風評被害について描かれた本はたくさんありますが、論点が複雑に絡み合っていて、結論や解決策が見いだせないものが多かった。この本のポイントは、諸課題を4つの視点で切り分けて考えていること。4つとは①科学的なリスク判断、②原発事故の責任追及、③一次産業を含めた復興、④エネルギー政策です。いろんな諸課題を、①~④のどの視点で論ずるかを決めてからのほうが議論しやすい。というより①~④の立場のひとが同じ課題を一緒に論じても、まったく話がかみ合わないのです。この視点を明らかにしたという点で、この本は出色だと思います。
農水産物の一大供給地であった福島県は、東日本大震災の原発事故以後、現在にいたるまで、風評により、苦しい状況にあります。一方で、福島以外の地域では、原発事故と震災の記憶の忘却が着実に進行しています。
その風評被害の払拭の戦略について。福島以外の情報の受け手は、放射線や食について、あえて勉強する時間を割いて聞く必要がない。それを考慮せずに単純にデータや事実を知らせさえすれば風評は払拭されるという戦略は、現実味が薄い。ましてや無関心の人やネガティブイメージを持っている人を勉強不足として批判したり見下したりすることは、有意義な効果をもたらさない。
やはり消費者の直感や感情に訴えかけた上で、それをきっかけとして情報を更新する興味と動機付けを与えることが必要。それは、震災事故あるなし関係なく、普通のマーケティング・ブランド価値向上という普遍的なテーマともいえる。
フィンランドの小学生5年生が作ったという「議論の10のルール」の則って議論することも、リスクコミュニケーションに重要との指摘も有用でした。
農水産物の一大供給地であった福島県は、東日本大震災の原発事故以後、現在にいたるまで、風評により、苦しい状況にあります。一方で、福島以外の地域では、原発事故と震災の記憶の忘却が着実に進行しています。
その風評被害の払拭の戦略について。福島以外の情報の受け手は、放射線や食について、あえて勉強する時間を割いて聞く必要がない。それを考慮せずに単純にデータや事実を知らせさえすれば風評は払拭されるという戦略は、現実味が薄い。ましてや無関心の人やネガティブイメージを持っている人を勉強不足として批判したり見下したりすることは、有意義な効果をもたらさない。
やはり消費者の直感や感情に訴えかけた上で、それをきっかけとして情報を更新する興味と動機付けを与えることが必要。それは、震災事故あるなし関係なく、普通のマーケティング・ブランド価値向上という普遍的なテーマともいえる。
フィンランドの小学生5年生が作ったという「議論の10のルール」の則って議論することも、リスクコミュニケーションに重要との指摘も有用でした。
1.他人の発言を遮らない
2.話す時は、ダラダラとしゃべらない
3.話す時に、怒ったり泣いたりしない
4.分からないことがあったらすぐに質問する
5.話を聞く時には、話をしている人の目を見る
6.話を聞く時には、他のことをしない
7.最後まできちんと話を聞く
8.議論が台無しになるようなことを言わない
9.どのような意見であっても、間違いと決め付けない
10.議論が終わったら議論の内容の話はしない