吉田みきと ほぼ毎日ブログ

「死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし。 生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし。」 吉田松陰・高杉晋作語録   「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ人は始末に困るが、そのような人でなければ天下の偉業は成し遂げられない。」 西郷隆盛・山岡鉄舟語録

2013年10月

10月議会 質疑しました(全文掲載)

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質疑

 

5番 失敗の本質 吉田実貴人

 

ただいまより、10月定例議会初日に行われました市長提案要旨説明について質疑を行います。

 

1.     「医」、すなわち医療に関して

1点目、国・県と連携する効果的な医師確保策について

市長から医に関して、国・県と連携し、効果的な医師確保策を講じるとの発言がありました。

ア 国・県と連携すると、なぜ医師が確保されるのか伺います。

 

(執行部回答)医療の確保については、医療法により国が基本的な方針を定め、県がその方針に基づき、地域の実情に応じて、県医療計画として医療提供体制の確保を図るための計画を定めることとされております。

医療提供体制の確保については、一自治体のみで対応することは困難でありますことから、効果的な医師確保策を推進していくためには、国・県と緊密な連携を図ることが重要であると考えております。

 

イ 効果的な医師確保策の実施により、市としていつまでに何人確保したいかの目標を伺います。

 

(執行部回答)厚生労働省の平成22年の医師・歯科医師・薬剤師調査によれば、本市の人口10万人あたりの医療施設従事者数は、160.4人であり、全国平均219.0人、県平均182.6人を大きく下回っている状況にあります。

市としましては、まず震災前の慢性的な医師不足の状況を解消する必要がありますことから、県の人口10万人あたりの平均医師数182人を当面の目標としているところであります。

 

2点目、いわき市地域医療協議会の会長就任について

市長から、救急医療の充実に向けた課題等に対応するため、いわき市医師会・いわき市病院協議会・いわき市の3者で構成するいわき市地域医療協議会の会長となるなど、私が先頭に立って、地域医療体制を早期に立て直して参りたい、との発言がありました。

市長が会長となることによって、いわき市医師会・いわき市病院協議会に対してどのような指導力を発揮され、先頭に立って地域医療体制を早期に立て直しいくのか具体的に伺います。

 

(執行部回答)市地域医療協議会は、これまで副市長が会長を務めて運営して参りましたが、本市が真に復興していくためには、医療の復興は重要でありますことから、今後は、市長が会長となり、先頭に立って、市内医療関係者との連携を図りながら、医師の招聘や救急医療の充実・強化に向けた取組みを推進していくこととしたものであります。

 

2.           観光イベントの開催について

1点目、着地型観光イベント等について

市長から、風評被害を打開するため、市主導による着地型の観光イベントの開催や各種大会及び会議等の誘致に努めながら、交流人口の回復・増大を図るとの発言がありました。

ア 着地型観光イベントとは具体的にどのようなイベントを指すのか伺います。

 

(執行部回答)着地型観光イベントとは、市やいわき観光ビューローなどの関係団体、市民団体等が開催する地域資源を活かした既存のイベントであり、これらイベントを、市が中心となり有機的に連携させながら、年間を通し、市内全域を会場に見立てて、「(仮称)いわきサンシャイン博」として、プロモーション活動を展開することとしております。

 

イ 各種大会及び会議等の誘致活動を、誰に対してどのようなアプローチで行うのか、具体的に伺います。

 

(執行部回答)各種大会や会議等の誘致につきましては、県の補助制度に加え、本市独自の補助制度を創設するとともに、会議の開催が可能な施設等を掲載したパンフレット等を作成したほか、それらの内容の周知を図る「誘致推進員」を設置してきたところであります。

今後におきましても、市長を先頭に、経済団体等とも連携を図りながら、国・県、学会、企業、団体等へ働きかけ、誘致の推進に努めて参りたいと考えております。

 

2点目、市主導で観光イベントを開催することの意義について

市民の血税を使って、観光イベント開催や各種大会及び会議等の誘致活動をした成果を、どのように測定し検証しているか伺います。

 

(執行部回答)観光イベントの開催や、各種大会・会議等の誘致により、多くの方々が本市を訪れていただくことになるため、地域の安全性や魅力の発信、風評の払拭、観光関連産業の再生、ひいては、地域経済の活性化につながるものと考えております。

したがいまして、これらイベント等の誘致の効果については、観光交流人口の推移等をもって把握して参りたいと考えております。

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櫻井よしこ講演会 平和を愛する中国・北朝鮮の公正と信義に信頼

櫻井よしこ講演会 君の一歩が明日を変える!30才台を中心に約500名が聴講してます。日本外交を自分の頭で考える若者が増えている実感があります。
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櫻井氏は、安倍政権の外交スタンスに同意の方です。国連が各加盟国に認めている集団的自衛権行使については、国益を守るために必要であるので、早期承認を求めていくそうです。興味深かったのは、日本国憲法前文への批判的な見方です。作成の経緯が、法律の専門家でないアメリカ人25人によって6日間で英語で作られたものを邦訳したものであるということはともかく、その前文の内容です。

<原文抜粋>
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。

<諸国民と国際社会を、北朝鮮と中国に置き換えると>
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する中国の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている北朝鮮において、名誉ある地位を占めたいと思う。

・平和を愛する中国の公正と信義に信頼して、
・平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている北朝鮮において、名誉ある地位を占めたい

上記は、ほとんど冗談にしか聞こえません・・・というお話をされました。

もうひとつ興味深かったのは、パナマ運河拡幅と、今後のロシア国力の凋落の関連性です。アメリカは、現在世界最大の石油輸入国ですが、シェールガス革命により、飛躍的なガス埋蔵量を得ることなりました。これにより数年後には中東からの石油輸入が半減することができる可能性があり、さらにはシェールガスの輸出先として、巨大ガスタンカー船が拡大したパナマ運河を通って日本に輸出も視野に入ってくるかもしれないとのこと。
現在は、ロシアの主な輸出品は、ガスや石油等の地下資源で、それに代わる2次産業は育っていません。もし、シェールガス等エネルギー-の選択肢が増えた場合、ガスや石炭価格の下落は免れず、輸出総額の減少が見込まれるとのこと。また、シベリア地方は人口減少にあえぎ、逆に中国国境から中国人の入植を防げない状況だそうです。これらを考えると、ロシアに対して適切に外交対応していけば、北方領土の返還の道筋も見えてくるという話をされました。

国のあり方を、いわゆる理念だけでなく、直近の動きを自ら情報を取りに行って、継続的に深く分析されている方だと強く感じました。

<櫻井よしこさんとの勉強会は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/24118531.html 

G1東松龍盛塾

G1青松龍盛塾に参加しました。これは「志とビジネスマインドをもった政治家、パブリックリーダーを育てる」ことを目的とする勉強会です。塾の名前は幕末の維新の志士、藤田東湖、吉田松陰、坂本龍馬、西郷隆盛からとっています。対象は主に地方議員もしくはこれから政治を志す人で、明治維新の思想を題材に勉強して、現代の志士を育成し、地方から同時多発的に日本を変革しようとするものです。政治視点×ビジネス視点を持つため、グロービス経営大学院のクリティカルシンキング、ファシリテーション、マーケティング、組織とリーダーシップなどを学びます。

今回は1泊2日、東京のグロービス経営大学院で開催されました。第1回ということで、①歴史から学ぶリーダーの志、②クリティカルシンキングの基礎、③記念講演パネルディスカッション、④リーダーシップ概論、⑤ビジネスファッションの講義です。グロービスは休日にもかかわらず、多くの一般社会人が学びのために来校し、フリースペースで自主的なチームディスカッションをしていました。
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1. 歴史から学ぶリーダーの志  講師:林英臣先生
講師の林先生は、松下政経塾の第1期生です。同期の多くが国会議員等になっている中、自分の役割は思想家だとし、後進の育成に心血を注いでいらっしゃる方で、年間講演170回とのこと。特に明治維新時に活躍した志士の思想を、日本古来の考え方との共通項を捉え、原点確立・大局観察・本気集中・徹底継続の4つを重視されています。特に、政治学の原点は、種すなわち素志を持つこと。人生という大木は素志という種から根が生えて、初めて幹や枝葉という立志ができるというものです。この素志がない、もしくは忘れてしまうと、遠くを見据えることができなくなってしまいます。
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松下村塾では、たった2部屋18畳の寺子屋で、吉田松陰が教えた時期は2年に足らないそうです。そこから高杉晋作や伊藤博文等のきら星のような志士が育成されていったのは、長州藩校(明倫館)のように過去を教えたのではなく、未来を考えることを教えたからです。すなわちある事象が起きたとき自分ならどう考えるか、どう動くかを塾生に考えさせたからです。また「知行合一」、すなわち、知ったからには行動しなくてはならないと教えたからです。だからこそ吉田松陰は自らペリー艦隊へ密航を試み、また伊藤博文はせっかくの英国留学中に、英仏米蘭の4カ国艦隊の報復攻撃の報を聞き、直ちに留学を打ち切って帰国し、長州藩内を説得するという決断をします。その時点で何が大切なのか、どう行動すべきかを、失敗を恐れず自らが英断できる決断力を教えたわけです。

吉田松陰の高杉晋作宛の書簡には、「死して不朽に見込みあらば、いつでも死ぬべし。生きて大業の見込みあらば、いつでも生くべし」というものがあります。この意味は、死んで自分が不滅の存在になる見込みがあるのなら、いつでも死ぬ道を選ぶべきです。また、生きて、自分が国家の大業をやり遂げることができるという見込みがあるのなら、いつでも生きる道を選ぶべきです。生きるとか死ぬとか…、それは『かたち』にすぎないのであって、そのようなことにこだわるべきではありません、という意味です。逃げの小五郎と呼ばれた高杉晋作の行動の底には、死や後生に対する深い認識があったのだと思います。

2. クリティカルシンキングの基礎 講師:田久保善彦先生
クリティカルシンキングはビジネススクールでもしばしば取り上げられるテーマです。今回は主に問題解決力とコミュニケーション力を主眼として、ある製品の販売てこ入れを題材に、各チームにアイデア出しをするというロールプレイをしながら、よりよい考え方についてアドバイスをいただきました。

・ホワイトボードにアイデアを書き出し、メンバーと共有する
・他人のアイデアを評価しない
・似たアイデアを遠慮せずに出す 等

大事なのは、問題解決にあたって全体像(枠組み)をつかみ、問題を分解し、深く考えること(解釈)するというステップです。1.枠組み 2.分解 3.解釈を行うことにより、モレや重複をなくす(いわゆるMECE:Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)ことができるわけです。ただ言うはやすし行うは難しい。全体像の枠組みをつかみ、問題点を分解するというのは、高い視点を持ち、かつ本気になって頭を絞らないとできません。その練習は、新聞記事を読み、その記事の意図、効果、自分の生活にどう影響するかを考えることだそうです。またこの分解という作業にあたっては、それぞれのステークホルダーの立場で考えるという視点もいただき、これは有用だと思いました。

3. パネルディスカッション パネラー:千葉市長 熊谷俊人氏、ワークスアプリケーションズCEO 牧野正幸氏、グロービス経営大学院学長 堀義人氏

33才の千葉市長 熊谷俊人氏とワークスアプリケーション代表の牧野氏、グロービスの堀代表とのパネルディスカッション。今起きている、IT投資を例に具体的な事柄をどのように経営トップが捉え、深く考え、リスクをとっているかの一端を垣間見ることができました。
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現在千葉市では、千葉レポというシステムをマイクロソフトと共同開発・運用中だそうです。これは市民が自分の携帯電話等から、市内の道路用補修箇所の状態を、写真付きレポートとしてWeb上へ投稿し、市へ報告するというものです(GPS機能付なので位置情報も同時通報)。市はその通報を受けて補修の要否を判断し、そのステータス(未補修・補修手配中・補修済等)が画面上でわかる仕組みです。
<千葉レポは、コチラ>
http://www.city.chiba.jp/shimin/shimin/kocho/chibarepo.html

これの要諦は、市民と市との協働による問題の解決になっていることです。いわゆる「すぐやる課」と異なるのは、補修等を「すぐやらないこと」だそうです。熊谷市長いわく、すぐ対応するのではコストが多大にかかってしまう。不具合のステータスを市民と共有することがシステムの目的で、将来的にはいくら補修にコストがかかるか、いいかえれば市民の税金が当該工事箇所に投入されたか、誰でもわかるようにしたいとのことです。それにより、市民みずから「行政に補修を依頼すると、そんなに血税が投入されてしまう」ということを啓蒙したいとのこと。そのことが住民共同体意識を高めることに資するとのお考えです。仕組みはIT導入ですが、その目的は、住民の共同体意識付けという深謀遠慮です。

