吉田みきと ほぼ毎日ブログ

「死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし。 生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし。」 吉田松陰・高杉晋作語録   「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ人は始末に困るが、そのような人でなければ天下の偉業は成し遂げられない。」 西郷隆盛・山岡鉄舟語録

2013年09月

ロックフェラー財団のレジリエンスシティ基金 ぜひいわき市も応募を

ロックフェラー財団(Rockefeller Foundation)は、世界中の100都市を指定して都市レジリエンスのために総額1億ドルを資金提供することを発表し、現在、各都市からの応募を受け付けています。レジリエンス(Resilience)とは、回復力や復元力、「復興」を指します。いかにして災害から回復できる力持てるかが鍵で、まさに東日本大震災からの震災復興がそれにあたります。

ロックフェラー財団といえば、福島県が生んだ偉人、野口英世博士が籍を置き、研究にいそしんだところです。これまでも同財団は自然災害を受けた都市に対して支援を行ってきました。今回は、その一貫で技術的な支援と資金を提供するそうです。

ぜひ、いわき市がこれに応募して欲しい、と思います。当方で確認したところ、いわき市は一定規模の都市である点や災害復興途上であること等、すべて応募要件を満たしています。応募締切りは来月の10/14。必要書類はすべて当方で手配、作成準備可能ですし、申請事務を担当しても構わないと思っています。地元選出の某国会議員の先生からも、賛同の意見をいただいています。

<ロックフェラー財団 レジリエンスシティは、コチラ>
http://100resilientcities.rockefellerfoundation.org/
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支援を受けるメリットは、財団からの資金援助のみならず、広範囲な知見、技術支援、サポートを得られることでしょう。その例示として、計画作成のサポートと実行のためのツール、技術的サポート、人的資源の提供、100都市レジリエンスのネットワークへの加入、最高レジリエンス責任者の採用等が挙げられています。同財団には、都市問題解決のソリューションが蓄積されているだけでなく、研究者やドクター等を多数抱える世界的ネットワークを有しています。彼らを利用することで、やり方次第でいわきの抱える課題、すなわち①町外コミュニティー(仮の町)、②医師・看護師不足、③交通渋滞等の諸問題に対する、高所視点からの解決策の提案や、彼らが持つネットワーク・影響力の利用が期待できます。

一方、応募に尻込みしがちな要因として、全て英語での対応が必要であることや、日本の中でいわき市が突飛なことをすることに対する外部からの嫉妬、やっかみを心配すること等があります。しかし「矢は射なければ当たりません」。しかも、応募者たる自治体に対して、応募自体に対する義務や責任は何ら発生せず、何ら経費負担も発生しないので、応募しない手はありません。

私見ですが、ロックフェラー財団の海外認知度は非常に大きく、ここからサポートを受けているということ自体が、国内外からのいわきの好感度上昇につながることは必至です。これは短期的には、直接的な交流人口の増加やノウハウの授受というメリットがありますが、さらには長期的な視点に立った人的ネットワークの拡大により、関連産業だけでなく、英語教育に対する理解等の多方面で好影響が期待できます。

今月に実施された市長選挙結果は、多くの市民が既存の市政運営に必ずしも満足していなかったということを示しました。ぜひ清水敏男市長には、既存の枠組みにとらわれず、新しい試みに挑戦する姿勢を見せて欲しいと思います。

<説明動画は、コチラ>

破綻 ─バイオ企業・林原の真実─ 林原靖著

人工甘味料トレハロースの開発・製造をする岡山の優良企業、林原(はやしばら)は2011年に経営破綻し、最終的に会社更生法が適用されました。その結果、すべての株主・経営陣から創業者一族が一掃され、翌2012年に、長瀬産業に買収されました。当時から、トレハロースは世界的に独占をしていて、そんなピカピカの花形製品を持つ会社が、どうして会社更生法の適用になったのか、不可思議でした。通常、破綻会社の弁済率は10%程度といわれている会社更生法ですが、その弁済率は93%だったとのこと。資産の早期売却(たたき売り)さえなければ100%弁済も可能であり、それは、短期的に更正などさせず、営業利益から営業債権を回収したほうがより確実ということを意味するので、ますます会社更生法を適用する真意がわかりません。その渦中に専務取締役としての立場だった著者が、その内情を語ってくれています。

<事実>
・過去ずっと粉飾決算を続けてきた(銀行借入金が過少)
・旧商法の法定会計監査を受けていなかった(義務違反)
・債権者に対する弁済率93パーセント(通常の破綻した場合、10%程度)

<林原家の言い分>
・貸借対照表に載っていない有形・無形の資産は多いが、担保価値を見てくれない
・銀行借入金の元利返済は滞りなく行ってきた
・ずっと黒字経営を維持
・一度も借入金の返済遅延していない
・ADRや会社更生法は、会社が望んだことではなく、金融機関主導で進められた
・ADRや会社更生法は、資産のたたき売りになってしまい、資産価値の毀損を招いた
・ADRによる財務調査、金融機関への説明で、内部資料がダダ漏れになり、会社の信用を毀損した
・株式会社林原は、林原家と一体の同族の中小会社であり、大会社と同様のコンプライアンス遵守は困難
・個人保証で家族を追い込み、執拗に家財道具一式を持ち去る手口は、卑怯
・最先端のプロの法律事務所に、ADRという新しい制度を使われて、法律上の無知なことにつけ込まれ、手も足も出せずにいいようにやられてしまい、対抗することができなかった
・マスコミの一方的な記事によって、信用不安が増幅された
・経営陣は借入金返済のために、任意で個人資産の提供を行った

<銀行の言い分>
・過去ずっと粉飾決算をし、銀行を欺いてきた
・借入金の保全を図るのは、金融機関として当然
・株式会社林原が、林原家と一体の同族会社なら、個人保証をとるのは当然
・法律の手順に従って、最善の回収方法を模索しただけ

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著者は独り言とした上で、以下、恨みを語っています。
「これからは、日本のベンチャーや中小企業は決して銀行融資を当てにしてはならない。日本では完成された大企業でないと、十分な融資を受けることが難しいからだ。今後はなお一層、銀行融資の回収が避けられなくなるだろうし、下落を続ける土地と上場株式にしか担保価値を見てもらえない。おまけに経営者は連帯保証からも逃れることができなくなる。こんな時代にやれるのは、この国を離れるか、思い切って会社を閉めるか、あるいは死にものぐるいで別の新たな資金確保の方策を見いだすことだ。だがそれなとてつもなく難しい。」

図らずも、プライスウォーターハウスクーパースが、悪徳弁護士と結託する一味として書かれているのが心外ではありますが、確かに財務調査や資産売却に関する業務で報酬を得ているわけで、破綻側の立場では、資産を毀損させた、またはたたき売った当事者ということになります。

では結論として、いったい林原を巡る騒動とは何だったでしょうか。黒字会社が突然経営破綻し、経営陣は全て役職を退任させられ、私財を提供させられました。ADR・会社更正法申請を進めた銀行は、借入金をすべて回収し、一般の債権者もほとんどの債権を回収できましたが、本当にそんなことがやりたかったのでしょうか。創業家の認識の甘さ(会計や法的な知識)や落ち度(粉飾決算や銀行への虚偽報告)は重いものの、刑法を犯したわけでも、ビジネスで誰に迷惑をかけたわけでもないのに、法令遵守の名のもとに、一方的に会社を畳ませられるというのは、釈然としないものがあります。合成の誤謬という言葉がありますが、それぞれの会社がそれぞれにとって合理的なロジックで行動してしまうと、全体最適(全体の利益)を達成できないということです。林原のケースはまさにそれにあたると思います。

廃炉作業スキーム私案 市場の失敗

原子力発電の運用を行っている民間企業(東京電力)に対して、その活動の源泉である発電機を壊すための活動を要請することは、企業行動のインセンティブ上、そもそも無理があります。いわゆる経済学でいう「市場の失敗」にあたります。自主的な市場メカニズムが働かない、いわゆる市場の失敗※が起こる場合には、政府が何らかの方法で市場に介入するか、あるいは政府が直接的に財の供給者となる必要があります。

東京電力に廃炉作業の役割分担を行わせることが適切でない理由は、以下の3点です。
1. 信用力
多くの国民から、東京電力という会社そのものが信用されていません。それは原発事故を起こしたということだけでなく、事故後の東京電力の対応(情報発信遅延、情報ミス、汚染水漏洩等)により、引き起こされたものです。東京電力主導で、事故後の対応の中でもっとも重要な廃炉作業が行われることは、多くの国民を安心させることにはつながりません。

2. 技術力
東京電力の主たる業務は、原子力発電の運営者・オペレーターなのであって、原発設計・建設の専門家集団ではありません。廃炉の技術開発・技術蓄積は、技術の基礎となる原発設計・建設の技術者を中心におこなわれなければ、まだ見ぬ廃炉のための技術開発の工程は遅延してしまいかねません。また、東京電力の人材流出は続いており、原発設計・建設に直接関与する技術者の人的資源の新規増員がない限り、主たる技術開発を東電に担わせることは無理があります。

3. 利益相反
東電は、株式会社であり、しっかりとした廃炉作業、放射性物質・汚染水対策をする(=膨大なコストをかける)ことは、自らの損失を拡大することを意味します。それは会社として利益相反行為であり、本質的に企業・従業員行動インセンティブに反しています。

※市場の失敗: 市場メカニズムが働いた結果において、パレート最適ではない状態、つまり経済的な「効率性」が達成されていない現象です。資本主義経済下において通常の場合、合理的な市場参加者によって、「見えざる手」によって需要と供給の均衡によりパレート最適な配分を実現します。市場の失敗が起こる原因の例として、不完全競争による独占・寡占の存在、情報の非対称性の存在、不確実性等が挙げられており、今回の東京電力の廃炉作業はまさにこれに該当します。

さて、今回の廃炉作業が進まない主要論点は、①廃炉に至る作業が原発運営し(従業員を養い、債権者や株主を満足させるために)利益を上げなければならない民間企業であることと、②技術情報や現状に関する情報が独占され(一方、完全にオープンでも安全保障上、課題あり)、外部の英知を活用することができていないこと、 ③求められる技術の難度が著しく高く、製造業を営んでいない一民間企業の人的資源・金銭的資源では限界があること、だと思います。

それらを解決する方策のひとつとして、政府の介入があるわけですが、政府が介入すれば、それで解決するという単純なものではありません。かえって迅速性が失われたり、責任の所在が不明確になる等有害になる恐れがあります。「神は細部に宿る」の言葉どおり、課題を熟慮した上で実行する必要があります。
①政府が直接、廃炉作業の意思決定や作業指示に介入
→政府に、技術的な事項を判断する能力は不足している、また意思決定の迅速性に欠ける
②政府が、複数の原発メーカー(例えば、東芝・日立・三菱重工等)に、廃炉作業の意思決定や作業指示を委託
→責任の所在が不明確になる。現地の東京電力社員しか把握していない情報もあり、すべてを共有化は困難。

そう考えてくると、以下のようなスキーム・役割分担が浮かび上がってきます。
・政府:大きな廃炉の方針(時期等)を示し、廃炉プロジェクト会社に委託
・複数の原発メーカー:(責任を限定した上で)廃炉プロジェクト会社に出資、参画
・廃炉プロジェクト会社:廃炉作業の具体的な意思決定や作業指示及び技術開発
・東京電力:廃炉に関しての情報提供と協力
・ステアリングコミッティー:政府と廃炉プロジェクト会社、東京電力で毎月1回定期的に進捗を確認し、情報共有を図る。政府に対して報告及びアドバイスを行う。

この場合、政府は廃炉プロジェクト会社に一定の予算を付けることとなり、原発メーカーの大きなインセンティブになります。また参加企業にとっては、廃炉に携わるロボット等の技術開発及びその蓄積も期待できます。現在、東京電力は廃炉作業とそのプレス発表に限られたリソースの多大な投入を余儀されていることが、東電の福島復興本社訪問でわかりました。廃炉作業に関してより多くの情報開示を求めるマスコミ各社の要請もあり、多くの東電社員が毎日、膨大な説明資料の発信・準備に追われています。その東電にとっても廃炉作業協力のインセンティブが働きます。

