びた。さらに規制緩和で全国各地に大型ショッピングセンターができたときには、そのテナントとして、アパレル企業がこぞって出店。これをさして、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、これを数打ちゃあたるの、散弾銃商法と呼んでいました。

しかし消費者の目が超えてきて、ブランド名だけでは購入しなくなるようになると、デフレの影響もあり次第に販売単価が下がってきます。そのためアパレル各社はコストカットに注力し、商品はOEMメーカーや商社に発注して中国で生産するようになりました。同じ商社やOEMメーカーがデザイン提案や生産をするので、ブランドは違うのに似たような流行のファッションとなり、ますます消費者がはなれていく。一方、アパレル社内にはデザイナーが育たず、国内の縫製工場は減っていくという悪循環。

これまでの、小売は百貨店、企画はアパレル、製造は工場という水平分業が時代にそぐわなくなってきていると思います。キーは、消費者のニーズ把握。百貨店が軒先貸ビジネスをやっているかぎり、企画のアパレル会社に、ダイレクトに消費者ニーズが届きにくい。その点、昨今ビジネスを急拡大している、SPA企業(ユニクロ、ZARA、H&M等)は、自ら店舗を持ち、企画し、製造指示し、そのサイクルが短いため、顧客のニーズを把握し、企画生産にすばやく反応することができる点が大きい。

<ちきりん 未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられるは、コチラ>
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一方、消費者のファションに対する思考・行動も変わりつつあります。もはやブランドというモノを買うことや所有することに対するこだわりは薄れ、流行もしくは好みのファッションがあればよい。古着への抵抗感もないので、エアークロゼットやメチャカリ等、ファッションのレンタルやシェアの企業も
出てきています。また中古売買も、メルカリやZOZOユーズド等が手がけています。これからは他人からの見栄で服を着るのではなく、価格やデザインに自分が納得して着る時代になってきているのでしょう。

その他にも持続可能なモノ作りを目指す、ミナペルホネンやパタゴニアの企業理念、行動が紹介されていてこれも興味深かった。
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吉田みきと プロフィール

ふるさとの福島県いわき市で、市議会議員として活動しています。いわき市は、震災後、複層的な問題が山積しています。公認会計士・一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 認定 アンガーマネジメントファリシテーターとしてのキャリアを生かし、フレッシュな視点で問題点を洗い出し、解決策を提案していきます。



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  • ゴーンショック 日産カルロス・ゴーン事件の真相
  • スマホ人生戦略 堀江貴文著
  • 精読 学問のすゝめ 橋本治著
  • なまけもの時間術 ひろゆき著
  • PRESIDENT FACT FULNESS ネット記事ねつ造がビジネスに
  • 優位戦思考で世界に勝つ 日下公人著
  • 日本書紀入門 2000年以上続いてきた国家の秘密に迫る 竹田恒泰著
  • スポーツ立国論―日本人だけが知らない「経済、人材、健康」すべてを強くする戦略 安田秀一著
  • これからの投資の思考法 柴山和久著
  • アパレルは死んだのか たかぎこういち著
  • 新・失敗の本質 失われた30年の教訓 山岡鉄秀著
  • アパレル興亡 黒木亮著
  • フィンランドの幸せメソッド SISU(シス) カトヤ・パンツァル著
  • 太平洋戦争の大嘘 藤井厳喜著
  • 「イノベーター」で読む アパレル全史 中野香織著
  • お金の減らし方 森博嗣著
  • 21世紀の「男の子」の親たちへ 男子校の先生たちからのアドバイス
  • 告発 フェイスブックを揺るがした巨大スキャンダル
  • 2030年のアパレルの未来 福田稔著
  • 成功に奇策はいらない 平山真也著
  • フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか
  • マンガ サ道 タナカカツキ作
  • ユニクロ対ZARA 齊藤孝浩著
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  • ぜんぶ毛包のせい。花房火月著
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