このシステム開発にはマイクロソフトが担当し、千葉市が実証実験に強力するかわりに無償でソフトの提供を受けるというスキームを熊谷市長が提案し実現したそうです。マイクロソフトは、ソフト開発に協力しますが、ノウハウが蓄積でき、ソフト開発完了の暁には、全国の自治体に当該システムを販売することができるというメリットがあります。一方、千葉市は、無償でソフト提供を受けられますが、職員を多数常駐させその人件費負担があります。またそもそもソフト開発が失敗した場合、何も得られない可能性もあり、それらのリスクを理解し、背負った上で、マイクロソフトとの提携を決めたそうです。

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ワークスアプリケーションズ様は、地方公共団体の人事管理システムで大きなシェアを持つ、大手システムベンダー以外の会社としては、希有な存在です。今回の大震災で、どんなに堅固や集中型システムであっても脆弱性が露見したので、今後は分散型・クラウド型が主流になるだろうとの見方です。データを一カ所に厳重に集中管理するのは一見、信頼性が高そうに見えるが、かえって脆弱だというのが持論です。要は、リスクとそれに見合ったベネフィットが得られるかどうか、です。その例として、社内サーバーのセキュリティレベルの話をされました。24時間365日100%信頼性の社内サーバー構築に10億円かけるより、1年間のうち2時間ダウンしてしまう社内サーバーが1億円でできるなら、間違いなくCEOの責任で後者を選択する、とおっしゃっていました。要はトップマネジメントが、リスクとそれに見合ったベネフィットを理解し、責任を全て背負えるかどうかということと理解しました。
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4. リーダーシップ概論 講師:朝比奈一郎先生
朝比奈一郎先生は、東京大学法学部卒業、ハーバードのケネディスクール修了の秀才。経済産業省を課長補佐で退職し、青山社中株式会社を設立された方です。
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 リーダーとマネージャーとの違いについて、いろいろな研究結果を話されました。その中でも琴線に響いたのは、リーダーは生まれながらのものでなく、後天的なものが多いということです。1. Lead the self(まず自分で行動する) 2. Lead the People(フォロワーがついてくる) 3. Lead the Society(社会が変わってくる)ということを、桃太郎と東京オリンピックを例に出し、納得です。
桃太郎:桃太郎が鬼退治に行く→猿やキジが仲間に加わる→鬼退治に成功し、安心社会が実現する
東京オリンピック:石原都知事が1度提案に失敗しても、孤軍奮闘する→2回目にはうまいプレゼンチームを編成することができた→東京に開催が決定すると日本中がお祭り騒ぎになった
 
リーダーの種類にはAppointed Leader(組織等から任命), Elected Leader(選挙で選出), Emergent Leader(自然発生)があり、 Elected Leaderの場合、選挙でのライバルが残っており、就任当初から敵がいる状態でマネジメントを始めなければいけないという、まさにどこかの自治体の現状を表しているかのようです。この処方箋も個人的に教えて頂き、良いおみやげになりました。

リーダーには説明責任・アカウンタビリティや遵法性が求められますが、その対比の例として、武雄市の樋渡市長が決断した、市立図書館の運営を民間のビデオレンタル業者TSUTAYAに任せる事例が紹介されました。図書館建設にあたり、TSUTAYA入居が前提なので、実質的な入札がなく、ほとんど特命発注で行ったものです。本来であれば既存ルールに則って一般競争入札し、市民に合理的・客観的説明を行うところですが、そんなことをしていたら市民の役に立つ図書館が建設できないと判断した樋渡市長は、市長の責任において合理的・客観的説明を乗り越えて、TSUTAYA仕様での建設発注に至ったそうです。来年2月には、私も武雄市の現地に行くことになっているので、その際に実際にご苦労された点等を見てこようと思います。
 

ドイツ 移動交通手段

今月のドイツ視察旅行では、フランクフルト・ハンブルグ・ブレーマーハーフェン・バーデンバーデン・デュッセルドルフ等の街を1週間で駆け回ったので、いろいろな交通機関を使いました。

1. ICE(ドイツの新幹線)
デュッセルドルフからフランクフルトまで、ICEの2等車に乗車しました。座席の間隔が新幹線や常磐線に比べると、非常に狭いです。 聞くところによると、新幹線の方がICEより40㎝、またTGVより45㎝広いそうです。朝7:30発、9:00着の列車でしたが、通勤客で乗車率は100%を超えていました。
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前日に、インターネットで座席予約をしていたので、無事座れました。プリントアウトしたものが乗車券+指定席券になります。乗車後に(必ず)検札が来ますので、車掌さんがスキャナーで、このQRコードを読み取って座席を回っていきます。
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食堂車が連結されていました。サンドイッチとコーヒーがセルフサービスで購入できるそうです。空いていれば買いたかったのですが、通路上も立ち客がいる状態では、とても食堂車までたどり着けませんでした。
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今回、ドイツのICEで感心したので、列車スケジュールの正確性です。全く1分の遅れもなしに到着したことに驚いたことと、駅ホームの時計に秒針があったことです。いまだかつて秒針がある駅時計を見たことがありません。まさか秒単位で発車時刻を管理していることがないにしろ、正確運行を心がける意気込みを感じました。
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2. モノレール 
ドイツ在住の友人が、ヴッパータールという街の、空中鉄道と呼ばれる、めずらしい懸垂式モノレールに連れて行ってくれました。1901年に開通したので、110年以上の歴史的路線です。それにもかかわらず、普通の市民の足として今でも活躍しています。
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懸垂部分。100年以上前のテクノロジーです。
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ヴッパー川の水面から約12メートルの高さに架けられているため、眺めは最高。というよりも、眼下に何もないので怖いです。
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車内はいたって普通なのですが、横揺れがすごい。考えてみれば、宙づりともいえる状態で走っているわけで。
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3. リフト
ブルグシュロスという街で、ザイルバーンという2人乗りリフトに乗りました。
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高低差100m以上あるので、足がすくみます。間違ってリフトから落ちたら軽傷ではすみません。
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4. トラム(市内のちんちん電車)
マンハイム市内のトラム、いわゆるLRTは、網の目のように路線が張り巡らされてありました。道路に車両とトラムが同居しているところは都電荒川線を想起しますが、その運行ダイヤの頻度が非常に高い。路線の運転間隔が数分おきであることに加え、ターミナル周辺は複数路線が交差しているため、ひっきりなしにトラム車両が走っています。ターミナル駅付近の道路には、多数の歩行者とトラムが優先、車はその次という感じです。
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低床式の車両は2-3両編成で、収容人数は電車並みです。距離ゾーンに応じて事前に切符を購入します。完全に市民の足となっています。学生は運賃無料とのこと。
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5. 登山電車
ハイデルベルグの登山電車です。最大斜度40度だそうです。
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6. ライン川の渡し船
ライン川に橋が架かっていない場所では、このような浮き桟橋から渡し船がでます。
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渡し船の全景。大型バスも甲板上に乗せられるんです。
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7. 市内のタクシー
タクシーのほとんどが、メルセデスベンツ製でした。高級感というよりも、安定性・安全性・価格のバランスで選ばれているようです。なお、お客が乗る場所は、原則として助手席です。うっかり後部座席の乗り込もうとしたら、ドライバーのおばさんに、助手席に座って!とやんわり指示されました。
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8. アウトバーン(無料の高速道路)
ヒトラーが建設を始めたアウトバーンですが、総延長13,000kmに達し、自動車王国の地位を盤石にしています(もっと国土が広い日本の高速道路の総延長は9,000km)。速度無制限が吹聴されていますが、実際には半分くらいの区間が何らかの速度制限があり、当然違反切符も切られます。沿道には、そこここに陸上風力発電の装置を見ることができます。
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ネアンデルタール博物館

ネアンデルタール博物館(Neanderthal Museum)に行きました。ドイツのメットマンというデュッセルドルフ近くにある博物館で、最初にネアンデルタール人の骨が発見された場所に建設されています。

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1856年にNeandertal (ネアンデル谷)のフェルトホッファー洞窟で約20万年前に現れて2万年前に絶滅したといわれている石器時代のネアンデールタール人の化石が見つかりました。現在、人類の直接の祖先ではないという学説が有力ですが、一部では絶滅せず生き残ってそのDNAが現在の人類にも流れている説もあります。

なんと!日本語のパンフレット(1部のみ貸出用)があることに驚きました。大国ドイツが英語用のみならず、日本語対応してくれるとは感激です。展示内容は本格的、かつ本物!が多いです。
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博物館では、埋葬の習慣など独自の文化を持っていたと考えられているネアンデルタール人の特徴や暮らしを紹介するとともに、森から地上へと生活場所を変えた人類の、進化の足跡をたどる旅へといざなってくれる。
道具を使い、社会を形成し、宗教という精神世界を持つ人間。便利さ、快適さを追求するために環境を破壊し、自然への畏敬の念を忘れてしまった我々は、これからどこへ向かおうとするのだろうか-その問いかけが胸に重く響いてくる。

緩やかなスロープに設置された展示品は見るだけでなく、オーディオで流れる説明は、同じ展示物に対して大人用と子供用の2種類が用意され、大人だけでなく、子ども100%楽しめる仕組みで、なるほどと思いました。
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実際に火起こし体験をします。
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発掘体験をします。
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平日のランチタイムに訪れたのでガラ空きかと思ったら結構な混雑、かつ全員が真剣に展示物及びその説明を読んでいました。子供の教育のために家族連れで立寄り、親も展示に引き込まれたという感じでしょうか。
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最後はお約束の・・・どこでもあるんですね。ドイツ人家族も記念撮影していました。
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10月議会初日 清水新市長の市政運営に関する基本的な考え方

本日10/24に10月議会が始まりました。会期は10/24-11/8の16日間です。冒頭、清水市長から今後の市政運営に関する基本的な考え方が示されました。以下、市長発言の抜粋です。

1. 医療(全文)
医に関しましては、本市の人口に対する医師数の割合は国や福島県と比較して低いことから、国・県と連携し、効果的な医師確保策を講じるとともに、救急医療の充実に向けた課題等に対応するため、いわき市医師会・いわき市病院協議会・いわき市の3者で構成するいわき市地域医療協議会の会長となるなど、私が先頭に立って、地域医療体制を早期に立て直して参りたいと考えております。
2. 産業育成
再生可能エネルギー関連産業の集積を図る。蓄電池・原発廃炉・ロボット産業等に力を入れる。
3. 住宅
住宅用地の供給量を増やす。市街化区域内の農地転用や、市街化調整区域の見直しを行う。
4. 復興
災害公営住宅・震災復興土地区画整理事業・防災集団移転促進事業・復興特区・各種助成制度を活用する。
5. 原発事故
1Fの5.6号機のみならず、県内すべての原発の廃炉を目指す。近日中に自ら現地視察を行い、状況を確認する。住宅除染を進め、健康管理対策を行う。
6. 風評被害対策
風評被害を打開するため、農産品の検査態勢の一層の充実強化と安全・安心ないわきブランドの発信などに取組み、風評に負けない農林水産業の復活に取り組むほか、市主導による着地型の観光イベントの開催や各種大会及び会議等の誘致に努めながら、交流人口の回復・増大を図る。
7. 双相地区からの避難者
避難元の町村長と話し合う。ふるさとに帰還できるまで、本市での生活を可能な限り支援する。
8. 市立総合磐城共立病院(全文)
浜通りの中核病院として大きな役割を担う総合磐城共立病院につきましては、市民の皆様に、将来にわたり、安全・安心の医療を提供していくため、高度・先進医療や救急医療などの更なる充実を図る必要があることから、またとない福島県地域医療復興事業補助金を有効活用して新病院建設に取り組むべきものと、直ちに判断いたしました。また、経営形態のあり方につきましては、私は、市長就任以来、様々な視点から熟慮を重ねて参りましたが、市病院事業中期経営計画に基づく各種取組みの着実な推進により、昨年度においては、平成12年度以来、12年ぶりに黒字決算となるなど、経営状況に一定の改善が見られることを評価するとともに、次年度に予定される地方公営企業会計制度の大幅な改正なども見据えて、当面、病院事業管理者のもと、現行の地方公営企業法の全部適用を維持し、経営改善に向けた更なる取組みを進めていくこととしました。
9. その他
子育てに関する施策を一元的に担う新しい組織の設置、出産祝い金制度の創設、学校司書及び放課後児童クラブの拡充等を進める。

また、10/10付で任命された特別職の就任挨拶がありました。
・上遠野洋一副市長(新任):市長の指示の下、全力で取り組んで行きたい。
・平則夫病院事業管理者(再任):浜通りの中核病院として高度医療・医療サービスを安定的に行っていきたい。