<東電の福島復興本社については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/25831733.html 
 
こういったステアリングコミッティーを用いたスキーム私案は、私の独創アイデアではありません。例えば、企業のM&A時等には、お互いの利害が対立し、しかしそれでも合意に達することが、全体利益の最大化です。その合意に達するよう、アドバイザーたる投資銀行やコンサルティング会社が総合調整を行い、必要に応じて上記のようなステアリングコミッティ等を設置するわけです。

上記の私案についても、本当にできるのか、現実的なのか、誰がやるのか等のご批判が出そうです。手前みそですが、かつて所属していたPwC(コンサルティング会社)の諸先輩方にチーム編成を依頼すれば、能力をフルに使って、全体図の策定、工程管理等を任せることができるでしょう。高い守秘性を保ち、各業界の行動ロジックを把握し、利害を調整し、全体工程を管理できる(そして最後まで逃げ出さない)のは、政府、原発メーカー、東京電力、いずれにも不可能で、多様なバックグラウンドを持つ人材を多数保有する第三者の関与が必須と考えます。

<PwCについては、コチラ> 
http://www.pwc.com/jp/ja/advisory/index.jhtml 

キッザニアアウトドア in すみだ 紗蔵

JTB旅いく×アウトドアキッザニア in すみだ に参加してきました。会場は、東京スカイツリー目の前の、革製品の店、「紗蔵(SAKURA)」です。墨田区は、今でも伝統工芸の熟練技術を守る職人が活躍する街であり、ものづくりの街です。現在でも革のなめし工場が、区内で稼働中で、革製品を生み出しているそうです。

こだわりの製品とともに、子どもの職業体験にも力を入れていて、キッザニアとJTBのコラボ企画である、「JTB旅いく アウトオブキッザニア」に参加したそうです。実は私もそれまでそんな活動はつゆ知らず、たまたま朝小サマースクールで紹介されたという、偶然のきっかけです。

<朝小サマースクールは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/30838129.html
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製作のご指導いただいた和久真弓氏は、すみだマイスターに認定されている革職人である鈴木利春氏の後継者です。東京都墨田区出身の和久氏は、デザインスクールを卒業後、デザイン企画、衣装協力、雑誌企画商品開発に携わり、現在は、紗蔵ブランドを立ち上げ、墨田区産のエコレザー(東京都認定PIG SKIN)も使用して地元ならではの革小物GOODSを製作しておられる方です。

今回は、東京都認定PIG SKINを使用して、自分のオリジナルペンケースを製作するという、こども職業体験の講座に参加しました。
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ペンケースのデザイン、使用する革の色、パンチングのデザイン等を自分で選びます。ある程度、選択肢に限定はあるのですが、組み合わせは無限にあり、世界にふたつとない完全にオリジナルのペンケースとなります。

製作作業自体は、講師のインストラクションのもとに自分で行うのですが、重い工具等はお手伝いいただきながら作業を進めていきます。
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製作途中の革です。2枚の革を重ねて使用し、リベットで固定しながら形を作っていきます。
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革の貼り合わせ、革職人が使う専用のボンドを使った本格的なモノです。
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完成品です。豚をモチーフにしたペンケース(右)と、ちょっとした模様を付けたシンプルなペンケース(左)です。多少不格好なところも、自分が作ったとなれば、それもまたオリジナリティになります。現代社会は、安価に一定の品質の製品が世の中にあふれ、自分で工夫してモノを作るということが薄れているような気がします。工業化社会の恩恵に浴している一方、モノに対する愛着が希薄化しています。モノづくりの原点、モノに対する愛着を思い起こさせてくれた講座でした。

現在、観光業はマスマーケットから個別マーケットへシフトしていると言われています。具体的には、温泉観光地に団体ツアーで訪れる形から、個人が直接、個性的な宿を探して予約し宿泊し、現地で興味あるものとピックアップして訪れるということです。これは着地型観光と呼ばれ、注目しています。難点は、対象がニッチなだけにどう商業ベースに乗せられるかです。そのヒントは、個人的には提供コンテンツと口コミによる評判だと思っているのですが、いろいろな事例を参考にしながら調べていきたいと思っています。

<着地型観光については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/26695004.html
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お手伝いいただいた紗蔵のスタッフの皆さん、ありがとうございました。制作自体が楽しい記憶に残るとともに、「ものづくりの街すみだ」を実感できました。着地型観光のヒントを得ることができました。
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開成学園 文化祭

第142回開成祭(開成学園の文化祭)に参加してきました。私立中学受験の御三家といわれる、開成・麻布・武蔵(or 駒場東邦)の中でも、群を抜いて東大進学者数が多い、中高一貫の中学300名、高校400名のマンモス私立男子学校ですので、どんな出し物をしているか非常に興味を持っていました。場所は中高ともに、JR山手線「西日暮里」駅から徒歩2分のところにあり、通学至便な場所にあります。

卒業生には、マネックスグループ代表の松本大氏や、ライフネット生命の副社長の岩瀬大輔氏がおり、独創的なビジネスセンスとバイタリティのOBがいる学校です。私が直前まで勤務していたプライスウォーターハウスクーパースにも、開成出身者が複数在籍し、先輩後輩とも(それぞれ個性はありましたが)地頭が良く、臨機応変に対応できる即応力が高いな、という印象がありました。

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文化祭自体は、142回目を迎え、校風は質実剛健、初代校長は元総理大臣・大蔵大臣の高橋是清です。安倍首相の経済政策アベノミクスは、高橋是清の政策を大きく参考にしているといわれています。高橋是清については、「天佑なり」という幸田真音氏が書いている本(上下巻)があって、私はちょうど上巻を読み終わったところです。是清の波瀾万丈な人生と、その経験に基づいた経済政策について、私なりに考えているところでしたので、たまさかここの初代校長であったことは何かの縁かもしれません。

開成学園は、共立学校(きょうりゅう がっこう)として創立され、東京大学予備門への進学者のための受験予備校の地位を確立していました。その後、東京府開成尋常中学校、東京府開成中学校、私立東京開成中学校、新制中学校(開成中学校)、新制高等学校(開成高等学校)を経て、現在の中高一貫の開成中学校・高等学校になりました。

<高橋是清 天佑なりは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/32311575.html
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文化祭の運営・管理は生徒に任せられるそうで、生徒運営による「文化祭準備委員会」の下、文化系の各部や同好会・サークル、有志などが参加し、日頃の研究成果の発表やパフォーマンスなどが行われるそうです。入場制限はありませんが、それゆえに大混雑は常態化しているようです。開催期間中の2日間に約3万人の来場者が訪れる大イベントです。
 
現在の校長先生は、自ら開成中高のOBで、ハーバード大教授の理系出身者です。以下、校長先生のお言葉です(引用:東洋経済ONLINEより)。嫌みのようにも聞こえますが、自ら海外で教壇に立ち、客観的に日本の教育制度を見てきた方だけに、説得力があります。

私が卒業式で彼らに言うのは、「君たちは18歳の集団としては世界一の能力を持っている」ということ。私はハーバード大学で教鞭を取っていました。その経験から感じるのは、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学の新入生と開成生を比べたら、開成生の方が遙かに優秀である、ということです。もちろん、生徒個人の能力の高さもありますが、開成で過ごす6年間で彼らの「世界一の能力」が培われると感じています。
――「世界一」はどのように培われるのでしょうか

世間一般で「開成」というと、とにかく高い偏差値と東大合格者数ばかりが先行し、「ガリ勉」というイメージを抱かれがちです。しかし、実際には、学校として、大学への進学実績は考えたことはありません。6年間の開成での過ごし方の結果の一つとして大学合格実績があるという認識を持っています。

「ガリ勉ではない」というとなかなか信じてもらえないのですが、学力面で特別な指導はしていません。教員には「生徒が面白いと感じるようなエキサイティングな授業をして欲しい」というだけです。

授業で使う教材もほとんどが教員のオリジナルです。学力に応じたクラス分けもなければ、文系、理系の区別もありません。教員も基本的には中1の時の担任が高3まで持ち上がり、受験指導に特化した教員はいない。すべて生徒の自主性に任せっきりなんです。

――ところが東大を卒業してみると、米国エリート大学と渡り合うほどの人材育成が行われていないように思えます。

唯一と言っていいかもしれませんが、開成生の弱点がそこでしょう。開成から、東京大学に進学する生徒は約半数。東大生全体の生徒数からしても約7%を開成生が占めています。これはどういうことかというと、中高から大学へ「ステージが変わった」という実感が湧きにくいんです。東大の銀杏並木を歩いていると、開成生としょっちゅう顔を合わせる。

――これからの開成生はどうなっていくのでしょうか

ここにきて、開成生の目は海外に向き始めています。やはり、開成から東大に進学してみて、高校時代と大きく環境が変わらず「物足りない」と感じている生徒もいます。彼らは、ハーバード大学などの一流大学のサマースクールを受講して「海外で勝負したい」と感じているようです。

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<東洋経済onlineより、転載>

開成祭には、伝統的に人気の出し物(参加団体、参団(さんだん)といいます。)があり、トップのひとつが物理部です。展示のみならず、自作の電子工作の説明、物理や化学の実験のプレゼンテーション等があります。

実験内容のレベルが高い!教科書に出ているような化学反応はすでに超えていて、独自の化学反応等を調べて試したりしているようです。生徒に聞いてみると、過去の先輩達のやってきた実験ノートが連綿と受け継がれてきていて、それをさらにこの代で検証、レベルアップしていくというスタイルだそうです。なるほど、これならレベルが高いことに納得しました。
 
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非常に素晴らしい実験と活動であることに拍手を惜しみません。あえて惜しい点を述べるとすれば、発表型の参団が多かったのが少しだけ気になりました。確かに素晴らしいのだけれど、観客の視点に欠けているということです。観客参加型でなければ、文化祭というせっかくの外部交流の機会を逸しているような気がします。もっともそれを分った上で、実施し、大混雑を引き起こすほどの人気を得ているのかもしれませんが・・・

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とにもかくにも参団の出し物の質・量ともに素晴らしい学園祭でした。これは他を寄せ付けないと思います。ただし、またもや難癖をつけるとすれば、どうみても来訪者女子が、異常に少ないということはいえるでしょう。男子校なので女子は存在しないことは当然なのですが、来客に同級生の女子中学生や女子高生が、少ない。来客の層を分析すると、①将来の中学受験を控え、その下見を兼ねた母子、②毎年、楽しみにしている近隣の住民、③その他に分類できると思うのですが、①が多い、③が少ない。新御三家といわれる駒場東邦の方は、女子が一定程度、見られただけに開成の校風というか、女子から見た評価が、来場者の顔ぶれに現れたということでしょうか。
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<開成学園 運動会は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/38048344.html

セブンカフェ

セブンカフェが美味しい。セブン-イレブン店舗内のオリジナル専用機器で提供するセルフ式のドリップコーヒー「SEVEN CAFE(セブンカフェ)」の味が本格的です。前回のチルド配送のアイスコーヒーを上回る衝撃です。缶コーヒーだけでなく、そこらにある普通の喫茶店の味をも優ると思います。

<7-11のアイスコーヒーは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/19898939.html 
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面白いのは、セブンカフェのリピート購入率は55%以上で、かつ、購入者の約半数を女性のお客様が占めていること(7-11広報による)。通常、コーヒーというカテゴリで女性客が男性客を上回ることは、ありえません。その意味でエポックメイキングな商品であることは間違いありません。ホットコーヒーがRサイズ100円、アイスコーヒーがアイスコーヒーはRサイズ100円で、缶コーヒーに比べて圧倒的なコストパフォーマンスの良さ、かつその味から、女性に限らず、私も含めた男性からも確かな支持を受けていると思います。

セブンカフェは、以下のようなこだわりをもって企画されています。
・クリエイティブディレクター佐藤可士和氏のプロデュース
・ウォッシュド・ハイグレード・アラビカ豆100%
・1杯ごとのペーパードリップ
・チルド配送
・軟水抽出
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商品が世に出て、成功してからその成功要因を挙げることは容易です。例えば個人的には、この中では佐藤可士和氏のプロデュースというのが隠し味になっていると思います。機器のデザインだけでなく、シンプルなカップ、店舗内の見せ方等、ぱっとの思いつきで企画されたものでないことを感じます。またセブンプレミアムで培った、プライベートブランドのためのそれぞれの専門会社の力の結集が奏功したのでしょう。

コーヒーの原価率は非常に低いという特徴があり(店舗にもよりますが10%程度)、その戦略的な販売方法については、たくさんの経営指導本・分析本が出版されてきました。MBAに通学していたとき、コーヒー販売戦略に関する複数の本を読ませられました。大きく分けると、1. コーヒーは原価率が低いのだから、他の商品のおまけとしてセット販売することでお得感を出す(例:マックのセット販売)。2. コーヒーの通常価格を維持し、粗利を稼ぐ(通常のコーヒー店)、3. コーヒーに付加価値をつけて、通常のカテゴリでなく高価格の別のものとして販売する(スターバックスのキャラメルマキアートやフラペチーノ)

7-11は、自らの強みであるセブンプレミアムの企業ネットワークをベースとして、第4の道を模索しているように見えますし、おそらくそれが確立しそうな勢いです。MBAのケーススタディに取り上げられる日も遠くないかもしれません。それにしてもここまで成功すると、運営・企画する方は仕事冥利につきるでしょうね。
 
<マチカフェ MACHI café ローソンは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/37069155.html 

お伊勢参り おかげ横丁

お伊勢参りで、神宮参拝の帰りにおはらい横丁・おかげ横丁に立ち寄りました。江戸時代に盛んになったお伊勢参り。無事にお伊勢参りができるのは、目には見えない神様のおかげ。そして道中の人々の「施行(せぎょう)」と呼ぶ様々なお世話のおかげ。お伊勢参りは、「おかげ参り」と呼ばれるようになったそうです。

おはらい横丁の路上は歩行者天国になっており、多数の参拝客で賑わっていました。なおこれでもピーク時の人出の半分程度だそうです。
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伊勢名物「赤福」本店。2007年に消費期限改ざん問題を起こしたところですが、その後の業務改善の効果?でしょうか、伝統の温かい雰囲気を残しつつも、非常に整然とした売り場は、清潔です。
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お茶と赤福3つのセットで300円ちょっと。あんこ餅が苦手が私も、これは美味しい。あんこ餅というより、生の和菓子というほうが適切です。思わずおかわりしてしまいました。
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赤福本店内の大広間で、五十鈴川を眺めながらゆっくり、赤福をいただくことができました。なお、お茶サービスは何杯でもOKなので、休息所としての利用も多いのではないでしょうか。
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赤福本店の店頭には、朱塗りのかまどがあり、炭火による火が入っていました。赤福本店で出されている番茶は、この竈で沸かした湯を使うそうです。
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おはらい横丁の真ん中あたりにある、おかげ横丁です。ここは江戸時代末期から明治時代初期の門前町の町並みを再現、老舗和菓子屋の赤福が約140億円をかけて作った「小さな町」です。「おかげ参り」と「商いを続けてこられたのは伊勢神宮のおかげ」という2つの意味を込めて「おかげ横丁」と名付けられたとのこと。行政から補助金を受けることなく自己資金でまかなったそうです。入場料を徴収しないので、おはらい横丁との境は、この立札だけです。

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実は、1970年代後半に観光入込み客数が20万人にまで落ち込んでしまい、その状況を打開しようと赤福が立ち上がり、「伊勢おはらい町会議」を結成、まずおはらい町を伝統的な妻入り建築が並ぶ通りに修景したそうです。
次に、赤福単独でおかげ横丁を整備、おかげ横丁設立前の1992年には30万人あまりだったおはらい町の往来者数は、おかげ横丁設立とともに増加し、現在では400万人に達しようという勢いです。
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既存の商売を大事にしつつ、消費者目線で大胆な投資をしていく、老舗和菓子店の先見の明に感服するとともに、飽くなき商売への追究の姿勢のファンになりました。下の写真は、赤福本店前の、かき氷店です。赤福が、定番「赤福」だけでなく、新商品「あかふくかき氷」を販売しています。
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<お伊勢参り 内宮>
http://www.mikito.biz/archives/31774680.html
<お伊勢参り 外宮>
http://www.mikito.biz/archives/31736918.html
 
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出羽桜酒造 見学

天童市にある出羽桜酒造を見学させていただきました。ここの看板商品である「出羽桜 純米大吟醸 一路」が、2008年開催の「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)※」SAKE部門で、が最高賞である、チャンピオン・サケを受賞したことで有名です。97年より世界各国への輸出を開始し、国外出荷量が、全出荷量の1割を超えているとのこと。どのような酒造りをしているかとても興味がありました。

※ インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)
1983年以降毎年、英国ロンドンで開催されているワインコンテスト。 約40カ国10,000種類ものワインがエントリーされる、世界の中でも最も確立された、最大級のコンテストの1つ。「SAKE部門」は2007年より新設され、「純米酒の部」「純米吟醸酒・純米大吟醸酒の部」「本醸造酒の部」「吟醸酒・大吟醸酒の部」「古酒の部」の5つの部で構成される。 まず、各部門ごとに「ゴールドメダル」が選出され、その中からさらに上位の「トロフィー」が選出される。そして、各部門の「トロフィー」の中から、最高賞の「チャンピオン・サケ」を選出するという流れの審査方法で評価する。 
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拍子抜けするのは、外観があまりに普通の造り酒屋であることです。ちょうど酒造りの季節から外れていて閑散としていましたが、フツーの倉庫に毛が生えたようなものです。
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営業部長に酒造りの方法、管理方法等をレクチャーしていただきました。スーツ姿の軍団が、全員帽子をかぶって一心に説明を聞いている姿は、少し異様でしょうか。拍子抜けだったことは、輸出の方法です。当初、輸出用は国内用とは別の、酒税・消費税がかからない保税タンクに仕込むと思っていましたが、まったく区別せずに造っているとのこと。すなわち、輸出業者に商品を販売し、その商品を輸出業者が、運賃をかけて海外へ運び、販売しているとのこと。輸出業者との取引は国内取引なので、通常の酒税・消費税の対象なので、なんの工夫・からくりもなく、非常にがっかりしました。
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こちらの酒造は、90キロリットルタンクのような巨大タンクで仕込むのではなく、10キロリットルタンクをたくさんならべて製造していました。火入れも、酒を瓶詰めした状態で、65℃のお湯で湯煎して、酵素破壊・加熱殺菌するという、非常にアナログな手法でやっていました。このほうが風味が飛ばないというメリットがあるそうです。
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最後は、出羽桜酒造で造っている5種類のお酒の銘柄当てです。3種類くらいは風味でなんとなくわかるものの、それ以上はギブアップです。こういった昔ながらの酒造り、人の手による酒造りで、高い国際評価が得られるお酒ができることに驚きました。酒造りに関して、優秀な酵母や温度管理の研究はかなり進んでいるはずなのですが、人知を超えた不思議な酵母の力が、美味しいお酒を生み出すということも、どうも事実のようです。
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日本の10大庭園

日本庭園は、世界に誇るすぐれた文化といわれています。しかし、そもそも日本庭園らしいものとは、いったい何を指すのか、明確な基準はないようです。また日本三大庭園は、兼六園(石川県金沢市)・後楽園(岡山県岡山市北区)・偕楽園(茨城県水戸市)といわれていますが、その理由や選定基準は必ずしも明確ではありません。いずれも江戸時代につくられた広大な大名庭園ではあるものの、日本庭園のすべてが表現されているというわけでもありません。本書は、庭園建築家(父君も著名な庭園建築家)による、10の庭園の見所の解説を通じて、日本人が知らない日本庭園の基本原則を探そうというものです。

結論からいうと、日本庭園とは「池泉」「枯山水」「露地」の3つの要素が組み合わされた空間、としています。例えば日本一の庭園として有名な西芳寺(苔寺)も、この3つの様式を組み合わせて作られています。
1. 池泉: 大きな池を中心に配し、その周囲に園路を巡らして、築山、池中に設けた小島、橋、名石などで各地の景勝などを再現したもの
2. 枯山水:池や遣水などの水を用いずに石や砂などにより山水の風景を表現する庭園様式。例えば白砂や小石を敷いて水面に見立てることが多く、橋が架かっていればその下は水である。石の表面の紋様で水の流れを表現する。
3. 露地:茶室へと至る道すがらを表したもので、里山的風景を取り込んだもの。飛石、灯籠、手水鉢等が置かれる。
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登場する庭園は、以下の10つ。京都の庭園が多く選ばれたことは、平安時代に庭園建築が始まったことに大きく影響されていると思います。このうち3つは、私も過去に訪れたことがあります。
1. 毛越寺庭園(岩手)浄土式庭園の代表例
2. 西芳寺庭園(京都)苔に覆われた極上の空間
3. 天竜寺庭園(京都)剛健な滝石組
4. 鹿苑寺庭園(京都)金閣が望む、すぐれた池泉庭園
5. 大徳寺大仙院庭園(京都)山水画の世界を立体的に表現
6. 龍安寺(庭園)名声にかかわらず、作者名を含む多くが謎のまま
7. 一乗谷朝倉市遺跡庭園群(福井)息をのむ石組の美
8. 徳島城旧表御殿庭園(徳島)絢爛豪華な大名庭園の始まり
9. 南禅寺金地院庭園(京都)鶴亀蓬莱庭園の代表格
10. 桂離宮庭園(京都)どこから見ても名景

通読して、日本庭園の見所は分ったものの、構成要素のそれぞれが、「どのように良いのか」「絶妙のバランスなのか」、感覚として腹に落ちていません。まずは現地におもむき、自分の五感で感じなければ良さも悪さも分らないということなのでしょうか。昨今は、訪日外国人の方が、一般的な日本人よりも、日本の景勝地に詳しいケースを耳にします。外国人から、日本人の視点で、日本庭園の良さを説明して欲しいと訪ねられたとき、自分オリジナルの答えを持っていたいと思います。

災害公営住宅 入居申込受付

いわき市の災害公営住宅は、現在、集合住宅1,366戸、戸建住宅146戸が建設予定されています。これらが全地区一斉に平成25年10月22日から12月24日までの期間に入居申込受付されます。

入居資格要件に一般の市営住宅のような収入要件はありませんので、今まで市営住宅に縁がなかった方でも、次のいずれかの要件を満たせば申込み可能ですので、該当される方はご検討ください。
(1) 災害により全壊、全焼、流出した住宅に居住していた方
(2) 大規模半壊・半壊で、通常の修繕では居住できない等の理由により、解体することを余儀なくされた住宅に居住していた方 

現在、市内15カ所が予定されていますが、今後増える可能性が高いです。
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9/20現在、基礎杭の打ち込みが終了し、建築が始まろうとしている段階の、作町住宅です。45戸が整備予定で、同時に公園・集会所等も整備されます。
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スカイプ通話@磐城高校

磐城高校と、米国イエール大学を結ぶ「スカイプ会話」の第2弾が始まりました。昨年11月からスタートしたスカイプ会話ですが、生徒の学年持ち上がりによって、2年生を中心に希望生徒を新規募集したものです。その中には、8月に行われた英語劇Express Yourselfに参加してくれた生徒もいました。

本日は初日でもあり、米国からアリサさんが磐城高校まで来てくれ、インストラクションをしていただきました。アリサさんは、イエール大学側でスカイプ通話のボランティアをとりまとめ役をしていただいた方で、当時はイエール大学生でしたが、5月に卒業し、医学部に進学する予定の才媛です。