なお、教育長の席は、先任の辞職後、任用がまだですので空席のままです。一方、水道業管理者については、先任の辞職後、職務代行として三浦広太郎水道局次長が水道事業管理者として議会に出席されていました。市役所内で、対応が分かれるのは異例のことです。
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議会初日終了後、NHKをはじめとする報道陣が、清水新市長を取り囲み、主に市立総合磐城共立病院の建替え問題についての質疑を行っていました。清水新市長は、市長選時には、同病院の拙速な建替えには否定的な考え方を示し、経営体制を改善することが先決で、建設場所や時期についてはそれから考えるべきと主張されて当選された方です。初登庁から1ヶ月も経ずに「新病院建設に取り組むべきものと、直ちに判断」したのは、波紋を呼びそうです。
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ハンブルグ 水と緑の都

ハンブルグで気づいたこと、それは湖や川と共生していることでした。確かに街の中央にアルスター湖が位置し、ヨーロッパ最大級の港町でもあるのですが、街中に張り巡らされた運河、さまざまな風景を楽しめる広大な公園を見ると、市民が積極的に水と関わって生活したいという強い思いを感じます。こちらの写真は早朝に湖周辺を散歩したときのものです。
 
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町の中心部から徒歩圏で湖に到着できます。湖にはたくさんの民間ヨットが浮かべられていました。聞くと、現地では高校生のうちにヨットの免許を取得するのが一般的で、そのころから頻繁にヨットに親しんでいるのだそうです。ヨットや船の維持にはそれなりの労力がかかるのは、どこの国でも一緒ですが、それを受入れてエンジョイできる風土があるようです。
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別名 「水と緑の都」 と呼ばれるハンブルクは、ドイツ第二の大都市でありながら,街の面積の半分以上が、湖・運河・港などの水面もしくは公園・森林などの緑地で占められており、ヨーロッパで最も緑の豊かな都市といわれているそうです。ドイツ人の住みたい町ランキングでは上位を争い、住宅価格も2位だそうです(ちなみ1位は、南部の都市ミュンヘン)。

運河沿いには、係留式の船(浮体?)が浮かべられ、水上レストランになっていました。京都で言うところの「川床」にあたるでしょうか。シンガポールのクラークキーあたりを思い出させてますが、もっと落ち着いた優雅なレストラン街でした。 

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洗練された街並みと水と緑の風景が溶け合うような独特の景観は、他のドイツの都市にはないハンブルクならではの魅力があるそうです。確かにたくさんの運河に囲まれ、水門に船が行き交うような都市はハンブルクだけかもしれません。ドイツ人がここに住みたいという理由が少し分ったような気がします。

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本来、日本人は農耕民族は水と共生して農耕を営み生活してきたはずなのに、いつしか文化生活と称して、水辺から離れてしまいました。いわき市においても、新川・夏井川・小名浜港等、恵まれた水辺環境があるにも関わらず、私も含めて多くの方が物理的だけでなく、心理的距離を、これら水辺と置いているような気がして、何かもったいない、何か見落としていることがある、と感じました。
 
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風力発電関連産業に関する中小企業のビジネスチャンス

風力発電関連産業に関する中小企業のビジネスチャンスについて、という勉強会@LATOVに参加しました。福島県沖の洋上風力発電の実証実験が、平成27年度まで行われています。これはあくまで技術開発/課題を探るための実験ですが、当然、商用化も見据えたものです。商用化とは、いわゆるウィンドファームと呼ばれる、風車が数十基並んで、大きな発電・売電を行い、事業ベースの採算をとることです。この商用化時に、いわきの中小企業は、風力発電産業の裾野のどこかに参入できるビジネスチャンスを探っています。

<福島県沖の洋上風力発電は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/29704026.html
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プレイヤー(事業実施主体)の中心は、発電事業者・各種メーカー・電力会社となりますが、ひとくちにメーカーといっても、各種川上から川下まであり、その構造は自動車製造に似ています。
風車製造業者:各種部品を調達し、組上げ、風車という製品に仕立てます。例:日立製作所、三菱重工。自動車メーカーでいうことろのトヨタや日産にあたります。
部品製造業者:発電機や増速機、軸受(ベアリング)という主要部品を製造します。例:ジェイテクト、日本精工、NTN。自動車メーカーでいうところの、アイシン精機やサンデンにあたります。
下請製造業者:部品製造業者のパーツの製造を行います。

なお、風力発電事業者の大手は、電源開発、日本風力発電、エコ・パワ-、ユーラスエナジーの4社で、その合計は全体の3/4を占めます。その他のプレーヤーとしては、風力コンサルタント、計画・環境アセス業者、輸送・造成・据付高じ業者、保守会社等があり、産業の裾野はかなり広いです。
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日立製作所 電気システム事業部 発電機システム本部の松信隆氏とみずほ総研 環境エネルギー第2部の柴田和正氏に講演いただきました。

日立製作所は、風車製造業者として風車の研究開発及び製品の設計・組み立てを行っており。現在は、日立港の元原子力発電のモジュール製造工場跡地で、部品製造業者から納入された部品を組み立て、そのままダイレクトに日立港から積み出ししているそうです。現在は、まだ商用ベースで風車発電市場が立ち上がっていないので出荷が限定的ですが、将来年間何百基も出荷することのなれば現在の設備では不足するため、新規に工場用地を求める可能性が高いとのこと。その条件は、大深水の港に隣接し、そのまま製品を積み出すことができる広大な工業用地が確保できることです。もしいわき市がブレーマーハーフェン港のような風力発電集積基地を目指すならば、この条件を満たす港を確保する(作る)ことが最低条件となるでしょう。

風車の組み立ては、かなりシビアな精度を要求されるため、湾内であっても浮体部分水上にを浮かせた状態では、浮体部分にナセルやブレードを取り付けることはできません。その場で浮体を作るか、もしくは他で作った浮体を曳航し、いったん湾内で着床させた上で、ブレードやナセルを取付け、再度浮かせて、現場海域まで曳航するという手順になるようです。とすると埠頭が、重量に耐えられることはもちろん作業スペースや保管スペースも広大に必要になろうかと思います。その意味では、現在のそのままの小名浜港の藤原埠頭や、港湾地区の隣接の遊休工業地だけでは、圧倒的な面積的・能力的不足が明らかということが分りました。ちなみに、ドイツのブレーマーハーフェン港においては、造船所跡地25haの1/3が洋上風力発電所関連用地として転用され、400m級の船が接岸できるような埠頭の整備がなされたそうです。

<ブレーマーハーフェン港については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/32991220.html

みずほ総研はいわき市から、市内の製造業者が(風車産業に参入する機会を創出することを目的として)、参入できる可能性を調べ、今後の方策、解決すべき課題について、調査受託しています。現在その進行中ですが、その一部をお話し頂きました。調査中とはいえ、風車製造業者や主要な部品製造業者は特定されており、ここに地元の製造業者が新規に参入するのは、非常に困難とのこと。一方、部品製造業者の下請けは、裾野が広いため参入の余地はあるだろうとのことでした。私見でとのお断りでしたが、現在、製造コストの大半は、ブレードや発電機ではなく、鋼鉄製の浮体にかかっているそうです。これが技術レベルとともに製造コストが高い鋼鉄製でなく、普及型の浮くコンクリートで代替できれば、コスト減とともに地元製造業者が受注できる可能性が高まるとおっしゃっておられました。
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風車の認証については、国際標準IEC61400-221(風車認証規格)があり、入札やプロジェクトファイナンスの条件となることがあるとのこと。その内容は、形式認証・プロジェクト認証・部品認証・プロトタイプ認証があり、日本では、今のところ原則として、日本海事協会 風車認証事業室が認証の役割と担っているそうです。
・形式認証:ある型式の風車が設計での想定内容・規格等による技術的要求事項に従って設計及び製造されていることを証明
・プロジェクト認証:特定のサイトに設置される風車及びその支持構造物が外部条件及びサイト特有の要求事項に適合していることを証明
・部品認証:特定の形式の主要部品が設計での想定内容、規格等による技術的要求事項に従って設計及び製造されていることを証明
・プロトタイプ認証:形式認証で要求される実機による私見を実施するために、量産に入る前の新型風車に対し行われる認証

福島県沖の実証実験は平成27年度を目処に実施中ですが、公式見解としては、商用化の可能性は実証研究の結果次第ということなので、全く未定です(個人的には、なんとしても商用化にこぎ着けて欲しいという願望はありますが)。何よりもその高額な発電コストと、世界で例がない浮体式洋上という技術的課題でしょう。後者は日本の技術開発に期待するとしても、前者はどうしても堅牢で安定した浮体を製造するにはコストが嵩み、日立様の試算では、発電コストが@150円/kwhと、仮に買取単価FITが@22円/kwhとしても、足下ではとても採算ベースに乗るとは思えない水準だそうです。この非常に高い技術的ハードルを数年単位というスパンで越えることができるかどうか?1980年代にあのきびしく現実的でない排出ガス基準をクリアできた日本車の技術開発能力をもってすれば道は開ける!という勇ましい意見は理解しますが、浮体式ウィンドファーム商用化の道を安易に口にできない現実も理解しました。
 

ドイツ アウトバーン

ドイツのアウトバーンとは、 「自動車専用道路」です。日本の高速道路に相当しますが、通行料金無料、速度無制限なところが大きくことなります。アウトバーンの路線番号は東西方向が偶数、南北方向が奇数に割り振られ、1桁番号は主要幹線、2桁番号は地方幹線、3桁番号はつなぎ線で、主要な都市が網の目のようにつながっています。これにより日本のよりも小さい国土にもかからわず、アウトバーンの総延長距離は13,000kmと、日本の高速道路の9,000kmを上回っています。
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これだけの高速道路が整備されている要因を、ひとことで言えば車社会ということになります。その背景にはドイツの車生産国としての立場(ベンツ、VW、オペル、ポルシェ等)もあります。鶏が先か卵が先かの話にはなりますが、これだけの道路があるから、高速安定性に優れたレベルの高い車の開発が要求されますし、車が一大産業であるからこそ、その受け皿として道路整備が求められるということでもあります。その意味では日本の同様、自動車生産大国なのですから、都市間を有機的につなぐ道路ネットワークのさらなる整備には一理あります。

アウトバーンは速度制限無しとして有名で、実際にロケットか?というような200km超のスピード走るスポーツカーも見かけました。ただ、実際には速度制限区間は全区間の約半数あり、そこには日本と同様に自動速度違反取締装置があり、後日スピード違反の切符が送られてくるそうです。速度無制限区間の推奨巡航速度は130km/hとされる一方、60km/h以下で走行することは禁止されています。なお、トラックやバスは100km/h規制です。

ドイツのアウトバーンは、隣国の高速道路と密接に接続されており、実際にアウトバーンでオランダ国境を越えてみましたが、国境を示すEUの標識があるだけで、「何の縛りもない」「あっけない」国境越えでした。

ジュニアエコノミーカレッジ販売実演

商売体験を通して「自ら決めて行動できる人材の育成」プログラム、ジュニアエコノミーカレッジの販売体験のお手伝いをしました。ちびっ子達が自ら企画して作った料理や商品を実際に日本円を使って仕入れ、調理・準備し、いわき駅前で通行人に売ります。
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<ジュニアエコノミーカレッジは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/30050288.html

本日は、いわきの街コンが駅南口ロータリーで同時開催ということもあり、午後早い時間に用意した食材、商品はすべて完売となりました。前回の授業で、的確な販売数量予測を学び、余剰在庫を持たずに、売り切ることができたのも良い経験になったのではないでしょうか。
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早々に完売したチームもあれば、それなりに販売に苦戦したチームもあります。その時は店を出て通行人への呼び込みや行商をして、なんとか売上達成に向けて努力します。子供達からは「販売って、意外に難しい!」の声が聞かれました。
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実際に売り上げた数量×単価=売上が、現金在高票を使って手元現金と合致するか自分たちで確認します。次回の講義で、仕入れ代金・借入金・金利等を差し引いた利益から、株主配当金・税金を控除して、収支報告書を作成して自分たちの利益を計算する予定です。この税金(相当額)は、後日、いわき市長に子供達が直接手渡し、市へ寄付する予定です。
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雨の中の販売となってしまいましたが、商工会議所青年部及び父兄の方々のご協力で、なんとか終了することができました。ありがとうございました!
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国際研究型大学連合 IARU

国際研究型大学連合IARU(International Alliance of Research Universities)の卒業生会@東京大学山上会館に参加しました。IARUは、将来の世界的リーダーを養成できるトップクラスの研究型大学による連合で、研究・教育の様々な連携を行うことを目的として2006年設立されたものです。濱田純一東大総長もお越し下さり、はじめから最後まで、久しぶりの英語100%環境での会議は新鮮でした。