スカイプ会話開始直後は、会話の合間合間に気まずい沈黙が流れます(いつもの光景です)。ですが10分もすると、年が2-3つしか違わない学生同士、笑い声も聞かれるようになりました。通話相手のひとりは、スカイプをつないでいる状態のPCを持って、イエール大学内を移動しながら、「ここはナントカの教室よ」等説明してくれたので、ちょっとしたキャンパスツアーになっていました。もうひとりは、英語劇Express Yourselfのために、いわきに来てくれたケビンです。
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スカイプ通話の目的は、英会話そのものではなく、何か新しいモノ(英語、外人、未知の世界)に対する生徒の心のハードルを下げることです。新しいことにチャレンジすることによって得られるものが、非常に大きいことを実感してほしいと思います。副次的に、これまで英語という教科は大学受験のためだけでしたが、本来生活していくためのツールであり、自分が生きていくために有用なんだということを会得できると思います。

高校生が、のびのびとかつ優秀に育つことで、参加者の何名かはいわきから東京へ、海外へはばたく社会人になってほしい。そしていつか故郷のいわきに貢献してくれればいいなと思っています。

<第1回 磐城高校生とイエール大学生とのスカイプ英会話は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/20559115.html

<Express Yourselfについては、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/30285606.html

<アリサさんによるイエール大学訪問ツアーは、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/25372325.html
 

お伊勢参り 内宮

お伊勢参りは、外宮→内宮の順で回ります。
<外宮については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/31736918.html

内宮の正式名称は、皇大神宮。祭神は、万物を育む太陽にも例えられる日本人の総氏神たる、天照大御神です。大八洲という日本を作ったのはイザナギですが、イザナギが黄泉の国から帰ってきて禊ぎをした際に、イザナギの左目から生まれたのが、この天照大神です。その兄弟には月読(右目から生まれた)とスサノオ(鼻から生まれた)がいます。内宮は五十鈴川上流に造営されたのは、今から2000年前のこと。神宮の宮域は約5,500万㎡で、伊勢市の約1/4の広さです。

宇治橋に立つこの鳥居は、内宮の棟持柱を再利用して作られているそうです。遷宮にかかる費用は550億円を越えるといわれており、その全てが神宮への寄進・寄付でまかなわれているそうです。なお、伊勢市の一般会計予算は450億円程度であり、遷宮コストはそれを大きく上回っています。

それほどの膨大な費用をかけても式年遷宮が20年ごとに行われる理由は、いろいろあるようです。
1. 建物の「清浄さ」を保つ限度
神道の精神として、常に新たに清浄であること(「常若(とこわか)」)のため。
2. 建替えの技術の伝承
20年に一度の遷宮であれば、大工が少なくとも2度は遷宮に携わることができ、2度の遷宮を経験すれば技術の伝承を行うことができる。
 
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有償ボランティアの「お伊勢さん観光案内人」の方にご案内いただきました。これは伊勢商工会議所が主催する検定「お伊勢さん」に合格した者だけが名乗ることができ、単に「お伊勢さん」の知識を伝えるだけでなく、歴史的背景やそれが伊勢の方にどのように影響しているか等を、一緒に内宮・外宮をまわっていただきながら紹介していただきました。自らも伊勢市民かつ神領民で、白石持ち行事には3回参加したことがある、信心深い方でした。
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内宮の表玄関が宇治橋です。式年遷宮の一貫として、一足早く新しい橋に架け替えられていました。宇治橋から右側通行になります(外宮は、左側通行)。鳥居の前で一礼し、聖界に入ります。
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木除け杭。大雨の際に流木が宇治橋の基礎を傷つけないように少し上流に置かれています。どれほど効果があるかどうかは定かではありませんが、全く同じ形式を引き継いで建築されています。
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神苑(しんえん)です。江戸時代には、ここいら一帯に御師(おんし)の建物が数百棟も建ち、御師町を形成していたそうです。御師とは、神宮に所属し神宮へ参詣者を案内し、参拝・宿泊などの世話をする者のことで、全国各地に派遣され、現地の伊勢講の世話を行っていました。具体的には、参詣者が伊勢参りに訪れた際には自己の宿坊で無料で迎え入れて、年間数百万人が訪れた、「おかげ参り」のお手伝いをしたそうです。しかし、明治に入ると、新政府が強大な影響力を持つ御師を弱体化させるために、これらの宿坊はすべて取り壊してしまったそうです。今、見ることができる神苑は、緑豊かな庭園ですが、そんな生々しい歴史がたった150年前にあったことに驚かされます。

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ここにも「さざれ石」と呼ばれる岩がありました。悠久の時の代名詞ですが、この岩からは松が直接自生しており、長い年月を体現していました。

<さざれ石@京都嵐山は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/26548227.html
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他の神社に必ずあって、神宮にないものがいくつかあります。
1. 狛犬がいない(神宮は、狛犬=高麗犬が伝来する前からの神社形式のため)
2. 鰐口(鳴らす鈴)がない(理由:同上)
3. おみくじがない(参拝すること自体が、大吉だから)

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御手洗場(みたらし)です。内宮のお参りの前に五十鈴川で清流で手を清め、心を澄ませるのが本来の作法です。当時はこの御手洗場では手洗いだけではなく、口濯ぎまで行われていました。徳川綱吉の生母、桂昌院が寄進したといわれる石畳が敷き詰められています。
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今年の五十鈴川の水量は、異常に少ないそうですが、川の上流は(人が立ち入れない)神域ですから、清流には間違いありません。ハゼの仲間らしき小魚をたくさん見つけることができました。
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神楽殿では、個人祈祷をお願いし舞を納めることができます。初穂料は15,000円からとのことですが、特別大々神楽等をお願いする場合は、50万円からだそうです。神様にお願い事を聞いて頂くために、神様にお気持ちや初穂料でもって、舞を奉納するわけです。神様に楽しんで頂くという意味で「神楽」という言葉を使うそうです。ですので、よく見ると神楽の舞い手は、主に(奉納者でなく)神様の方を向いて舞うそうです。
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御贄調舎(みにえちょうしゃ)です。内宮のお祭りの際に、外宮の神、豊受大御神をお招きして、正宮の御前で鮑を調理する儀式が行われるそうです。これは豊受大御神が天照大御神のお食事を司る神として伊勢に招かれたことを象徴しています。
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いよいよ日本一の神様である天照大神のご神前へ。階段から先は撮影禁止エリアです。重厚な石段を一段ずつ上り、白い御幌(みとばり)の前に立って、お参りをしました。
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内宮を撮った写真が、「いせびとニュース第12号」表紙に掲載されていましたので、転載します。お白石行事の際に、神領民が内宮の最深部に入ったときの写真で、とても貴重なものです。
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内宮の正宮も、式年遷宮に向け、まったく同じ建物が隣接地に完成しています。10/2の遷都の儀式、すなわち三種の神器の一つである八咫鏡(やたのかがみ)を、移動します。なお、八咫鏡が最後に人の目に触れたのは、明治天皇が最後です。明治天皇が、汚損や盗難等を避けるため封印をしたため、その後誰も現物を見たことがないことになっています。今回の遷宮でも八咫鏡は封印された状態で移動するため、誰もその姿形を見ることはできません。

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御稲御倉(みしねのみくら)では、神宮独特の建築様式である神明造を、間近出見ることができます。お米の神様である稲魂(いなだま)が奉られ、1年分の稲が納められているそうです。
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神明造は、古代の高床式穀倉の発展形で、屋根は切妻・茅葺き、柱は檜の素木を地中に埋める掘立式です。建物全体は(出雲大社等と比べて)直線的で、棟の上には鰹木(かつおぎ)が並び、屋根の両端には千木(ちぎ)が伸びています。

ちなみに各建物の鰹木の本数は異なるのですが、内宮は全て偶数本、外宮は全て奇数本となっています。千木も内宮は全て内削(うちそぎ)といって、先端が地面と水平になっているのに対し、外宮は全て外削(そとそぎ)といって、先端が地面と垂直になっています。もっといえば、内宮の千木には、途中に風穴と呼ばれる穴が2つ半あるのに対して、外宮は2つの風穴となっていて、統一と相違感を出しています。
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気になっていたのは、地面に直接、構造柱が立つ掘立式では、地面の湿気を木が吸ってしまい、遷宮期間である20年の間に朽ちてしまうのではないかということです。よくみると地中部分の柱には銅が巻かれており、湿気対策が図られいて、納得しました。
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風日祈宮橋を渡ったところに、風日祈宮(かざひのみのみや)があります。外宮の風宮と同じ神様が奉られています。
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子安神社の祭神である木華開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)は、天孫降臨した邇邇芸命(ににぎのみこと)の后でたいそうの美女だったそうです。初代天皇である、神武天皇の祖母にあたる方です。神宮が関与しない民間信仰で、ここに木のお札を奉納すると子宝に恵まれるという噂が広まり、お札がたくさん奉納されていました。
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木華開耶姫命は、安産や子授けの、縁結びの神様として信仰されています。桜を象徴する女神のため、手水場も可愛らしい桜マークになっていました。
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1年間に600万人、20年間で1億人以上が渡るという宇治橋。その間、橋の表面が数センチ減るそうです。なお式年遷宮に内宮で使用される木材は、船曳きといって五十鈴川を使って船で運ばれ、この河原から引き上げられます。
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皇室が所有する神宮の敷地は5,500haにも及び、伊勢市の1/4、世田谷区ほどの大きさで、人の手がまったく入らない自然林も多く残されています。運営・管理している神社本庁の神宮祭主は、池田厚子(旧名・厚子内親王 昭和天皇の四女)さんです。本来、私幣禁断(しへいきんだん)といって、神宮は本来個人的な祈願の場所ではありません。神宮はもともと、天皇親祭として、天皇陛下が国のことを祈るための場所で、江戸時代は天皇陛下の代理として神職が常駐していました。祭神の天照大御神は神武天皇の直系祖父の祖父(5代前)であって、その意味ではご自分の祖先を祭っているわけでもあります。今なお、外宮・内宮の正宮の御垣内には許可を受けた人以外は入れないし、そのさらに奥の御門内には天皇陛下と神職しか入れません。現在は、神宮がひとつの宗教法人となってしまい形式的には皇室と切り離されてしまったものの、だからこそいろいろな秘密があるのでしょう。
 

国・東電との特別委員会

本日、いわき市議会の東日本大震災復興特別委員会が開催され、国と東京電力を呼んで、汚染水流出が続くこれまでの経過の説明をしてもらいました。野田参事官から1時間程度、経過の報告説明を受け、その後2時間あまりを質疑応答しました。

出席したのは、下記の方々です。
○経済産業省資源エネルギー庁
・大臣官房参事官(原子力担当)・原子力発電所事故収束対応調整官 野田耕一氏

○東京電力株式会社
・代表執行役副社長 福島復興本社代表 兼 福島本部長 兼 原子力・立地本部副本部長 石崎芳行氏
・福島復興本社 福島本部 復興推進室 副室長 武井澄男氏
・福島復興本社 福島本部 福島広報室 リスクコミュニケーター 兼 福島復興本社 福島本部 復興推進室 副室長 林幹夫氏
・原子力・立地本部 土木・建築設備グループ 課長 中原和彦氏

配付資料には、9/10に開催された議会といわき市漁業協同組合理事会との意見交換会における、漁業者からの意見を集約した資料も含まれ、国・東京電力と情報共有されました。また会議は公開され、傍聴者とともに報道関係者として地元新聞社とともに、NHK、民放各社のカメラが入っていました。

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冒頭、議会の特別委員会委員長から、以下の発言がありました。
・1Fの事故後、東電から過去4度にわたって安全性確認の説明を受けてきたが、それに続く度重なる事故は、あまりにも事後的対応である
・議会として、事故対応を政府直轄とするよう意見書を提出したが、その後の茂木経産省の現地視察は遅すぎる
・9/3の政府方針発表では、遮水壁、地下水バイパス、ALPS稼働、溶接型タンク等の方針が打ち出されたが、その場しのぎの対応でなく、先を見据えた対応をしてもらわなければ困る

それに対して、経産省資源エネ庁の野田参事官から、汚染水に問題に関する基本方針として、東京電力任せにするのではなく、国が前面に出て、必要な対策を実行する、との説明があり、野田参事官自ら福島に常駐する旨、発言されました。
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以下、委員(私も含む)質疑応答の概要です。
(佐藤かずよし委員)
Q 2011年6月にスラリー壁による4面壁の設置が提案されたが、採用されなかった理由は何か。
A 当時、陸側への壁設置は技術的課題があり、採用されなかった。具体的には、陸側への壁設置により、地下水位が下がる可能性があったことと、既存設備の存在により作業スペースが少ないと判断したことである。今となっては、申し訳ない。