IARU 加盟10大学は、以下の通りです。
オーストラリア国立大学、スイス連邦工科大学チューリッヒ校、シンガポール国立大学、北京大学、カリフォルニア大学バークレー校、ケンブリッジ大学、コペンハーゲン大学、オックスフォード大学、東京大学、イェール大学 

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キーノートは、あの八城政基氏。長銀の再生を成功裏に導いた立役者です。病気を押して30分近い英語でのスピーチの内容はとても濃く、日本企業のPros&Consを示した上で、改善すべき点を自らの職場経験を交えて話して下さいました。出席者からの質問にも丁寧にお答えいただきました。八代氏は日本人ですが、新卒の就職先は、スタンダードオイル、その後、シティバンクを経て、新生銀行代表をなられた方です。典型的な日本企業の習慣である数年単位の人事ローテーションや情実人事は、専門性を生まないので意味が薄いと考えている方で、旧長銀時代の社内習慣は、八代氏にとってRidiculousの連続だったそうです。さんざん日本企業の悪癖を連ねた後に、ちょっとだけ良い点として、企業へのSence of Rolaltyと、従業員間のCaring Peopleを挙げて下さいました。言い換えれば、日本企業のこの点をきちんと残し、他は効果的に見直すべきだという厳しいご指摘と受け止めました。
 
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その後は、ワールドカフェ形式で、日本企業の国際化にあたっての課題、日本の大学の課題、日本企業に就職した海外人材の課題等を各テーブル4人ずつに分かれてディスカッションしました。私の感じた限りでのキーワードは以下の通り。
・Diversity(多様性)
いろいろな意見を開陳できる職場環境が必要。多数の意見に賛同し、少数意見を出すこと自体が批判されることがある。日本企業が海外人材を使いこなせないのは、多様な意見を吸い上げることが出来ないシステムにある
・Seniority(目上重視)
年上の人の意見に追従する雰囲気がある。もしくは若者の率直な意見、市場や顧客に近い提案が無視される傾向にある。その風土がさらなる萎縮を生んでいる。
・Evaluation(人事評価)
人間関係等の定性的な情報重視で人事評価がなされ、公平性が損なわれている。目標への達成度や数値で測定しなければ、人間関係や空気を読む人材が重視され、よりパフォーマンスの高い人材が登用されない。

今回出席されたメンバーは、国籍、職業、年齢も多種多様でした。その中でも私の経歴・職業に興味を持って頂ける方もいらっしゃり、東北の復興に力を貸したいと考えて下さる方とも知り合うことができました。

エッセンのツォルフェアアイン炭鉱業遺産群 世界文化遺産

エッセンのツォルフェアアイン炭鉱業遺産群(Zollverein Coal Mine Industrial Complex in Essen)は、2001年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。この19世紀から20世紀にかけてドイツの近代化と産業の発展に貢献した炭鉱は1986年に、コークス工場は1993年に操業を停止したルール工業地帯の核とも呼べる施設した。

写真右手に見える、バウハウス様式の第12採掘坑は、建築上からも技術上からも傑作と呼べるものであり、世界一美しい炭坑」と呼ばれています。
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炭鉱時代に使用された遺物が敷地内にたくさん残されていました。
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敷地内の一画はルール博物館Ruhr Museum となっていて、操業当時のままの設備やルール地方の様子を伝える博物館になっています。
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ドイツ人は本当に勉強が好きですね。どの博物館に行っても、多くのドイツ人観光客・親子連れ・学生を見かけます(なぜなら、ドイツ語を話しているので、すぐに判別可能)。多くの場合、博物館説明スタッフの説明に真剣に耳を傾けていて、少しでもこちらの知識を得ようとしています。せっかく入場料を払っているのだから、少しでももとをとろうとしている、ともいえますが・・・少なくとも、日本の博物館では、真剣に説明を聞く日本人ツーリストをあまりみかけないのとは対照的です。
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炭鉱で実際に記帳されていた業務日誌です。炭鉱夫の名前、労働時間等が記載されており、みろく沢の炭鉱史料館に展示されたいたものと、本質的には共通のものです。遠く10,000kmも離れた、同時代の炭鉱に同様の記録誌がありました。

<みろく沢炭鉱については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/26893631.html
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当時、炭鉱内で使用されていた遺物がたくさん展示されていました。
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PwCフランクフルト事務所

PwCフランクフルト事務所は、約9,000名のスタッフを有し、ドイツの会計事務所の中でも最大のオフィスです。1会計監査部門だけでなく、アドバイザリー部門、税務部門を設置し、さらに、法律事務所も併設することで、ドイツにビジネス拠点を構える国内外のクライアントに対して、総合的に監査および各種コンサルティングサービスを提供しています。元同僚に会うが第一の目的ですが、ドイツ国内の他のPwC事務所と比べても、そのオフィスの立派さは特筆ものだと、何度も聞かされていたので、予定を変更して立ち寄りました。

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金融街の中心から一駅離れた50階建の超高層ビルにPwCは入居しています。このビル全体の約2/3がPwC関連が入居しているとのこと。
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受付でビジターカードを受け取ります。このカードで、エントランスバーが開きますが、エレベータには乗れません。エレベータにはスタッフカードを読み取らせ、当該スタッフが所属する部門のフロアにしかアクセスできない仕組みになっています(シンガポールオフィスでも同様でした)。
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2年前まで、PwC東京オフィスで机を並べて仕事をしていたマーカスさんに再会することができました。マーカスさんとは、2011.3.11の震災時に一緒に汐留オフィスにいました。道路渋滞&公共交通機関マヒの状態を21:00くらいまで見守っていたのですが、意を決してそれぞれ徒歩で帰宅することを決めました。それが彼を見た最後でした。翌日、ドイツ本国から帰国指令が来て、自宅の荷物も置いたまま家族とドイツへ帰ってしまったのでした。

当時の思い出などを話しつつ、現在のオフィスの同僚を紹介してもらいました(厚かましくも、マーカスさんとのツーショットを撮ってもらいました)。マーカスさんの専門はホテル運営、投資、評価で、今でも欧州各地のホテルのディーリングをしているそうです。
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マーカスさんの上司の方は不在でした。36階のパートナー部屋から見える景色はいいものですね。
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最上階にはゲスト用の吹き抜けホールになっていて、外部の方を呼んで簡単なパーティができる仕組みになっています。そのさらに上のフロアは・・・シニアエグゼクティブ専用フロア、だそうです。
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50階から眺めたフランクフルトの金融街です。ニューヨークやシンガポール、香港等と比べると、正直かなり見劣りします。これがドイツ最大の商業都市?と思います。聞くと、ドイツでは開発規制がとても厳しく、中心部であっても建替えや高度利用の手続きは、非常にハードルが高く、なかなか超高層ビルを作れないとのこと。
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中央は、フランクフルト中央駅です。ここからICE(ドイツの新幹線)や地下鉄路線が発着しています。
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ランチを、PwC専用カフェテリアでご馳走になりました。定食、麺、パスタ、ライスの主食の他、サラダ、フルーツ、デザート、各種ドリンク、よりどりみどりでした。
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このビル1階には託児所・保育園も併設され、たくさんのPwCスタッフが利用しているそうです。
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PwCのビルを下から見上げたところ。スカイスクレーパーという言葉がぴったりです。
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ドイツ 犬税

ドイツの一般市民は犬を飼うために犬税の納税義務があります。税率は州に寄って異なるますが、犬1頭につき年間数十ユーロのところもあれば、200ユーロ近い金額の州もあるそうです。この税金の目的は、人々が無責任に犬を飼わないようにするためのもので、犬の頭数を間接的に制限し、飼い主に責任感を植え付けるという役割も担っているそうです。犬関連の法律として、『動物保護法』『獰猛及び危険な犬の条例』『犬の保護条例』等が定められているとのこと。
犬税は地方自治体の一般財源で、犬の糞清掃のためだけに使われているわけではないそうです。犬の放置フンについては、日本のように散歩の際にスコップやビニール袋など持参してい人はあまり見かけませんでした。放置フンに対しては、罰金制度があるにもかかわらず、犬税との関連もあり、徹底されていないようです。
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その他、ドイツで気づいた点を何点か紹介します。
・散歩はノーリードでOK
多くの犬が紐につながれることなく=ノーリードで、町を散歩していました。一般常識として、交通量の多い場所や人ごみの中では紐につないだりしますが、ほとんどの公の場では犬たちは自由に歩いていました。写真はハンブルグのライン川そばの散歩道です。
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・公共交通機関の利用
子供料金を支払うことで、犬と電車に乗ることが可能だそうです。一般の犬であればケージ(檻)に入れて乗車しかつ、「手回り品切符」を別に購入する必要がある、日本のと大きな違いです。

これらの相違は、犬に対する考え方の根本から来ていると推測します。すなわちドイツでは犬は家族の一員として飼われているのに対し、日本では民法上、権利の主体となり得ない動産として取り扱われていることに起因しているような気がします。つながれて飼われている犬はほとんど見かけませんし、(伝聞情報ですが)家の外で犬をつないで飼う場合は、必ず犬小屋を用意し、檻の中で飼う場合も犬の大きさに応じて最低の大きさが決められているそうです。子犬は生後8週間を過ぎるまでは、母犬から引き離すことは禁じられており、1才に満たない犬をつないで飼うことも禁じられているそうです。そして、犬の種類、年齢に相応した十分な運動、社会性を養うために他の犬や人間とのコンタクトが義務づけられているとのこと。
 
ライン川沿いは、人間や犬の散歩だけでなく、乗馬のための場所でもあります。文化土壌の相違を感じる標識ですね。
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フラウンフォーファーIWES 風力発電・エネルギーシステム研究所訪問

フラウンホーファー研究機構(Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e. V)は、欧州最大の応用研究機関で、本部はドイツ・ミュンヘンにあります。民間企業や公共機関向け、また社会全体の利益を目的として、実用的な応用研究を行っています。ドイツ各地に66の研究所を構え、およそ22,000名のスタッフが活動しています。

写真は、ブレーマーハーフェン(以下、BH港)にあるフラウンホーファー研究機構の研究所のひとつ、風力発電・エネルギーシステム研究所(Fraunhofer Institute for Wind Energy and Energy System Technology)です。
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年間研究費総額は約19億ユーロで、この予算のうち16億ユーロ超が委託研究によるもので、研究費総額の70%以上が民間企業からの委託契約、さらに公共財源による研究プロジェクトが源泉です。残りの約30%はドイツ連邦政府および州政府により、経営維持費としての資金提供が行われています。
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実用のための研究をテーマに委託研究も盛んに行われおり、MP3圧縮アルゴリズムはフラウンホーファーIISで発明され、特許が取得されています。その特許権収入は約1億ユーロであったそうです。フラウンホーファーモデルと呼ばれるスキームでは、協会が産業界や政府の特定プロジェクトとの契約を通して約60%の収入を得、残り40%を9:1 の比率で連邦政府と州政府からの予算で賄い、それを予備的研究にあてるというものです。
 
このモデルによれば、研究所を維持するにはより多くの契約を獲得するインセンティブが働き、これが応用研究の分野でリーダーになるという戦略的方向性を明確化し、同時に研究の優先順位を柔軟かつ自律的にし、起業家的な取り組みを奨励することにつながっているようです。

BH港には、フラウンホーファー研究機構の研究所のひとつ、風力発電・エネルギーシステム研究所(Fraunhofer Institute for Wind Energy and Energy System Technology)が置かれ、そこに所属するライナー教授に当該研究所の概要をお話いただきました。
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(以下、ライナー教授のヒアリングメモです)
風力エネルギー・エネルギーシステム研究所では130人の従業員が勤務し、年間の研究開発予算は、11百万ユーロである。研究施設のハードにはに50百万ユーロが投資されている。

ドイツには、他にマックス・プランク研究所という研究機関があるが、そちらは基礎研究中心であり、より産業に近い研究はフラウンフォーファー研究所という役割分担がなされている。現在進めている研究テーマは、90m級のブレードと、10MW級の発電ユニットの開発である。今後の課題は、1. 洋上で500MW級のウィンドパークの運営、2. 北海以外へのチャレンジである。また今後も、生産コストを継続的に下げていく努力が必要で、これまで10年間で約30%の発電コスト削減している。

研究所内を視察させていただき、風力発電に必要な、数々の各種ユニットの実証研究品が並んでいました。
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特に、重要なのがブレードの形状と素材、強度です。屋外には長さ80mのブレードが置かれ、テストを待っていました。ライナー教授との比較でその巨大さがわかります。