Q 1,100トンの流出水について、ストロンチウムのみ計測し、セシウムを計測せずに放出した理由は何か。
A 放出水は、全β検査済みした上で放出している。サリー・キュリオンの機器を通した上での放出であり、セシウムは低いと思われる。

Q 2020年にデブリを取り出す計画になっているが、現実的に可能なのか。
A 計画達成には、さらなる技術開発が必要だ。具体的には、遠隔操作機器の開発が前提である。

Q チェルノブイリの事後対応を見習い、事故処理庁等を設置すべきでないか。
A 責任主体がいなかった旧ソ連の状態とは異なり、1Fについては東京電力が事故の責任主体であり、情況が異なる。

(吉田みきと委員、私)
Q 汚染水問題に関する基本方針(平成25年9月3日原子力災害対策本部決定)によれば、「東京電力任せにするのではなく、国が前面に出て、必要な対策を実行する」となっている。しかし、具体的な対策の実施は東京電力任せになっているのは、どういうことか。
A 対策の計画全体について国は責任を持っている。国は計画を立て管掌する役割だ。事業主体は東京電力であり、それぞれの役割を持ってやっている。また工事自体はゼネコンがその役割でやっている。

Q 上記において「国が、~実行する」という主語・述語の関係では、東電が作業主体となるようには読めない。また東電は原発運営者・オペレータであって、廃炉作業は業務の中心ではない。この非常時に、国がその東電に廃炉作業を任せることは、どのように考えているか。
A 電気事業法において、廃炉作業は一義的には事業主体である東電が行うことになっている。

Q 「国直轄で行う」「国の責任で行う」というキーワードが何度も出てくるが、対策実施において現場技術力を有している国内原発メーカーの関与が限定的(廃炉対策推進課意義の汚染水処理対策委員会へ、研究開発運営組織のメンバーとして、研究開発計画の提示・報告・連携活用のみ)なのはなぜか。
A 国内原発メーカーは、電気事業法において廃炉における限定的な関与しか想定されていない。

Q 電気事業法等への法令遵守は理解するが、今は非常事態なのであって事故前の法令遵守は意味がなく、国内外の叡智を結集して問題に取り組んで欲しい。
A 原発メーカからは数十名が政府に出向してもらっている。またメーカー内部で3000人が廃炉研究している。

Q 海外の叡智を結集するといっているが、具体的な進捗状況を教えて欲しい。
A 現在、取組中。

Q 廃炉・汚染水対策現地事務所の設置を予定していると聞いたが、その具体的設置場所と、人数はどの程度か。
A 設置場所は、Jヴィレッジもしくは福島第2原発内を予定している。人数は7-8名程度。

(伊藤委員)
Q 東電に廃炉を任せるのではなく、国の予算措置をとった上で、廃炉作業を指示すべきでないのか。
A 東電は、廃炉費用を特別損失を計上し引当金を計上しているので、資金的に問題はないはず。技術的難易度が高いものは、国費投入する。ロボット開発関連に関しては、国の予算措置が付いている。

(狩野委員)
Q 原発作業員は、下請けが跋扈しており、9次10次下請けが常態化している。安全管理の観点等から直接支払い制度に変更できないか。
A 作業員数は多く、東電は元請けに作業委託している。東電は、詳細な全体や下請け管理は把握していない。安全管理の徹底を元請けに指示している。

Q 遮水壁について凍土方式が採用されたが、他の方式はどのように検討したか。
A 工事期間と工事スペースの観点から、凍土方式を採用した。とくに建屋カバーや配管等が錯綜しており、広い工事スペースを確保することが困難。3m×3m程度の機械のボーリングで設置できる凍土方式は、15m程度の作業スペースが必要な矢板方式に比べて優位である。今年度中に実証実験を行い、土壌調査・地下水調査も同時に行いたい。

Q 情報公開について
A 一日に2回、記者会見を開いている。同時にホームページで詳細な情報を提供している。

(大友委員)
Q ALPS装置はトリチウムを除去できないと聞いているが本当か。
A そのとおりだが、濃縮できる例が海外にあり、現在研究中。

(伊藤委員)
Q 下請け構造により、原発作業員に適切な報酬が支払われていない。これに対し過去数回東電に申し入れを行ってきたが改善が見られない。
A 元請けから先の重層構造につき、すべてを東電が把握しているわけではない。また全容の詳細を把握することはできない。元請けとの契約に基づき、元請けに要請している。

最後に、石崎社長から、陳謝の言葉の後に、いわきの復興のために東電も仲間に入れて頂きたい旨の発言がありました。その真意は推測できかねますが、将来に向けた建設的な意見と受け止めました。

「国は廃炉に全責任を持つ」といいながら、実は全体計画の管掌のみで、東電にその廃炉作業をやらせるつもりに変わりがないことを確認して、正直がっかりしました。東電は事故後も1Fが安全に管理されていることをことさら強調し、次なる事故が発生し、陳謝の記者会見ではまた安全管理を述べ、さらに次の事故が発生する・・・東電の発表や陳謝会見等は、もはや多くの市民から信頼を失っています。東電は、事故対策をしっかりやればやるほど費用がかかり、自らの会社の損失が拡大するという、利益相反を抱えています。その東電に、廃炉作業のメインプレーヤーの役割を担わせるというのですから、容易には賛同できません。また「国内外の叡智を結集する」といいながら、国内原発メーカーの関与は非常に限定的で、廃炉自体には直接タッチさせない。さらに海外の叡智を集めることに関しては手つかずで、これからだというわけです。国・東電の発想と、市民感情とが大きく乖離していることを感じた3時間でした。

<廃炉作業スキーム私案 市場の失敗は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/30190607.html

現場の奮闘とは裏腹に、戦略が間違っているため結果が出ない情況は「失敗の本質」を想起させます。
http://www.mikito.biz/archives/20737667.html

なお、この委員会と別会場で、いわき地区船曳網漁業連絡協議会の会議が開催され、いわき市のシラス漁の試験操業の再度延期が決定されたそうです。理由は、前回延期したときに比べて、情況がよくなったという材料が全くないことです。いわき市のシラスの漁期が10月末前後であることを考えると、今年の漁をあきらめたことになります。いわきの沿岸漁業関係者の落胆・諦め感は想像に固くありません。

委員会終了後には、TV各社から東京電力 石崎副社長へのインタビューがなされていました。詳細は明日の朝刊に掲載されることと思います。
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※上記内容は、当方のメモをもとに起こしたものであり、内容が正確でないおそれがあります。会議自体は公開許可されておりますので、正確な情報については市役所の広報、報道機関等の発表情報をご参照ください。

池袋サンシャインシティ水族館

池袋サンシャインシティ水族館に行ってきました。普段の週末は大混雑で、足が遠のいていた場所でしたが、台風一過、客足がないことを見越した上での訪問です。読みが的中、すいすいと快適に館内を見て回ることができました。

ここの特徴は、なんといってもその立地でしょう。池袋サンシャインシティの屋上に、水族館があるなんて、いまだ感覚的に信じられません。大量の水(しかも海水を造る装置も必要)を使う水族館をビルの屋上に置こうなどという発想は、一般人には考えられない発想です。

ともあれ都心の屋上にあることから、信じられない光景を目にすることになります。下の写真は、高層マンションをバックにたたずむアシカです。まさかアシカも、都心のビルの屋上に連れてこられるなんて、生まれたときには想像もつかなかったに違いない。
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アシカのショーなど、水族館ですからあって当然の出し物なんですが、ビルの屋上というシチュエーションが、なんとも楽しい雰囲気を増幅されてくれます。わざわざこんな場所でやってくれるなんて、ありがたいというか申し訳ないというか、そんな気持ちが入り交じります。
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大水槽では、ダイバーのお姉さんが、水中マイクで会話をしてくれるショーがありました。サメやエイ等が泳ぐのを見るのは珍しくありませんが、ここはウツボの泳ぐ姿を見せてくれるのがウリです。通常、ウツボは岩陰にひっそり隠れて動かないのですが、それをダイバーのお姉さんが抱きかかえて出してくれ、ウツボが身をくねらせて優雅に泳ぐ姿を見せてくれるんです。なかなか見れない泳ぎだけに、お魚ファンにとっては嬉しいです。

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ジェリーフィッシュのコーナーもあって、決して広くない館内であるのですが、見せ場の数は多いです。また照明の使い方が上手で、幻想的なコーナーになっていました。
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展示スペースが広く、展示物の点数が多くても、間延びしている水族館、博物館等はたくさんあります。こちらはビル内で、展示的には不利な条件であるものの、展示対象物の見せ方の違いを出すことによって(照明の強弱や、小物、説明等)、観客に新鮮な印象と、間延びするのを防いでいます。説明分がシンプルなのがイイ。水族館としては、つい(専門的に知識があるだけに)豊富な情報を記載してしまう傾向がありますが、ほとんどの観客はそんなの、読んでいません。

水槽のガラス面の低さでもわかるとおり、こちらは低年齢の子どもが保護者に連れてこられるのを想定しています。また清潔で、オシャレなカフェを併設しカップル需要を取り込んでいます。両者に共通するのは、難しい知識を仕入れるために訪れているのではなく、お魚を見てシンプルに楽しみたいということなので、それを満たすために特化しているわけです。逆に、思い切って、修学旅行生や研究者はターゲットにしていません。
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ペリカンの展示もあります。フィーディングを水面下から観察し、ペリカンのくちばしとその下の喉の役割をはじめて知りました。小魚をすくうようにくちばしが広がり、大量の水(体重と同じくらいの量を吸い込める)と一緒に魚を吸い込んでしまうのです。そしてその水はゴムのように喉が延びた部分にいったんためられ、くちばしでくわえたところで、海水をはき出すという訳です。

素朴な疑問ですが、ケージなしで鳥を飼っていて逃げてしまわないの?逃げないように、3ヶ月に1度、羽を切ってしまうそうです。かわいそうといえなそれまでですが、逆に言えば3ヶ月に一度、お手入れしないともとの長さに羽が延びて、飛び立ってしまうとのこと。館で飼う以上、仕方のないことだと思います。
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ビルの屋上でフンボルトペンギンの放し飼いです。日よけはあるものの、基本的に、冷房等の対応はしていないそうで、いくら暑さに強いフンボルトペンギンたちも大変だろうな・・・と思います。

特筆すべきは、いずれの水槽でも共通しているのですが、水槽内の水が透明なことです。これは当たり前のコトかもしれませんが、かなり大変なことです。なぜならアシカやペンギンやペリカンは大量の魚を消費し、大量のフンをします。それを随時、素早く水を回流させながらろ過し、もとに戻すという神業をやっているからです。他では見られない透明度を実現しているので、おそらくこの実現には、サンシャイン水族館独自の高度な技術が使われていると推測します。また同時に、魚臭くないのも驚きました。通常、エサに使われる魚の臭いが、ショーや餌付けにはつきものですが、それがほとんどありませんでした。衛生管理の秘密がありそうです。

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実は、東京は水族館のメッカです。ひとつの都市にこれほど多くの水族館がある都市は、世界広しといえども、ここ東京だけでしょう。規模の大きい水族館をひろっても、5つはあります(もっと規模の小さいのを含めれば、10以上?)
・葛西臨海水族園 (江戸川区)
・しながわ水族館(品川区)
・エプソン品川アクアスタジアム(品川区)
・東京タワー水族館(港区)

このような激戦の地で、高評価を得るのは至難の業かもしれません。ただ上記で見たように、顧客層を絞った戦略、立地を活かしたコンパクト設計、メリハリのある展示、クリンリネスの徹底は、非常に好感度が高いです。アクアマリンふくしまのような、テーマ性やメッセージ性はありませんが、個人的には、また訪れたいと感じました。 
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御輿担ぎ