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ブレードの強度耐久性のテスト研究しているところを見学させて頂きました(写真撮影不可とのことなので、下の写真はアレバ社の製品パンフレットのものです)。長さ83mと世界最大級のブレードを、連続して曲げ・延びの試験中で、約8ヶ月もの間、連続して曲げと延びを繰り返して、耐久性をチェックします。倉庫には、次のテスト対象として「三菱」のマークの入ったブレードが準備されており、福島県沖に設置が予定されている実証機のものかと推測しました。
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風力発電・エネルギーシステム研究所は、BH港に港湾地域内にあり、風力発電の民間プラントとは車で数分の場所にあります。BH港は、風力発電の集積基地として、研究開発・製品生産・組み立て・積み出し・運転管理がすべて同じ港湾内で完結しており、何か起きても容易にスピーディにフィードバックが可能という利点があります。
 
その後、ブレーマーハフェン港の中を見て回りました。公道からの見学ですが、風力発電関連の部品が誰でも見れる形で置かれていることが印象的でした。
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基礎部分のトライポッドは高さ40~60m・重さ700~900トン、ナセルは300~400トンと巨大かつ超重量級です。工場・港湾の敷地内であっても移動は短距離、ましてや道路上の運搬は不可能なので、工場から直ちに海に出荷可能で、耐荷重性Heavy Load Platformの埠頭があり、直接深い水深に出れることが必須条件です。 
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トライポッド出荷の様子。組み立て完成品をレールで牽引して、直接浮き桟橋に乗せ、そのまま運搬します(アレバ社パンフレットより)。
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ナセル出荷の様子。トライポッドと同様に組み立て完成品をレールで牽引して、直接浮き桟橋に乗せ、そのまま運搬します(アレバ社パンフレットより)。
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BH港は広大なので、公道をバス車上からぐるっとひとまわり観察しました。沿道の開発会社敷地内に、重要部品が順番を待っていました。
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ドイツ 洋上風力発電 AREVA社訪問

ブレーマーハーフェン港(以下、BH港)の港湾内にある、AREVA(アレバ社)のサービスセンターを訪問しました。こちらは、北海の洋上にある複数の風力発電施設ウィンドパークを、一括で遠隔管理している施設です。アレバは、フランスに本社を置く世界最大の原子力産業複合企業で、フランスの原子力開発推進の中心的役割を担っており、日本の電力会社の委託でプルトニウム・ウラン混合酸化物燃料(MOX)の加工を請け負っています。また、東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故で、一連の作業によって生じた高濃度汚染水を浄化する設備を、アメリカのキュリオン(Kurion)社とともに提供することになったことで知られています。
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遠隔管理のオペレーションセンター室でMr. AndyとMr.パンモスキーにお話を伺いました。この部屋から洋上コーディネーションといって、現場の状況をモニターで現状把握し、各種センサーで異常を検知しています。
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(以下、ヒアリングの内容をメモしたものです) 
このオペレーションセンターから、北海における洋上風力発電の合計76GW分を管理している。現在の主力は5MWのタービンで、ひとつのタービンには1,280センサーがついていて、異常なアラームを検知すると即座にオペレーションセンターへ自動でE-mail通知・通報される。アラームの80%は、ここの遠隔オペレーションセンターから改善できるように設計されており、24時間365日3交代制で監視している。アラームで、一番多いのは油圧系統のトラブルで、そのために3つのポンプ(2つは予備)が、それぞれのタービンに設置されている。年間稼働率は96%、すなわち4%程度は修理やメンテに必要な時間である。
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沖合数十キロの地点にウィンドパークはあるため、点検・修理は通常時は船、緊急時はヘリで移動する必要がある。船での点検・修理コストは450ユーロ/人だが、ヘリでの点検・修理コストは5,000ユーロ/人と、10倍以上である。緊急ヘリは約50分で北海のドイツの開発地点全域にほぼ到達可能である。各タービンは、それぞれヘリデッキを持ち、ヘリからの降下時は、作業員は20mもの下降ロープでデッキに降り立つ。
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点検・修理チームは、安全管理のため最低3人で1チームを組む。年に1回定期点検時には、なるたけ短い時間て作業を終了させたいので、12人の作業員が、1タービンを1.5日ずつ掛けて、整備を行う。 
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ドイツにおいても日本同様、再生可能エネルギー発電に対しては、固定価格買取制度があり、政府が設置を支援しています。アレバドイツ社のシュテファン・ニーセン研究・イノベーション事業本部長の資料によると、現在ドイツの買取固定価格は、洋上風力19セント(25円)、太陽光18セント/kwh(24円)、陸上風力8セント/kwh(10円)と洋上風力が一番高く設定されています。

なおドイツの送電線は、欧州広域送電線網に組み込まれており、電力融通により自由価格5セント/kwhで購入することも可能です。すなわち需要と供給のアンバランスがあった場合、電力輸入が可能なわけです。

※写真は、許可を受けて撮影したものの他、アレバ社から提供されたパンフレットのものです。




ドイツ 洋上風力発電 ブレーマーハーフェン港視察

いわき市でも浮体式洋上風力発電の実証実験が始まりました。これは国の予算で3基建設されるもので、今年から来年にかけて、浮体式洋上風力発電にあたっての技術的課題の認識や新技術の開発を行おうとするものです。
<浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/29704026.html

ただ、実験だけで終わらせては、いわき市への経済波及効果はほとんどありません。なぜなら実験のための設備は全て東京・神戸で製作され、いわきでは小名浜での最終点検・設置作業のみだからです。当然、これだけでは、地元への産業波及効果は見込めません。実証実験の真の目的は技術的課題を克服し、商用化にこぎつけ、風力発電を地場産業として育成していくことです。そのための道筋は容易ではありませんが、世界を見渡すと、洋上風力発電の開発・製造・出荷の拠点として成功している都市があります。それがドイツ北部にあるブレーマーハーフェン港(以下、BH港)です。なお、ブレーマーハーフェン市は人口114,000人、十分な水深を持つ港があることから、船舶関連や魚加工産業、観光産業が中心の街です。桟橋にはクラシカルな帆船が係留され、ノスタルジーを感じる港です。

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こちらでは強風が吹き荒れる北海洋上の沖合10-70km、水深20-50mくらいの地点に、着床型(固定)の支柱を建てた上でその上に風力タービンを設置する、いわゆる「着床式」が採用されています。その意味では世界にあまり例がない福島の「浮体式」洋上風力発電とは、厳密には異なるのですが、洋上風力発電の産業集積という点では、かなりの部分が共通するはずです。洋上の風力タービンは沖合いに設置されるので、その大きさや騒音が問題とならず、目立たないという利点があります。また陸地より水面の方が平坦であるため、平均の風速も一般に洋上の方が高く、設備利用効率は陸上の場合より遥かに高いといわれています。

BH港が風力発電の基地となった要因には、過去の歴史があります。ブレーマーハーフェンはもともと海運業の街であり、地域経済は伝統的に常に、船舶・造船業、漁業に依存してきました。第二次世界大戦以降、ブレーマーハーフェンは在独米軍の物流拠点でもあったため、多くの米兵とその家族がこの街に居住し、経済的な面も含めこの街に貢献してきましたが、1989年にベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終わりを迎えると、米軍基地はその役割を終え去ってしまいました。 同時に、ブレーマーハーフェンの産業の基盤であった造船業も、アジアや東欧の造船所との競争の激化により、造船所は閉鎖され雇用が失われ、深刻な不況に見舞われました。
 
深刻な不況と失業に直面して、2001 年以降に、港湾都市という強みと弱みを分析し、最終的にはこの都市の総合的な港湾技術、ノウハウ、労働力などの強みを活かすべく、造船・重機製品の設計・生産拠点として特化することを目指すこととしました。その中には、再生可能エネルギー産業の拠点となることも含まれており、再生可能エネルギーの中でも、特に洋上風力発電に焦点を当てることになったわけです。 
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特に関心があるのは、港への産業集積を一から始めるにあたって、まず最初にどんな課題があって、どのように克服していったか、どのようにしてパートナー探し、港湾整備、工業用地開発、工場誘致等を行ったかです。

まずは、港湾整備、工業用地開発、工場誘致を進めたの経済振興公社BIS社にお邪魔して、エンジニアのDr. Matias Grabsからヒアリングを行いました。BISはブレーマーハーフェン市が75%、ブレーメン州が25%を出資している開発会社で、BH港の洋上風力発電産業の集積を担っている会社です。

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Dr. Matias Grabsによれば、ブレーマーハーフェン港が、風力発電の開発・製造・出荷拠点となった手順は、以下のとおりで、これは非常に参考になると思います。
1. Regional Network(400社近い、風力発電産業の民間企業同士のネットワーク作り)
2. Location of Protyps(試作機の製作)
3. Development of Infrastructure(積出港としてのインフラ整備)
4. Cost of Port Infrastructure for Tranship(積込コストの検討)
5. Orientation of Support Programme(公的機関からの支援策)
6. Research and Development Infrastructure(研究開発のためのインフラ整備)
7. Political Support(政治の配慮)
8. Marketing(企業誘致のセールス活動)

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(以下、グラーブズ氏からのヒアリングメモ)
BH港は、軍の基地跡として広大な港湾用地が残されており、どのような用途に使用すべきかが課題であった。1999年から開発を開始し、それまでの漁業・魚加工業中心の産業から風力発電の集積基地への転換を図った。その背景には、漁港の機能が他の町へ移転できたことがある。2002年に土地開発の将来像をCGシュミレーションしたが、当時はどんな許可が必要なのかさえも不明で手探り状態だった。その後、RE Power Systems AG, AREVA Wind GmbH, Weser Wind GmbH, Power Blade等の会社を誘致することができ、2012年に第1期の開発が終了した。風力発電関連に携わる企業は、Windenergie Agentur Bremerhaven/Bremen (WAB) という会を2002年に設立し、現在は350社が加盟し、定期的にカンファレンス等を開いている。

ブレーメン州はこれまで、100百万ユーロをインフラ整備・開発投資を実施し、今後さらに200百万ユーロを投資計画中である。主な投資内容は、既存の港湾の改修、旧自動車倉庫跡地の整備、風車部品搬出の線路敷設、港湾周辺の土地の購入、工場団地としての整備 ・大学・研究所の設置等とのこと。 これらの開発費用は立地した企業からの20年間の土地賃料で長期的に回収したいと考えている。

今後は、風車がより大型化することが想定されるため、北海に面した場所に新しく港湾 Heavy Load Platformを持つOTB (Offshore Terminal Bremerhaven )を建設し、大型コンテナ船2隻が接岸可能な幅500m, 広さ25ha, 低潮時でも14.5mの水深を持ち、250トン以上のナセルが取扱い可能とし、年間出荷能力を倍増させたい(現在の港湾の出荷能力は160基/年であり、開発後は320基/年に倍増)と考えている。さらに現在の地方空港を跡地を開発し、さらに200haの工業用地を確保する予定である。

ブレーマーハーフェン港は、北港と南港があり、南港には、RE Power Systems AG, AREVA Wind GmbH, Weser Wind GmbH, Power Blade等の会社が集積している。北港には、コンテナターミナルや作業船、据付専門船がある。インスタレーションシップ船、ジャッキアップ船と呼ばれる、風力発電ユニットの据付専用船は、据付けに必要な部品を全て積込み、設置場所まで移動し、50m超の水深にも対応し自らを4本足で着床した上で、据付作業を開始することができる非常に重宝な専用船である。船はポーランド製で建設コストは200百万ユーロ、、トライポッドと呼ばれる着床基礎を3本まで搭載可能。これまで洋上風力発電を、北海の複数エリア(イギリス沖、オランダ沖、ドイツ沖、デンマーク沖、ベルギー沖)に設置しており、2040年までに290-470ユニットの設置を計画している。
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風力発電の研究主体は、フラウンホーファー研究所である。教育機関としては3つの大学で、風力発電事業に関する講義を実施、修士コースもある。Bremen大学は基礎、Oldendurg大学は風関連、Hannover大学はタービン関連と、研究の専門分野を分けて教えている。卒業生の半分は、風力発電産業関連に就職している。
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BH港の中にDeutsche Wind Guardという世界最大級のローターブレード用の風洞実験設備があり、最適な風の道の通り道の研究は進んでいる。
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※写真は、当方が許可をいただいた撮影したものの他、アレバ社からご提供頂いたパンフレット記載のものです。

設置にあたっては、ロジスティック(船舶会社)、メーカー、Maritime(作業員)との情報共有が重要である。漁業者とのトラブルは今のところないが、風車の回りは禁漁である。ただし設置後、かえって魚が増えているとの調査結果が出ている。 アルファベントスというエリアでは、地元のフィッシャーボートを、運搬用に50隻借り、地元漁業者との関係性は良好。