三島八幡神社の例大祭があり、青年会の方々と一緒に御神輿担ぎをしました。御神輿担ぎははじめてで、肩への乗せ方や腰の入れ方等を教えてもらいながらの参加です。あいにく、朝から台風の影響で土砂降りで、神社でお祓いをしてもらっている段階で、もうずぶ濡れです。子ども御輿は、子どもの体調を考えて中止になりましたが、本体の御輿は決行を決定したため、担ぎ手は異常なハイテンション(やけくそ?)でした。

地元の青年の姿が、とてもカッコイイ。(勝手な想像ですが)職場では見せたことがないような生き生きとした姿に、惚れ惚れします。祭りが男女の出会いのきっかけであったとよく耳にしますが、それを実感します。昨今は、学歴がどうとか、年収が一定に満たないと結婚相手としてふさわしくないとか、情報が氾濫していますが、そういう物質的な充足の世界とは一線を画した、シンプルに胸が高まるときめきや感情や精神的な充足感が、ここにあります。

地元の青年会の方々は、それぞれ自分のプライベートな時間を削って、地域のつながりのために、お祭りやじゃんがら等の活動を継続しています。自分はこれまで、そういった地域活動をしてこなかったため、今は部外者&スポット参加の立場です。青年会の方から、もっと地元に入って一緒に活動しましょう!とおっしゃっていただきました。仕事に全力投球することはもちろんですが、手が届く人とのふれあいのために限られた時間を使うことの意味を考え直しました。

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三島八幡神社の例大祭宵山は、ライトアップされた境内に屋台が並び、近隣の方々のいわき踊り、盆踊り、フラダンス等が披露されます。子ども達には、ビンゴ大会等も用意され、普段閑静な境内には大賑わいでした。地域独自の獅子舞も奉納されました。

<南白土の獅子舞の動画は、コチラ>
http://www.youtube.com/watch?v=UUUZRK6d8PQ
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神社の中では、御神輿の準備が大人達の手によって行われます。毎年手順は決まっていつつも、その準備に数時間かかってしまうようです。それもコミュニーケーションの手段のひとつで、御神酒が入りつつ、あーでもないこーでもないとお互いいいながら(口喧嘩しているようで、そうでない)、飾り付けをしていきます。
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カジキグルメサミット

カジキグルメサミット2013が、小名浜マリンパークで開催されていました。1匹のカジキ全身がごろんと、そのまま展示されており、直接手に触れることができるため、その大きさを実感しました。

常磐沖は、暖流と寒流が交わる潮目の海として多くのプランクトンが発生します。このプランクトンを食べる小魚を求め多くのカジキが集まることから、世界的にも有名なカジキの漁揚として、平成10年からビルフィッシュトーナメントが行われてきました。さらに、これまで「カジキグルメサミット」や「ビルフィッシュトーナメント」「カジキ料理コンテスト」等が開催されてきました。

今回も10店以上の飲食店から出品され、お店オリジナルの創作「カジキ料理」が準備され、店舗・屋台等で試験販売されていました。これらはカジキグルメマップという冊子で紹介されています。これが、いわきの新しい食文化となり、全国的な地名度が向上し、さらには観光復興、地域経済発展となればとの思いを込めてのイベントです。

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いわき市には久之浜、四倉、沼之内、豊間、江名、中之作、小名浜、勿来の8つの「港」があります。そのうち国の重要港湾に指定されている小名浜港は、物流港湾として重要な役割を担うとともに、豊富な水揚げを誇っています。中之作港は、特にカツオの水揚量が全国有数の港として知られています。漁業には、現在でも約600名の方々が従事しています(産業別・年齢別就業者数 平成22年)。なおいわき市漁業の市内総生産は6,658百万円で、いわき市全体の0.6%です(産業別市内総生産 平成21年度)。
 
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魚種別にみると、サンマとカツオだけで全体の約6割を占めます。さらサバ・イワシの光物を加えると3/4を超え、沿岸魚種よりも、回遊魚種が主であることがわかります(上記と同じく、平成22年1-12月のデータに基づいて作成)。

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このように見てくると、カジキはカツオという魚種の一部であり、必ずしも(サンマや普通のカツオ等に比べて)いわき名産でないことも分ってきます。ではなぜ、「カジキ」なのか?なぜ「サンマ」や「カツオ」でないのか?という疑問が湧いてきます。過去の経緯は分らないのですが、「サンマ」や「カツオ」は普及しすぎていて選定対象としてふさわしくないという判断が働いたのでしょうか。仮にカジキ料理が美味しい!ということで大ブレイクしても、いわき経済にもたらす影響の裾野は、限定的なのではないかと心配しています。

商店街再生の罠という本には、B級グルメも含めた地域おこしの問題点を踏まえて、以下の3つの戦略が提案されています。一つ目は、商店街の再生は顧客を増やすことが基本で、人のつながり、コミュニティを生かした顧客づくりを進める協働経営、2つ目は、地域経済の循環率を高める第一次産業との共生、3つ目が趣味を媒介にした地域コミュニティを育成することを挙げています。これらが、カジキ料理にあてはまるのか。イベント開催のための予算も、見方によっては、多額の補助金を投入し続けられると、事業者は自立する意欲と能力を知らず知らずのうちに失い、補助金への依存度がかえって高まるとのおそれもあります。一般顧客の出足としては大盛況のイベントでしたが、何を短期的・中期的な数値目標にされているのか、私には理解が及びませんでした。ひょっとするとイベントの盛り上がり自体が、目標なのかもしれません。

<商店街再生の罠は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/31995056.html
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天気にも恵まれ、一般市民向けの集客イベントとしては、大成功です。海風に吹かれながらボードウォークを散歩でき、美味しいモノを食べることは、日常生活の癒やしですね。イベント企画者・運営者に感謝したいと思います。

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ここまでできる共立病院 心臓血管外科

ここまでできる共立病院 心臓血管外科セミナーが行われました。講師は、いわき市総合共立病院の心臓血管外科部長の入江嘉仁先生です。市民フォーラムが主催ですが、医師会・薬剤師会・共立病院をはじめとする病院関係者の多数の医療関係者のご協力で運営されています。

ちょっと前までいわきでは心臓血管外科不足で、地元で手術を受けることが困難で、東京や中通りの病院に転送せざるを得ない状態が続いていました。現在では、磐城共立病院に複数の心臓血管外科医を迎え、大人の手術ならばほとんど、地元で受けられるようになっているそうです。心臓や大血管の手術といえば、長時間にわたる大手術を想像しますが、最近ではステンドグラフト内挿術や小切開手術など、体に与える影響の小さな手術法が開発され、以前では不可能であった高齢の方などへの手術の適応が広がっています。進歩著しい心臓血管外科の最新情報を、現場の第一線で活躍中の入江嘉仁先生が、直接講義頂きました。
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会場となったいわき市総合保健福祉センターの大ホールは満員。300名くらいが参加されたでしょうか、立ち見もでていました。いわき市医師会の長谷川徳男先生、共立病院救命救急センター長の小山敦先生のご挨拶で始まりです。

講師の入江嘉仁先生は、和歌山県出身、獨協大医学部を1985年に卒業。獨協医科大学越谷病院の心臓血管外科で臨床され、1999年に米国カリフォルニア大学に留学、帰国後も獨協医科大学越谷病院で教授として勤務されていましたが、2013年4月からいわき市立総合磐城共立病院の心臓血管外科部長として勤務されている方です。いわきへは現在、単身赴任中とのこと。

現在、同心臓血管外科チームは、入江先生を含め6名の医師で構成されているそうで、約300例(平成24年度実績)の手術をこなされているそうです。その他の医師は、近藤 俊一氏(国立旭川医科大学卒)、坪井栄俊氏(県立医大学卒)、中村健氏(山形大学卒)、六角丘氏(獨協大卒)、高橋慧氏です。たまたまなのかもしれませんが、東北大出身の医師の紹介がなかったのが、意外でした。
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お話し頂いたのは、典型的な心臓病の例として、1. 弁膜症、2. 大動脈瘤、3. 狭心症を取り上げ、発生要因と、患部の見方、現在行われている最新の術式を紹介いただきました。現在は、低侵襲(ていしんしゅう)といって、患者の体になるべく負担をかけない手術を目指しているとのこと。具体的には、傷口を大きくしない「小切開手術」や「人工心肺を使わず、心臓をとめない手術」の適用等です(症状によってできない場合もある)。

驚いたのは、手術のケース分けです。定期手術(予め手術日程を組んで、十分に準備して行う手術)が65%で、緊急手術(緊急で搬送され、その場でもしくは速やかに手術が必要な手術)が22%、臨時手術(当初予定しなかったが、必要に応じて手術したもの)が11%ということです。つまり35%が、予め予定していない手術であり、血管外科医のドクターは、臨機応変に手術しているということです。年間300例として、約100例がそれらにあたっており、医師の置かれた緊張感は想像に固くありません。
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最後に、磐城総合共立病院の病院事業管理者である平則夫氏が挨拶されました。共立病院にハイブリッド手術室を導入した立役者の方です。ハイブリッド手術室とは、通常の手術室に、カテーテル室の機能を併せ持ったもので、放射線装置を持ち、心臓の状態を随時確認しながら手術を進めることができるものです。今年、共立病院に1室導入されており、さらにもう1室増やしたいとのことでした。 

最後に、消防本部から心肺停止時の救急措置について説明があり、そのまま参加者が救命講習の実地講習、心臓蘇生・AEDの講習を受けていました。

<普通救命講習については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/22327956.html

 

地方公共団体の外部監査制度 勉強会

地方公共団体の外部監査制度 勉強会に参加しました。大枠としては、以下の項目です。
1. 現在の地方公共団体の監査制度
2. 地方公共団体の監査制度の見直しについての議論
3. 外部監査を実施するにあたっての地方公共団体に関する基礎知識

現在の地方公共団体の監査制度は、制度疲労があり、問題は明らかです。改善しなくてはならないのは当然ですが、どの形にもっていくかで議論が続いています。個人的には、パーフェクトな形でなくともまずは試行し、さらなる改善の余地を残しておくことがあってもよいのではないかと思っています。

監査にあたって必要なのは、根拠となる会計基準と監査基準です。企業においては、それが会社法、企業会計基準、監査基準であり、整備・改正がなされています。一方、地方公共団体においては、それが公会計基準、公監査基準等の形で、一般に公正妥当と認められる現状にありません。一刻も早く、学者同士の神学論争に終止符を打ち、公会計基準、公監査基準の制定を進め、可及的速やかに、現場でのその実施を図って欲しいものです。

<公会計の問題については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/29616608.html

会場が東京駅近くだったので、しばし散策しました。八重洲口は工事が続いていますが、南北の高層棟は完成し、デパートの大丸も営業を始めています。後は、それらをつなぐ歩行者通路とロータリー広場の完成が待たれます。2020年のオリンピック東京開催が決まりましたが、玄関口としての風格は十分です。

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すでに完成している丸の内口は、行幸通りを境にしてシンメトリーが美しい。海外アパレルショップが立ち並ぶ丸の内仲通りは、三菱地所によるまちづくりが奏功し、街の長期的な魅力と、企業の経済合理性がうまくマッチしています。
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商店街再生の罠

国や自治体が補助金を出す「商店街再生事業」が全国で行われています。しかし、その多くは「消費者のためではなく、商店街のための事業になっている」と本書は指摘しています。「販売者が売りたいもの」から「顧客目線、顧客がしたいコト」への転換なしに、地域再生の名のもとに取り組む商店主と自治体への痛烈な批判が展開されます。はじめにの章を引用します。

商店街が衰退した理由として、よくいわれる「大型店等に客を奪われた」論は幻想です。真実は、商店街が地域密着の努力を怠った結果「地元客は自らのニーズに応えてくれるくれる大型店を選んだ」のです。
私たちは、なぜ誰に「大型店等に客を奪われた」幻想を刷り込まれたのでしょうか?
商店街が衰退する本質は、公務員など商店街支援者と商店主の多くに、意欲と能力が欠けていることにあります。自分たちの能力と意欲の低さを隠蔽するため、大型店を悪い強者に仕立て上げて、商店街は大型店に顧客を奪われたかわいそうな弱者だから、救済すべきという幻想を生み出したのです。
かわいそうな弱者と悪い強者に二分する幻想が既成事実になると、弱者救済は正義と化します。その結果、弱者に能力と意欲に欠ける、とは誰も指摘できなくなり、弱者救済策は無駄なものまで正当化される罠に陥り、この罠は3つの弊害をもたらします。

1. 失敗(商店街が衰退)した理由が正しく認識されていないので、不適切な解決(再生)策が導かれて、いつまでたっても効果が出ない
2. 公務員は、間違った商店街の救済策に、多額の補助金(税金)を投入し続ける
3. 商店街は、自立する意欲と能力を失い、補助金への依存度が高まる
 
小売りサービス業に最も必要な能力は、消費者ニーズに気づく力、消費者ニーズに対応する力です。公務員と商店主は、この能力が驚くほど欠如しています。正確にいえば、この能力がないというよりは、消費者のことには関心がなくて、関心ごとは役所の予算獲得・消化、自店の利益獲得にしかないのです。商店街を含む小売りサービス事業者の存在意義は、消費者にとっての生活インフラに集約されます。公務員と商店主から悪者に仕立て上げられた大型店やコンビニ等は、実は消費者ニーズにしっかりと応えています。
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著者の前の著書「地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?」と主張は同様ですが、批判はさらに手厳しいです。商店街再生策は導入時と成功事例だけが喧伝される一方で、その裏に山ほどある失敗が見過ごされています。心に響いたのは、商店主と公務員という、商店街の利用者側に立たない人間が、商店街再生を主導していることです。公務員は街に出ないのに、机上のデータで消費者不在の「再生策」を立案しているわけです。レトロな商店街、キャラクター商店街、B級グルメ商店街という例で問題点や、税金で街を整備したら風俗が急増した太田市など、再生策の失敗事例が豊富に紹介・分析されています。

それらを踏まえて、「再生策は利用者が創る」というコンセプトの下、3つの戦略が提案されています。一つ目は、商店街の再生は顧客を増やすことが基本で、人のつながり、コミュニティを生かした顧客づくりを進める協働経営、2つ目は、地域経済の循環率を高める第一次産業との共生、3つ目が趣味を媒介にした地域コミュニティを育成することを挙げています。これらは、かなり現実的かつ具体的なアプローチだと思います。ただ、その手法として「意欲のある店がほかの店を巻き込む形で」とさらっと書かれていますが、商店街の置かれた状況によっては、もはや街単位で無理に再生させる価値があるのかどうか、議論が分かれそうです。
 

いわきの砕石業

いわきの砕石業の現場を見せていただく機会がありました。砕石(さいせき)とは、天然の岩石を破砕機等で人工的に小さく砕き、道路用骨材やコンクリート用骨材等の土木・建築用資材として適する粒度に加工することです。砕石は、道路、橋梁、鉄道、港、上下水道、学校、ビルなどの建設に必要な材料で、あらゆる場所で使用されています。いわき市内には、現在13社の採石業者があり、それぞれの採石場で、建設現場で使用する採石の供給を行っています。 
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砕石は岩盤でできた山で採取されます。 大きな岩盤を徐々に、発破で小さく砕いていき、ふるいにかけられ選別され、使用目的別に製品化されます。生産工程は一般的に、次の順序で行われます。

1. 剥土(はくど)
剥土とは、岩盤の上に覆い被さっている土や軟らかい石を取り除く作業です。
2. 起砕(きさい)
剥土された表に現れた岩盤は、火薬や大きな建設機械を使って、小さくします。
3. 積込・運搬
起砕された岩石を、プラントと呼ばれる砕石製造工場へ運ぶ作業です。この作業には、大きな油圧ショベルやホイールローダ、30トン以上もあるダンプトラックなどの建設機械が使用されます。
4. 破砕・選別(はさい・せんべつ)
運搬された岩石はプラントの投入口に入れられ、徐々にと小さく割られていきます(破砕)。破砕された岩石は、必要に応じた大きさにふるい分けされます(選別)。
5. 出荷
工場で製造された砕石は、工事現場やアスファルト工場、コンクリート工場へとダンプトラックで運ばれて行きます。 

下の写真は、採石場に隣接して設置される砕石製造工場です。カニの足が数本飛び出しており、それぞれに分類され、積み上がっていきます。

 
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砕石業はこれまで、戦後の復興、そして高度経済成長を支えた社会資本整備の進展とともに需要も急激に増大し、今日の地位を確立しました。バブル期をピークに近年は減少傾向で、数量ベースで半分にも満たない水準に落ち込んでいます。ただ震災後の建設復興需要により、(データはまだ公表されていませんが)市内の採石需要は急増しています。

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<出典:一般社団法人 日本砕石協会HPより>

ただ作業員は、車両の免許が必要であったり、除染の現場に行ってしまっていたりするので、増産にあたっては作業員の確保が課題となっています。除染作業員の作業単価は日給15,500円といわれており、それが現場作業員のひとつの日雇い労賃の目安となってしまっているので、一般企業にとって労賃単価の上昇が、作業員を増やせない要因のひとつになってしまっています。これも公の民業圧迫のひとつの種類といえるでしょう。

週に数回、発破といわれる爆発で固い岩盤を壊し、大きさを整えた上で、隣接のる砕石製造工場へ運んで、分別するわけです。危険物ですので、採石業者は県の許可を得た上で、かつ年に数回の検査を受けながら業を営んでいます。
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砕石は、目的別に大きく分けて以下の分類があります。
・割栗石:港湾や護岸工事などに用いられる
・道路用砕石:道路工事に用いられる
・コンクリート用砕石:コンクリートに混ぜられる
・道床バラスト:線路の下に敷かれる

石の大きさごとに、砂(採石)山ができていきます。 
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採石のやり方によっては、墓石用の石も作ることができます。ただ、昨今は海外で加工済みの墓石が安価で国内に流通するようになり、価格競争力の点で勝てないそうです。ドメスティックな業務であっても、世界経済の中で活動していることを改めて感じます。
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いわき市漁業協同組合理事会

いわき市漁業協同組合理事会の方と、意見交換しました。これは、議会の東日本大震災復興特別委員会がアレンジしたもので、委員15名と、漁業者理事15名が中央台公民館に集まりました。議題は、福島第一原子力発電所事故後の本市の水産業の現状についてです。

1F事故に関しては、事故後に議会は東京電力から、事故がある度に4回も説明を受けています。また平成23年12月の定例会では、東電に対し汚染水の海洋流出の撤回決議、及び平成25年7月の定例会では、1Fの汚染水防止を徹底する決議を出しています。同時に国に対しても、国が直轄して事故後の対策を取るよう意見書を提出してます。

今回は、9/18に東京電力と国を議会に呼んで説明を求める予定になっていますので、事前に現場の漁業関係者の生の意見を聞こうとするものです。
<意見書提出は、コチラ>
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いろいろな意見が出ましたので、列挙します(メモを元に起こしていますので、ミス等は)
・延期になっていた試験操業が、9/26から150m以深の底曳漁を開始することとなった
・事故があるたびに、東電から漁協へ説明がなされる
・休漁が長引くことにより、福島の漁業者の存在イメージが薄れるのを危惧
・漁業者は、漁再開に前向きに取り組んでいる
・地下水バイパス工事について、国直轄なら前向きに検討していた
・漁業者の手だけではどうしようもない
・遮水壁が来年9月完成では、それまでどうしようもない
・管理がずさんな汚染水貯蔵タンクの耐用年数が5年、10年という説明は信じられない
・湾外の海水はNDが継続しているので、安全のPRしてほしい
・ずさんな管理体制を見ていると、政府も信用できなくなってしまう
・米は全袋検査できるが、魚は事実上できない
・現在でも42の魚種が、国から出荷制限がかかっており、一歩ずつ進めるべき
・これ以上、汚染水漏れの現状を悪化させないで欲しい
・海流は北から南へ流れる
・事故後、獲れる魚の種類だけでなく岸壁に張り付く貝やカニの量も変わった
・魚を市場に出して価格が低下した場合の差額は損害賠償請求対象
・現在の補償でも生活するには困らないが、それでは漁は廃れてしまうので早く再開したい
・漁協メンバーの平均年齢は62才、漁業組合員の後継者不足が課題
・市内に現在は7組合あるが、将来的な統合も検討すべきかもしれない

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先月、シラス漁体験させていただいた際に船方さんから直接お伺いした内容の一部のやりとりがなされましたが、漁業関係者の切実な思いは、汚染水をとにかく止めること、そして漁を再開することです。

<シラス漁体験については、コチラ>

そのためには、いくら会議や説明会を開催しても、現場は埒があきません。東電任せ、国任せにせず、(責任限定の措置をとった上で)技術力を持ったメーカーに関与してもらい、強力な政府主導でかつ外部の叡智を結集して収束に当たり、汚染水問題の解決が「船頭多くして船、山に登る」、ということがないようにしなければなりません。

<廃炉作業スキーム提案は、コチラ>

お伊勢参り 外宮

思うところあって願をかけに、お伊勢参りをしてきました。ちょうど20年に一度の式年遷宮の真っ最中であり、大変多くの参拝客が訪れていました。神宮では、原則として20年ごとに、内宮・外宮の二つの正宮の正殿、14の別宮の全ての社殿 合計125の建物を造り替えて神座を遷します。このとき、宝殿外幣殿、鳥居、御垣、御饌殿などの殿舎のほか、装束・神宝、宇治橋なども造り替えられます。なお、一般的には伊勢神宮と呼ばれていますが、正式には「神宮」(じんぐう)です。

江戸時代にはお伊勢参りが流行し、江戸から約20日間かけて伊勢に徒歩で移動したそうですが、現在では東京-名古屋間が、新幹線のぞみで1.5時間、名古屋-伊勢市間が、近鉄特急で1.5時間です。7:00am前に東京駅を出発すれば、10:30amには、神宮の前に立つことができ、交通アクセスは抜群です。
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伊勢市駅ではほとんどの乗客が下車し、徒歩5分くらいの場所にある「外宮」を目指します。駅前ロータリーには、白無垢の大鳥居が設置されています。これは式年遷宮で不要になった神宮内の大鳥居の檜を、再度カンナをかけて、新品同様の状態に戻して、駅前に復元したものです。
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神宮は一つのお宮のことを指すのではなく、五十鈴川のほとりに広がる内宮と、伊勢市の市街地にある外宮の2つの正宮を中心に別宮、摂社、末社、所管社から成り立つ125社の総称です。所有は宮内庁ですが、神社本庁に所属し全国約8万の神社の本宗としての位置づけです。

外宮の正式名称は、豊受大神宮(とようけだいじんぐう)です。おまいりは外宮から内宮の順で回るのが古来からの習わしです。まずは手水舎(てみずしゃ)で、お清めをしてから神宮内へ入ります。恥ずかしい話ですが、柄杓ですくったお水を5回に分けて浄めるとう手水の順番と意味を、はじめて知りました。
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第一の鳥居。これも当然ですが、式年遷宮にあたって作り替えられているため、新品です。神宮式年遷宮は、飛鳥時代の天武天皇が定め、持統天皇の時代に第1回が行われました。その後、幾度かの延期などはあったものの、およそ1300年にわたって行われています。現在、第62回式年遷宮の各行事が進行中で、今年2013年10月2日には、正遷宮(神体の渡御)が予定されています。
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このお榊が、神の領域(神域)と一般の世界を分ける標識になります。鳥居をくぐるたびに神域に近づきますので、一礼をしてから通ります。
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神職が身を清める建物です。外宮には豊受大御神が祭られており、この神様は内宮にいらっしゃる天照大神にお食事をお供えする役割の神様のため、毎日2回神職が豊受大御神に成り代わり、食事を用意します。そのために、神職は一年のうち約半分をこちらの建物で宿泊しながら、活動します。神職100名、舞姫30名が所属し、神宮全体では570名が勤務しているそうです。