風力発電産業は、ブレーメン州に直接雇用として、洋上風力分野で3千人増、港湾全体では1.7万人増で、加えて間接的な経済効果は大きい。さらに2020年目標に更に1万人の雇用創出を予定しているとのこと。BH港への視察の受入数は、多い。最近では、韓国、米国東海岸、中国等から視察団がやってきた。

なお、船舶のドックに関しても質問したのですが、BIS社としてはノータッチ、民間に任せているとのことでした。おそらく上記のような専用船は外部から調達し、メンテナンス用の小型船は既存のもので対応していることと推察されます。

ブレーマーハーフェンの産業構造転換計画の成功要因は、この街が持っているしっかりした港湾施設と港湾立地を現状把握した上で計画を立て、賢明な地方政治による先進的なサポートが行われたこと、行政・民間双方からの十分なインフラ投資が行われたこと、そして成果が出るまでなんとしてもやり遂げる地方政府の遂行能力にあると思います。また市と、立地する民間企業の間に相互の利益を創出できたことが、最も重要な部分でしょう。
<Win-Win の関係の例>
- RE Power Systemsは、新開発の発電ユニットの実証実験のため、市政府は港湾の周辺に土地を提供 
- AREVAは、工場の拡張計画があり広い土地を希望したため、市政府は地盤沈下対策を施して土地を提供
- Weser Windは、トライポッドを工場から直ちに海に出荷可能な環境を求めたため、市政府は線路を敷設し、出荷港近くの土地を提供

PwCドイツの調査によれば、ドイツの2010年の洋上風力発電産業の売上合計5,920百万ユーロ(7,700億円)にも達しており、その中でも製造業が3,610百万ユーロ(4,700億円)と、約6割を占めています。

<PwCドイツの調査Volle Kraft aus Hochseewindは、コチラ>
http://wab.biz/atest/images/stories/PDF/studien/Volle_Kraft_aus_Hochseewind_PwC_WAB.pdf

右から、1.プロジェクト計画・プロジェクト開発、2.融資・保険、3.製造、4.運送・取り付け、5.電力網接続・6.運営・保守管理、7.廃棄・老朽風車の建替え、8.合計 です。
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雇用の面でも、ドイツの2010年の洋上風力発電産業全体の従業員は14,260人で、製造に携わる人が10,760人と全体の75%を占めています。PwCの予測は、2016年までは年間に9.3%増、2016-2021年の間は年間に6.3%増で、2021年には33,100人の雇用と見込んでいます。
2010年の保守の雇用は200人弱ですが、一度運営開始されたウィンドパークには運営に20-50人あたりが必要といわれているため、2016年の1,000人から2021年には2,300人まで増えると見込んでいます。
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欧州諸国の洋上風力発電の設備容量の増強は、2017年をピークに7GW程度を見込んでいます。その中でもGroßbritannien(英国)のシェアが大きい。これだけの規模であれば、確かに脱原発のツールのひとつといえるかもしれません。

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2021年にはドイツ全体風力発電業界の年間売上が224億ユーロ(2兆9000億円)と見込まれています。

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洋上風力発電の先進地欧州の例を踏まえた上で、日本の洋上風力発電がどこまで普及するか注目していきたいと思います。
 

バーデンバーデン ヨーロッパ屈指の温泉保養地

バーデンバーデンは、歴史をひもとけば、紀元前にローマ皇帝、シーザーがヨーロッパ遠征をした際に利用したとされ、またロシア皇帝やヨーロッパ貴族が保養のために利用したという、長い歴史を持つ温泉保養地です。ヨーロッパでは、自然に恵まれた健康保養地に滞在して、医療・療養に使うのが主流です。また最近では保養や健康維持・健康づくり(ウェルネス)、美容に用いる傾向があるそうです。ドイツでも、医師の指示、指導、処方により、健康保険の対象として行う伝統的な温泉療養が、今でも行われています。

ただ最近のトレンドは、やはりウェルネスで、リフレッシュや健康、美容への活用です。バーデンバーデンは古くからの温泉施設ですが、1980年前半に、医学的見地に立ちながらも楽しみの要素を取り入れたウェルネス施設「カラカラテルメ」がオープンしました。

しかし日本と異なるのは、ハード面の充実に加え、温泉療法のドクター・医療従事者・美容スタッフなど、それぞれの専門スタッフが駐在し、ソフト面の受入体制が充実していることです。ドイツでは温泉保養地をクアオルトと呼び、基本的に次の3つを備えているそうで、楽しみながら温泉保養するのが欧州流です。

1. クアハウス
憩いや社交場で、食事・ダンス・音楽会などを楽しむ建物です。カジノも含まれますが、いわゆる浴槽や治療施設はありません。温泉保養地の核となる施設で、コミュニティ(交流)センターの役割を持ちます。
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2. クアミッテル
浴槽・治療用浴槽・運動プール・マッサージ・理学療養施設を持つ、多目治療施設です。
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3. クアパルク 
文字通りの公園で、バーデンバーデンは町全体に、芝生・花壇・樹木・遊歩道が 整備され、森林浴をしながらゆっくりと静養し、リハビリ等をすることになります。公園内には、音楽堂等もあり、良い季節には頻繁にここでオペラや音楽会、コンサート等が開かれます。
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保養・温泉保養地の医学的効果は、温泉入浴の繰り返し、温泉地の自然環境、運動と栄養の3つの要素の組み合わせといわれ、総合的生体調整作用に働きかけることといわれています。
1. 温泉入浴の繰り返し
温泉成分に影響、体を温める効果、浮力・静水圧・摩擦抵抗等の影響
2. 温泉地の自然環境
転地による気分転換・リラックス、豊かな自然と機構の影響
3. 運動と栄養
温水プールでの歩行や水泳、散歩・ハイキング、バランスの取れた食事

これら3つの要素が、さまざまな刺激となって自律神経系、免疫系、内分泌系に作用し、生体リズムを調整します。生体が持っている自然治癒能力を高めることが総合的生体調整作用で、(直接的な近代西洋医学でなく)マイルドな刺激療法です。なお、ヨーロッパで温泉を医療として利用する場合は、科学的根拠に基づいた医療の見地から、7日間を1クールとし、14日、21日の滞在が目処になるそうです。ここらへんは日本古来の湯治が、1巡り7日といわれているのと、共通かもしれません。

バーデンバーデンを象徴するのは、カラカラテルメとフリードリヒ浴場です。カラカラテルメは900㎡を超える敷地に、プール、流水プール、ジェット水流、ジャグジー風呂、打たせ湯、サウナ、ハーブ吸入浴等の設備を有しているそうです。屋内の大プールはガラス張りで、太陽の光がさんさんと注ぎ、明るく開放的な雰囲気だそうです。サウナを除いて水着を着ての入浴です。
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フリードリヒ浴場は、裸ひとつでの入浴です。裸ひとつで、ドーム型のシックな大ホールの中にあるサウナやスチーム浴、温度や深さの異なるいくつもの浴槽を、順番に回ります。本来は、指定された順路で20種類近くある部屋&浴槽を、指定された順番・時間どおりに回ると3時間コースだそうです。ドームの壁画は荘厳なもので、重厚な印象を受けました。脱衣場は男女別なのですが、内部は共通なので、老若男女が裸ひとつで、同じ風呂に入るというのは、カルチャーショックでした。マーク・トウェインはフリードリッヒ浴場を称して「10分後に時間を忘れ、20分後には世界を忘れる」といったそうです。もっとも江戸時代の銭湯は、男女一緒だったそうですから、その意味では同じスタイルかもしれません。
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滞在型の温泉療養ということでは、日本の湯治と似た部分を感じました。大きく異なるのは、欧州の王侯貴族の保養からできたものと、日本の山奥の刀傷を癒やすための鄙びた秘湯との成り立ちの違いでしょうか。どちらがよいというわけではなく、それぞれの長所・短所があり、お互いをマネすればよいというものではありませんが、運営にあたって参考になる点は多いのではないかと思います。

バーデンバーデンのカジノ

バーデンバーデンのカジノは、クアハウスというパーティ、舞踏会、コンサートなどの社交場として建築された複合建物の一部です。このクアハウスは、1820年代に新築され、改築等を経て現在に至っています。カジノ入場には、ネクタイとジャケット、パスポートが必要です。入場料金は5ユーロ、最低ベットはルーレット2ユーロ、ブラックジャックやポーカー等は5ユーロです。

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<バーデンバーデンの街は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/33135732.html
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クアハウスには、豪華なレストラン、大ロビー、大ホール等があり、憩いと芸術、娯楽の空間となっています。第一次/第二次世界大戦の戦禍から逃れることができたため、19世紀に作られた旧市街の格調高い建物が多く残されています。あのドストエフスキーも、はまったカジノがここだと思うと、感慨深いです。

<ドストエフスキーは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/32992488.html
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クアハウスは、大人の社交場から発達したということから、生バンド演奏のバーやレストランも併設されています。年齢層はかなり高いように見えました。
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建物はバーデン=ヴュルテンベルク州が所有し、クアハウスからの収益で運営自体も行っているそうです。
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カジノの客層は大きく分けて、以下の3つの層です。1. クアゲスト(温泉療養を目的とした滞在)、2. 会議参加者(国際会議等で宿泊する政府・企業関係者)、3. ツーリスト(バーデンバーデンの街自体の、国内外観光客)。カジノの主要な客という点では、明らかにに3. ツーリストが主要顧客です。クアゲストという言葉は聞き慣れませんが、ドイツでは、健康保険を使っての温泉地の3週間を1クールとした、温泉に入っての踊り等が指定され、運動メニューが作成されるそうで、その層がクアゲストと呼ばれます。

カジノのディレクターであるカストル氏にアポイントを取り、カジノ運営にあたっての課題等のヒアリングを直接行いました(ドイツ語なので通訳付きで)。
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(以下、カストル氏からのヒアリングメモです)
バーデンカジノは250年前に町からライセンスを得て、町の収入に寄与している。そもそもは1837年にパリのカジノ閉鎖に伴い、ジャック・ベナジーという、ルーレット担当者がバーデンバーデンに移り住み、1855年に息子のエドワード・ベナジーとともにカジノ開業したもの。同じくバーデンバーデンにある競馬場も彼らが建設した。当時から欧州貴族がこの街に集結し余暇を楽しんだ。鉄道開業後はさらに人気が高まった。余暇としての劇場も、パリのグランドオペラを誘致し、パガニーニやシューマン、ブラームスが演奏された。ドストエフスキーもこの町を愛したことがある。

古典的なルーレットでは、1テーブルに4人のクルピエと呼ばれる、スタッフが付く。さらに不正監視のために室内に、隠された複数のビデオカメラが設置されている。クルピエは、ゲームの運営(ルーレットを回す、番号を確定する、当選者を決める)、チップ計算(当選配当を計算する、外れチップを回収する)等を行う。
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バーデンバーデンは、第2次世界大戦中は休業となったものの、フランス軍がもともと駐屯していたことから、全く戦火に遭わなかったため、戦前からの建物がそのまま使われている。クラシカルな中世壁画が描かれているフローレンスの間は通常はカジノ会場として使われる、定期的なコンサートの場としても使用される。NATO首相が晩餐会を開催したこともあり、その際には、セキュリティチェックのため7日間営業を停止した。
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運営は州が行い、運営収益の80%が州に、20%が町に帰属する。運営収益は州が吸い上げるが、必ずしも利益が出るわけではなく、配当次第で損失が発生した年もある。ただ原則的には利益が発生し、町に入る収入は比較的大きく、公園・森林・浴場のメンテナンスや、市営オーケストラ所属の音楽家への支払いに充てられる。カジノのルールは、国内及び国際的なルールに遵守して行われ、カジノ運営の収入支出は、町の財務局が定期的にチェックを行っている。売上は具他的な数字を述べることはできないが、方向性としてリーマンクライシスの際に落ち込んだが、ここ数年は収益の回復基調にある。

ドイツカジノの数は25年前は7カ所だったが、現在40カ所以上あり競争相手が増えたが、バーデンバーデンの地名度は圧倒的なので、驚異には感じていない。最近の悩みとしては、インターネットカジノの普及により、カジノへの直接的な来訪者が減少していることである。現在の来訪者数は、平日300人/日、週末は2,000-3,000人/日程度である。カジノ来訪者の平均層は、週末は35-40才、平日は50才程度である。コンサート等は、年に10回程度開催する。ツーリスト(観光客)+カジノの組み合わせは良いが、クアゲスト(温泉湯治目的の滞在者)+カジノの組み合わせは、いまひとつと感じている。

クルピエは、内部で育成組織を持ち、育てており、20年以上の経験を持つベテランクルピエもいる。ルーレット、ポーカー、ブラックジャック等のクルピエがつくテーブルゲームの他、27台のスロットマシンがある。なおブラックジャックは17:00以降の営業となっている。
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私見ですが、バーデンバーデンのカジノは私のカジノのイメージを大きく覆すものでした。すなわちカジノというものは、巨大な設備や雰囲気、各種無料サービスで、フォーマルを装った気取った大人の参加者のやる気を上品に煽り、大きく賭けさせ、最終的には運営者(民間)の利益の最大化を図る、極めて合法・公平でシステマチックな娯楽だと思っていました(シンガポールやマカオのカジノは、正にそうなのですが)。

しかしこちらのカジノは、利益拡大にそれほど熱心ではなく、それよりも滞在者への質の良い娯楽を提供しようとしており、結果的に生み出される利益を建物維持や街の景観向上に使うための「街の道具」でした。温泉保養地の価値を上げるため、劇場や散策道や景観を整備するその一貫としての娯楽提供のためのクアハウスであり、カジノがあるのでした。これは州が運営者・収益の帰属主体となっていることと無縁ではないと思います。

また、週末であっても3,000人程度の集客で、カジノ運営が成り立つことも新たな発見でした。シンガポールやマカオのカジノモデルでは、単価の低い客も高い客も関係なく大量に集客し、オカネを使ってもらう仕組みで、そこから薄く広くテラ銭をいただくことで、利益の最大化を図ります。なぜならカジノのコストで大きな割合を占めるのは、物件費・人件費(払戻金を除く) 等の固定費で、売上(賭け金)の増大こそが生き残ることができる最大のファクターだからです。運営コストさえ低ければ、そう大きな集客をしなくても運営維持できるわけで、これは今後日本で始められるであろう、地方の小規模なカジノのヒントになるのではないかと思いました。

バーデンバーデンの街

バーデンバーデンは、ドイツ南西部の「黒い森」と呼ばれる、総面積約5000km2にも及ぶシュヴァルツヴァルトの中にある、人口5万人の街です。森の多くは針葉樹で、暗く(黒く)見えることがその由来です。この街はヨーロッパの古くから高級温泉療養地として知られ、現在でもその地位を維持している街です。ドイツ国内には、約250カ所の温泉がありますが、特にロシア皇帝・貴族が長期滞在し、毎年大勢の従者を引き連れて訪れるようになったことで有名です。そのような貴族達は、舞踏会を開催し、大規模な狩りを行い、カジノでグリーン・テーブルを囲むようになりました。それらを称して、「ヨーロッパの夏の首都」と呼ばれたこともありました。そのような高級志向の温泉地に、高級志向のカジノが併設されており、その組み合わせはどのような相乗効果があるのか、これがいわき市の温泉地の将来像として参考になるかどうか検証すべく、訪問しました。
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歴史は古く、約2000年前の古代ローマ帝国時代にローマによって発見され、皇帝、兵士、軍馬の三つの浴場が作られたのが始まりで、あのジュリアス・シーザーも温泉に入ったとされます。18世紀の中ごろからは、貴族や上流社会の人々の保養と社交場となり、国際温泉保養地として発展しました。大英帝国女王Victoria 女王や、ブラームスやショパン等の芸術家や著名人が訪れ、ヨーロッパの王室・貴族方々の保養・避暑地、世界有数の社交の場になりました。

1880年に、ローマ風呂の「フリードリッヒ浴場」、その後クアハウス、ホテル、富豪の別荘が建設され、そして1980年前半に近代的温泉施設「カラカラ・テルメ」等が加わり、一大温泉地となりました。最近では、国際会議が開催されることも多く、ロシアのエリツィン大統領とドイツコール首相との会談もここで行われたそうです。

伝統的な建築様式のローマ風呂のフリードリッヒ浴場は、原則として裸で男女混浴で入ります。
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 フリードリッヒ浴場の内部。第一次/第二次世界大戦の戦禍から逃れることができたため、19世紀につくられた旧市街の格調高い建物が多く残されています。
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近代的温泉施設ではカラカラ・テルメでは水着をつけて入ります。ただのサウナ風呂だけは、男女一緒であり、全裸で入るそうです。23ヶ所から湧き出る温泉が900㎡の温浴センターのお湯を供給しているそうです。温水と冷水の人工滝や洞窟、ワールプール(渦流浴槽)、ジャグジーバス、ジェットバス、多種サウナ等の設備があります。
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カラカラ・テルメの内部、近代的な設備は大規模なフィットネスクラブを想起させます。
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長期滞在の滞在客に飽きさせないように、競馬、カジノ、テニス、乗馬、サイクリング、高級ブティック街など、心身ともにリラックスのためのプログラムが用意されています。 日本でいえば、高級避暑地である軽井沢のロケーションに加え、そこに温泉と、森林浴と、一流ブティック店のショッピング街がミックスされたといえば、だいたい当たっているでしょうか。

夜の高級ブティック街はライトアップされ、幻想的な雰囲気となっていました。
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クアハウスには、豪華なレストラン、大ロビー、大ホール等があり、憩いと芸術、娯楽の空間となっています。建物の前庭には庭園があり、ロシア人と思われる盛大な結婚式が開催されていました。
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周辺はガス灯や噴水等があり、夜景は美しく印象的でした。
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近くのオース川には緑の遊歩道(リヒテンターラーアレー)があり、 ゆったりと歩くことで、マイナスイオンたっぷりの森林浴ができます。ここは300種以上の花々が植えられて、19世紀から王侯貴族や各国の政治家、芸術家たちの庭園社交場でした。沿道には五つ星ホテルや大邸宅、高級別荘が点在し、ヨーロッパでも超一流の優雅な散歩道です。遊歩道にかかる橋には、たくさんの花が手入れされていたのが印象的でした。また劇場には、市独自のオーケストラを持ち、内外のコンサート、オペラ等が行われるそうです。
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杖の助けを借りながら、川沿いを散策するご老人。
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バーデンバーデンの街全体で、四季それぞれの自然に浸ることができる遊歩道、公園、庭園に加え、運動施設を備え、休養と運動の場を提供しています。また高級商店街やカジノ、劇場等に長期滞在の楽しみを見いだすことができます。10年ほど前に街の主要道路の車両対策として、当該主要道路を地下化したそうです。景観や温泉資源だけに甘えていない、滞在型の高級保養地づくりが進められています。これは世界のお金持ちをターゲットに、よく考えられた国際戦略を展開する複合型保養地といえるでしょう。これら洗練され整った街づくり、立派な諸施設、保養客のソフトな受け皿等はいわきの温泉地にも、大きく参考になるし学ぶ点が多いと思います。ただし、バーデンバーデンのノウハウ、特にハード部分だけをそのまま取り入れても、ターゲットやその全体運営のコンセプトが共有され、それに基づいて全体が運営されなければ、魅力的な施設とはならないことは間違いありません。

三菱みなとみらい技術館

三菱みなとみらい技術館に行ってきました。こちらは、三菱重工の企業博物館なのですが、展示物の内容が素晴らしいです。想像をはるかに上回る「本物感」がある、いくつものシミュレーターが公開されていて、予約して体験可能です。それもそのはず、シミュレータの対象となる飛行機、ヘリコプター、潜水艦等は三菱重工が作り、その技術者がこの博物館も作っているからです。

特筆は、MRJ(三菱リージョナルジェット)のモックアップに体験乗車でき、かつその機内でフライトシミュレータ体験です。これほどの展示は、世界に類がないと思います。 
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ヘリコプターのフライトシミュレータもありました。こちらは、座席自体も前後左右に動く、プロが練習用に使用するフライトシミュレータと同じ仕組みでした。これもよ無料体験できます。
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 しんかい6500の模型は宙づり展示され、断面をカットした形で内部構造を見ることができました。ここまで技術公開してもいいのだろうかという思いはありつつも、重工にとっては基礎的なものであって、何の差し障りがないという、技術に対する揺るがない自信を感じます。
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H2、及びH2Aの主力エンジンだった、LE-7とLE-7Aが現物展示されていました。実際に陸上で燃焼試験をした現物です。間近から構造、複雑なパイピングを観察することができ、改めて液体燃料エンジンの構造の複雑性を学びます。果たして、ここまで技術をオープンにしてよいのか。
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小学生向け、船の設計シミュレータ体験です。船の形や装備等をシミュレーションして、実際に(画面上で)操縦します。テーブルごとに、評点が附され、最後に累計の成績がランキング発表されますので、熱くなります。
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風力発電・太陽光発電等のブースもありました。プロペラの構造やその素材の説明もあり、展示内容レベルは小中学生を超えています。
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展示物の説明は、教科書に書いてあるような通り一遍の話ではなく、臨場感があります。何が論点となっているかを具体的なデータで示し、それを解決するためにどのような技術的課題があり、それに対して三菱重工はどのように活動しているかの、一貫したポリシーを感じました。物見遊山的な博物館でなく、企業で実際に現在進行中の技術を知ることができるという点では、他の追随を許さないと思います。施設規模は大きくないものの、中学生以上の修学旅行にうってつけでしょう。

企業経営の視点からは、重厚長大産業は収益率が低く、成長産業とは呼べない分野です。特に基礎研究を行う部門等は、国家レベル並みの研究をやっており、企業経営とは相反するところもあるのではないかと推察します。一方、このような会社が日本にあることを誇りに思います。MRJは近い将来、ぜひ世界の翼となってほしいと思います。

大井川鐵道 SL動態保存

大井川鐵道に乗車してきました。大井川鐵道株式会社は名鉄グループの中小私鉄で、蒸気機関車 (SL) の動態保存の先駆者です。特筆すべきは、旅客鉄道としての実用性は全くないといって過言ではないにもかかわらず、SL動態保存を見る、乗車するというニッチな層をとらえ、経営基盤を確立しているという点です。
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今回は、JTBの旅いくイベントとして参加させていただいたので、大井川鐵道から案内スタッフに同行いただき、車両基地見学及び説明をいただきました。使用されている石炭は、掘り出した石炭そのものではなく、加工された練炭です。この加工により、排出する煙が激減するそうです。
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日常の打音点検を教えてもらいます。ネジの緩み具合で、打音の違いを教えてもらうのですが、これが難しい!「ほら、こんなに違うでしょ」「???」「これと、この音の違いですよ」「うーん・・・」。やはりベテランと門外漢の素人では、感覚に天と地ほどの差があることを改めて認識しました。
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大井川鐵道は、1976年に日本で初めて蒸気機関車の動態保存を始めた鉄道で、現在でもほぼ毎日運転されています。起点・終点では回転台があり、SLの方向を変える必要があります。
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現在は、下記の4台を使い回して、大井川本線を運用しています。
1. C10形C10 8 - 唯一のC10形の現存機かつ動態保存機。
2. C11形C11 190 - 元々は熊本県内の個人の手によって保存されていた蒸気機関車。
3. C11形C11 227 - 大井川鉄道で運転開始した日本での復活蒸気機関車第1号機。
4. C56形C56 44 - 戦時供出によってタイへ渡り、あのタイメン鉄道を実際に走った機関車。
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大井川本線で運行されるSL列車(SL急行)に旧形客車を使用していることや沿線の風景から、戦前・戦時中に時代設定されているドラマや映画のロケーション撮影でよく使用されるそうです。
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トンネルに入ると客車の雰囲気も、かなりノスタルジーに変わります。もっとも黒煙が窓から入ってくるので、けっこう臭います。
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ちびっ子たちのSL乗車体験。実際に石炭を燃やしている状態で、汽笛を鳴らしています。
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石炭を釜にくべる実演をしてもらいました。1回の重さはそうでもないものの、1時間あまりこの作業を続けることは、かなりしんどい労働です。
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運転手さんの顔が、イイ!動態保存は、鉄道マニアだけのものかと思っていましたが,技術検証・過去の産業遺産の保存という点からも、もっと積極的に評価されて良いものと思います。先人達の過去の歴史の上に我々は立っているということを忘れてはならないと思います。
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天佑なり 幸田真音著

「天佑なり」とは、日本国債の海外発行を初成功させたときに、高橋是清が発した言葉です。その意味は、「単に運が良かっただけだよ」。前例や仕組みがない中で苦心して国債発行に導いた自分の功績にするではなく、運が良かったことが成功要因と自ら結論づけました。

現在アベノミクスといわれる金融緩和政策のお手本は高橋是清といわれています。いわゆる、経済学的には禁じ手である国債の直接日銀引き受けを初めて行ったことです。それだけなく、国家予算の数倍に匹敵する日露戦争の戦費調達の立役者でもあります。これがなければ日露戦争直前に、新造船の2隻の戦艦を購入できなければ、日本海海戦もできませんでした。奉天会戦の戦費も、日本独自の財源では遂行不可能でした。

高橋是清は、上記のように当初は財政支出拡大・景気拡大政策のスタンスでしたが、その目標達成後は経済の安定成長のため国家予算縮小を目指します。その過程で、国防予算縮小を嫌う軍部によって2.26事件が引き起こされてしまいます。
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仙台藩の足軽の家にもらわれてきた子、のちの高橋是清は、横浜でボーイとして英会話を学び、13歳で渡米。契約社会のアメリカでは、奴隷として農場へ売られる体験もしました。帰国後は、教師、公務員、銀の相場師、民間銀行員等のさまざまな職に就きます。

ちょうど、「坂の上の雲」と時代が重なっています。太平洋の片隅の小国が、明治から第1次世界大戦後には世界の4大国と言われるまでに、成長していきました。坂の上の雲の主人公、秋山真之・正岡子規が学んだ共立学校(きょうりゅうがっこう、開成高校の前身)で、高橋是清が教鞭をとっていたこともあります。

彼の武器は堪能な英語力と、型破りな発想力、そして持ち前の楽天主義です。何度も転職と失敗を繰り返しつつ、現場目線を失わないその姿勢は、一流のバランスを持った政治家の素養となります。そういった人物を政府要人に抜擢する、当時の政治家(森有礼等)も素晴らしい。本当に私欲を捨てて、国家のために全精力を尽くしてくれた人です。自らのプリンシパルを持ち、国家のために尽くすという点では、出光佐三や星新一と共通するものを感じ取りましたが、そのスケールの大きさは、高橋是清が一枚上手です。

<出光佐三は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/27665170.html
<星新一は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/27866180.html

このような素晴らしい先人達がいなければ、今の日本は全く別の国家になっていたことでしょう。高橋是清のことをを知ると、今の政治家や企業経営者が小粒に感じるのは私だけでしょうか。
 

独立会派のメリット・デメリット

新会派となったことで、いろいろな方から、名称の由来だけでなく、議員活動にあたってのメリット・デメリットを聞かれるようになりました。私なりに、分析してみたいと思います。

<新会派名称の由来については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/32958099.html

そもそも地方議員は、二元代表制(市長と議長に、大きな権限があること)の一方の構成メンバーです。本来、地方議員は、いわき市という一つの選挙区の代表として、それぞれ選出されていますので、その判断は(党や会派に左右されず)独立してすべきものと考えます。地方議員は、議院内閣制を取る国会と異なり、議員から市長を選出するわけではないので、代表選出という観点からは会派を組む理由はありません。

そうであっても、構成メンバーである他の地方議員と会派を結成する目的は、考え方を同じくするメンバー同士が徒党を組むことにより、数の力を得、議会内で有利に採決(多数決が原則)を行うことが可能になるからです。多数決が原則の議会で、過半(もしくはそれにに近い)会派を結成することができれば、他会派の意見は全く考慮する必要がなくなるわけで、それは、当該会派の強大なパワー、ひいては所属会派構成員のパワーを意味します。単独過半でなくとも、連携して過半をとれれば、大きな力になりますので、所属議員数がキーとなるわけです。

今月10/1から、37名が所属するいわき市議会の中で、14名を有する最大会派「志道会」から独立し、私は「失敗の本質」という独立会派を立ち上げました。下図は当時の会派別議員シェアになります。当時、志道会は自らを「最大会派の与党」と、自らを呼んでいました(本来は二元代表性なので、与党は存在しません。私には非常に違和感がありましたが)。過半を占めるには19名以上の連立を組めば総議席数の過半を占めることができます。この1年間でいろいろな採決をしましたが、会派同士の対立があっても、志道会14+公明党4+つつじの会3=21を達成し、採決となるケースが多かったと思います(当然、議案によってケースバイケースですが)。
 
<それまで>
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<2013.10以降~>
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前置きが長くなりましたが、私が考える独立会派のメリット・デメリットは以下のとおりです。
<メリット>
・自らが主体的に、打合せや会議等を設定することができる
・自らが主体的に、勉強会や研修会のテーマを決めることができる
・自分が意図しないうちに、会派の活動方針が決められることがない
・レポーティングラインがないため、機動的に、タイムリーに活動できる

<デメリット> 
・単純に、議会内では1/37の議決権パワーしかない
・特別委員会等の委員シートは、会派ごとに複数人に一人の割合で割り当てられるため、所属議員が1-2人だと割り当てなし、になってしまうことがある
・各派代表者会議という、会派同士の下打ち合わせの会に呼ばれない
・最大会派というブランドがない
・議員同士の接触頻度が減るので、情報交換の頻度が少なくなる

この1年間、大きい会派に所属させて頂き、会派運営の仕方や先輩方の議員活動のやり方、議会のしきたり、マナー等を学ぶことができました。新人議員にとっては、非常に実りのある1年間だったと思います。一方、自分の意思で独立して、情報を収集し、物事を考え、行動していきたいと思っていたのも事実です。清水市長へ建設的な提案をし、いわき市のために何ができるか、どのような付加価値をつけることができるかを、常に考え、行動していきたいと思っています。
 

ドイツのバーデン・バーデン ドストエフスキーが愛したベンチ

「バーデン・バーデンの夏」レオニード・ツプキン著には、ロシアの作家ドストエフスキーが過ごした一夏が生き生きと描かれています。ドストエフスキーは、妻アンナともに冬のモスクワからレニングラードを経由して、ドイツのバーデン・バーデンという保養地で一夏を過ごしました。ここで、「カラマーゾフの兄弟」や「罪と罰」等のアイデアの思索をしていたかと思うと、感慨深いです。妻アンナは、その温泉とカジノを抱える保養地での生活を克明に日記に記しました。夫であるドストエフスキーがカジノでの異常な賭博熱にとりつかれたこと、それが元で借金を抱え、屈辱を味わい、情欲・嫉妬の感情に悩まされたこと。夫に懇願され、宝石や衣服等を質草に出したことが、何度も書かれています。
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そのドストエフスキー夫妻が愛した、バーデン・バーデンの町を見下ろすことができる崖の中腹にあるベンチを見つけました。当時の面影のまま、現在でもバーデン・バーデンの町を一望することができます。

<バーデン・バーデンの街については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/33135732.html
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画面中央下にあるのが、100年以上の歴史を持つフリードリヒ浴場です。
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こちらがドストエフスキー夫妻が愛したベンチです。もっとも、ドストエフスキーが昼間からカジノ通いをしている間に、暇に任せて妻アンナが思索していたほうが多いのです。ここで過ごした一夏は夫妻にとって、甘くも苦い経験となったことでしょう。

<バーデン・バーデンのカジノは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/32997832.html
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丘の上といえば聞こえはいいのですが、ほぼ絶壁の上に位置しているので、見下ろす風景は絶景でした。ドストエフスキーも同じ風景を見ながら思索にふけったと思うと、感慨深いものがありました。
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新会派 失敗の本質

思うところあって、いわき市議会の中で、独立の会派として当面活動していくことにしました。会派名は、「失敗の本質」です。おそらく日本で唯一、かつ独自の会派名だと思いますが、これは組織論の名著の著作名からとっています。私は、日本でうまくいっていない施策や事象の多くが、この著書「失敗の本質」で説明が付くと思ってやみません。過去の歴史や先達の経験に学ぶことを自ら戒めて行動したい、と思いから自らの会派の名称とさせていただきました。

<失敗の本質については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/20737667.html

所属会派の変更に伴い、議会内の座席番号が変更になりました、3番→5番です。10/9に臨時議会が開催され、座席番号の変更が承認されました。もっとも最前列であることに変わりはないので、あまり当方から見た風景に変化はないのですが。

独立した会派となったことにより、事務手続や執行部・議会事務局との打合せ等、議会運営の仕組みが、より理解できる立場になりました。既存の枠に縛られなくなった分だけ個人の責任が重くなり、活動の実績が問われる実感があります。いわきのために自分が何ができるか、貢献できるかを追求し、考えていきたいと思います。そのためにも、自分が思いつかないヒントやアイデア等を得るべく、情報ソースを多く持ち、できる限りいろいろな方とお話しし、自分も出向いて行きたいと考えています。
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カルカー原子力発電所

オランダ国境に近いドイツのカルカー原子力発電所は、廃炉後、現在は、ワンダーランド・カルカーという総合型テーマパークに転用されています。これは、一度も本格稼働せずに閉鎖した高速増殖炉の跡地に、1995年に開園されたものです。
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ワンダーランド・カルカーのメインは、「ケルニー・ファミリーパーク」(Kernie's Familienpark)というファミリー向け遊園地です。その他にも、ホテルやレストラン、ボーリング場やシアターを含む複合施設です。一回の入場料は通常25ユーロ/人ですが、到着が16:00以降になったので8ユーロ/人にディスカウントしてくれました。


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もともと、カルカー原子力発電所は、日本のもんじゅと同様に、世界に先駆けて高速増殖炉が予定されていました。しかし本格運転前に、チェルノブイリ事故が発生し原発反対運動がさらに勢いを増したことで、建設が中止されました。その影にはコストが当初予定の4倍以上に膨らんだことも要因のようです。
・1985年 試運転開始
・1986年 チェルノブイリ原子力発電所事故
・1991年 原子炉としての計画中止
・1995年 遊園地に転用

廃炉後は、施設は相当安い価格で、オランダ人投資家に売却されました。その投資家、ヘンニー・ファン・デル・モスト (Hennie van der Most) は、買い取った後に遊園地の整備を始めました。冷却塔の外壁がクライミングウォール、中央制御室がレストラン、消防隊室がボウリング場、そして原子炉関連建屋がホテルに改装されました。
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使われなくなった原子炉タービンの現物が、無造作に展示されていました。迫力があります。
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原子炉関連建物の中では、「原子炉内探検ツアー」が体験できるよう、改装して見学者を受け入れています。教育観光のヒントになります。ただ遊園地でのんびり過ごしたいというファミリー層のニーズからは、あまり積極的な評価を受けているわけではない印象を受けました。これは施設のターゲット層設定や、外部プロモーションからの影響が大きいかもしれません。
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それなりの展示や説明はありますが、遊園地という施設スペックから離れた内容でもであり、教育観光という視点は、あまりありませんでした。なお、施設のほとんどはドイツ語オンリーですが、ここだけは説明文は英語になっていました。
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一番の人気は、遊園地の冷却棟です。冷却棟内部の中央部分には回転ブランコが設置され、子供だけでなく、たくさんの大人が楽しんでいました。
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ブランコがだんだん上に上がっていきます。
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冷却棟内部の下から見上げた回転中のブランコは、何かのオブジェのようです。
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個人的には、冷却棟外壁のロックライミングが興味を引きました。ちょうど一人がトライ中でした。命綱をつけているとはいえ、地上から50m以上、かつオーバーハングしている壁は、ものすごくスリリングなのだと思います。
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入場料には、フライドポテトとソフトクリームの食べ放題がオールインクルーシブで付いてきます。追加で10ユーロ支払うと、その他にレストランでのビュッフェ食べ放題やボーリング場無制限遊び放題等がついてきます。このフライドポテトは大人気で、作った先から飛ぶようになくなっていきます。結果として、常に揚げたてが提供されるのと、スパイシーで分りやすい味付けが、とても美味しい。
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ソフトクリームはセルフサービスです。自分でサーブするので楽しいです。甘党ではない私も3個いただきました。
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その他にもゴーカートや、ウォータースライダー(スプラッシュマウンテン、ほぼそのもの)がありました。これも入場料金にすべて含まれています。
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来場者は年60万人で、遊園地の繁忙期には約550人が雇用されるとのことです。周辺はライン川にのそばで、トウモロコシ栽培と、乳牛の生産がさかんな農業地帯です。おそらく施設内のソフトクリームの原材料である牛乳も、地元農家から優先購入されていると推測します。遊園地の施設レベルとしてはディズニーランドには及ばないものの、遊園地のリーズナブルな料金でファミリー層から一定の評価を得ているようです。

現在ドイツでは、稼働していた17基の原発のうち8基を停止し、2022年までの全原発廃止を決めています。廃炉した跡地をどのように利用するか、ひとつのヒントを得てきました。
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吉田みきと プロフィール

ふるさとの福島県いわき市で、市議会議員として活動しています。いわき市は、震災後、複層的な問題が山積しています。公認会計士・一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 認定 アンガーマネジメントファリシテーターとしてのキャリアを生かし、フレッシュな視点で問題点を洗い出し、解決策を提案していきます。

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