神職になるには、神道学科のある皇學館大学(三重県伊勢市)と國學院大學(東京都渋谷区)で、所定の課程を修了することが王道とのこと。他にも神宮内の神職養成所に通う方法もあり、意外に門戸は開かれています。また舞姫になるには、特に資格要件はありません。通常、高校卒業後、就職面接と同様、神宮での面接を経て採用されるそうです。
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参道は、うっそうとした木々に囲まれ、頭上から朝日が差し込む様子は、一般的な言いまわしで恐縮ですが、心が洗われるような清々しい気持ちにさせてくれます。東京にも明治神宮があり、森の中は似た雰囲気がありますが、歴史の長さはまったく異なります。
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第2の鳥居をくぐると、もうすぐ正宮です。なお、参道の中央は正中(せいちゅう)といい、神様の通りみちとされていので避けて歩きます。外宮は左側通行、内宮は右側通行です。
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神楽殿は、舞姫(いわゆる、巫女さん)の舞が執り行われる場所です。一般の方も祈祷・舞・神楽の奉納をお願いすれば、やって頂くことができます。
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初穂料には一定の目安が示されており、神楽でいえば思いの大きさによって、舞の内容が変わるそうです。
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外宮の正宮(しょうぐう、と読みます)です。外宮のなかではもっとも重要なお宮です。板垣の鳥居の向こうが御垣内(みかきうち)と呼ばれる神域で、四重の垣根に囲われた一番奥の内院に豊受大御神が鎮座する正殿がたっています。一般参拝客はここで参拝しますが、現役閣僚等は正面の建物に一歩入って参拝できます。さらに皇族は次の建物の前で参拝できます。さらに皇太子は、次の建物に入ることができます。そして天皇のみが最後の建物内に入っての参拝が許されています。

豊受大御神は天照大神の食事を司る女神で、衣食住、農業や漁業の神様として信仰されています。お賽銭箱はなく、その代り白い布で覆われた場所が用意されています。 
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隣接する新御敷地(しんみしきち、といいます)には、現在の正宮とまったく同じ形での正宮が建設済みで、10月2日20:00に行われる遷都の儀式を待っています。
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一色町の方々による白石持行事が行われていました。これは四万十川から採集した「お白石」を正殿用地(新御敷地)に敷き詰める行事で、遷御後は、絶対に立ち入ることのできない、正殿そばまで入ることができる唯一の機会です。といっても誰でも参加できるわけではなく、基本的には、神領民という伊勢市周辺77町村民が対象です。伊勢の「白石持ち」行事として、国の選択無形民俗文化財に選択されているそうです。
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高宮(たかのみや)です。正宮が神の静かな心を祭っているのに対し、荒宮は神の力強い、荒ぶる心を祭っている処です(外宮には高宮、内宮には荒祭宮(あらまつりのみや)があり、同様の関係性です)。正宮にお参りする際は個人的な願い事をせず、お参りにきた事をお伝えいただき、個人的なお願い事をされたい方は荒宮へお参りすべきとのこと(これは外宮でも内宮でも同じ)。一生懸命、願掛けをしました。
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土宮(つちみや)です。神宮は2000年前に倭姫命(やまとひめのみこと)が、この地に場所を定めましたが、それ以前から土着していた大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ)とされる神々を祭っているといわれています。
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風宮(かぜのみや)の祭神は、風雨を司る神とされる級長津彦命(しなつひこのみこと)と級長戸辺命(しなとべのみこと)です。本来は農耕に適した風雨をもたらす神でした。元寇の神風はの神様が起こしてくれたもので、以降は日本の国難に際して日本を救う祈願の対象となりました。
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神馬の厩舎です。絵馬とは本来、願を掛ける際に馬を神に献上すべきところ、それは奉納する方も受ける方も大変だということで、木に馬の絵を描いて奉納する絵馬ができたいうことを、はじめて知りました。
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御白石行事の行列を見ることが出来ました。全体では20万人以上が参加する行事とのこと。装束に身を固めた77町村の神領民が、1000人単位で大行列で行進する様は、圧倒されました。
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陸引きといって、奉納する白石を樽に詰め、人力で運びます。内宮の場合、五十鈴川がそばにあるので船で運ぶことができますが、外宮は内陸にあるため、こういった大八車のようなもので運びます。その間、木遣り等の歌を歌いながら、また勇壮に走ったりするパフォーマンスもあります。
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直接曳いているのは数十人の大人達です。参加している方に伺うと、この奉納に参加できること自体、非常に晴れがましいもので、ありがたいとのこと。神社に指定された川(土佐の四万十川)の上流まで、指定された白石を取りにいき、ここまで運び、奉納させていただく、すべてが奉納者負担です。それでも20年に一度のこの行事に参加することは、神領民の誇りであるそうです。
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ここからタクシーに10分乗って、外宮→内宮へ移動します。

<内宮については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/31774680.html

いわき市長選挙結果 2013

2013/9/8に行われた、いわき市長選挙の結果が発表になりました。新人で元県議会議員の清水敏男氏が、現職を破って初当選しました。立候補していたのは、いずれも無所属で、再選を目指す現職の渡辺敬夫氏(67)、元県議で新人の清水敏男氏(50)、元衆院議員で新人の宇佐美登氏(46)、元NPO法人副理事長で新人の五十嵐義隆氏(35)です。

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今回の選挙の争点はいくつかありますが、最大の争点は、震災後の2年6ヶ月の市政の舵取りが良かったのかどうかが問われた点だと思います。その意味では現職の獲得票数が35%のみ、現職を支持しなかった票が65%もあったということは、これまでの市政に満足していない層が過半であったということを示唆しています。現職は「復興をとめるな」というスローガンで選挙戦を戦いましたが、敗れました。それだけでは足りない、それよりも市民にとって大事なことがあったということです。その意味で、市民は新市長に対して、これまでの市の姿勢を単に継承するだけではいけないという、意思表示をしたのです。
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(参考)読売新聞(9/7)によれば、各候補者の主張は以下のとおりでした。
 渡辺氏は、自民党系議員の支持をはじめ、日本維新の会や公明党いわき総支部、みんなの党いわき支部の推薦を受ける。市内全域を回って、新病院の計画策定や災害公営住宅の整備など4年間の実績をアピール。「復興を止めるな」と市政継続を訴える。
 清水氏は、県議時代からの個人後援会を軸に自民党系議員らの支援を受け、地元の常磐地区のほか市内各地で支持拡大を図る。医療体制の立て直しや雇用の確保、住宅不足の解消などを公約に掲げて、「1日も早く故郷の復興を成し遂げる」と力説している。
 宇佐美氏は、市政の刷新を求める市民グループなどが中心となって運動を展開する。市内各所に選挙カーを走らせ、商業施設前などで街頭演説を行う。救急医療の充実や病院改革などの政策を打ち出し、「しがらみのない市政に変えよう」と呼びかけている。
 五十嵐氏は、震災で災害救援活動に取り組んだボランティア団体のメンバーらの応援を受ける。通勤通学の時間帯、いわき駅前での街頭活動に力を入れて、無党派層への浸透を試みる。「被災者の声が十分に反映されるように復興案を見直す」などとアピールする。

大事なのは、市民が、選挙戦で表示された清水氏の公約(というよりも彼の政策理念)をこの4年間、忘却してはならないことです。一時期、マニュフェスト遵守がもてはやされましたが、単なる字面の政策の成否でなく、いわき市が目指すビジョンに向かって、この4年間できちんと歩んでいるか継続的にウォッチする必要があります。もっと大事なのは、当選させた以上、市民はそれに一緒に協働することです。ひょっとすると清水敏男氏の公約は不適当な部分があるかもしれません。その時は市民が一緒になって修正し、当初実現したかったことに向かって歩を進めればよいのです。当選した後は、彼に任せた、なんとかしてくれるだろう、ではダメです。もっというならば、当選した日から、建設的な対案を持たずに、彼に文句をいうだけいって抵抗勢力となるのでなく、一緒に知恵を出し合っていわきの未来のために、行動していくことが、いまの非常時のいわき市に求められていると思います。私も市政に携わる者のひとりとして、一緒に知恵を出し合い、新市長とともに行動していきたいと考えています。

<清水としおの市民とのお約束>
http://shimizu-toshio.com/vision/index.html

当選した清水氏は、いわき市内の全有権者27万6千人のうち、5万5千人の得票を集め当選しましたが、その割合は、約2割です。これからは残り8割の方々にも納得してもらえるような行動が求められます。いわき市は、大震災からの復興だけでなく原発事故の対応等で、いまでも平常時でなく非常時といえます。迅速な行動とともに、説明できる行動、市外からの目も意識した行動が求められてくるはずです。市長職は、式典や儀礼等の職務もあり、政策だけに取り組むことは事実上できません。したがって政策補助を担当するブレーンが必要なのですが、現市長は政策担当ブレーンを市役所内の特定幹部に求めていました。一般的な話ですが、2-3年単位の人事ローテーションがあり、かつ人事評価は減点主義といわれる公務員の行動インセンティブとして、短期で達成不可能な長期ビジョンよりも、1年で達成可能な目標を設定しがちといわれています。確かに1年でこれだけできたという説明は、心地いいものです。清水敏男氏の掲げる政策は、必ずしも短期で実行できるものばかりではないので、新経営者として、市役所内職員をどのように方向付けすることができるかが、ポイントかもしれません。なお、市長の初登庁は今月9月末で、それまでは現市長が役職を務めます。 

ドッグラン2

過日、関越自動車道併設のドッグランを見て来ましたが、新東名高速道路にもドッグランが併設されていましたので、見て来ました。新東名は、もっとも新しい路線のひとつなので、路肩の幅やトンネルの照明等に工夫があり、走りやすい(疲れにくい)高速道路と感じました。また、新しくサービスエリアも建設されたため、設備が新しいということを差し引いても、味にこだわりを持った、もしくは地元色を前面に押し出した魅力的な飲食テナントを入れています。

<高速道路併設のドッグランについては、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/27494125.html 
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関越のドッグランは後付けのため、建物からかなり離れた位置にありましたが、こちらは建物のすぐ裏手にあります。犬の散歩のために、車がびゅんびゅん走る駐車場内を移動しなくてよいので、便利です。
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小型犬・大型犬が10頭近く遊んでいましたが、20m×30mくらいの広さがあるため、まったく混み合っている風ではありません。サービスエリア内では当然、ノーリード禁止ですが、このドッグラン内はノーリードが認められているため、高速道路での移動中に車内でおとなしくさせられていた犬が、運動不足解消のため走り回っていました。かなりの人気です。
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注意書きはありますが、至極当然のことだけです。あえて細かくルールで縛らないだけに、飼い主の主体的な行動が求められると思います。
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ドッグラン内には、無料んの犬の水飲み場も置かれていました。
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おしっこポールが置かれ、周りを砂利で敷き詰めています。犬もおしっこするときには、目印となるポールが必要であろうとは、愛犬家ならでは発想でしょうか。
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ときわ会 常磐病院

ときわ会が運営する、常磐病院を訪問しました。常磐病院のルーツは、湯本町国民健康保険組合の診療所に遡りますが、平成23年に市営病院の赤字経営脱却を目処に、いわき市からときわ会へ譲渡されました。ときわ会グループは、人工透析と泌尿器疾患を中心に診療する医療グループで、財団法人ときわ会、医療法人社団ときわ会、学校法人志向学園から構成され、1つの病院と6つの診療所、2つの介護老人保健施設、1つの幼稚園からなっています。母体となるいわき泌尿器科が中心となり、竹林病院、市立常磐病院が手を組み、現在の形となっています。常磐病院は、譲渡後にときわ会によって、既存建物の耐震工事及びPETセンター・透析センター棟が新築されています。

ときわ会が全国的に有名となったのは、震災時の水不足により、市内で透析ができなくなったとき、(官に頼らず)自らの全国的な人的ネットワークで、1,000名近い透析患者を東京や千葉、新潟へ避難・搬送させ、患者から大感謝されたことです。また福島県では唯一、ダヴィンチという内視鏡によるロボット手術を導入し、同じく福島県内の私立病院として唯一、PET-CTによるがん検査ができる病院でもあります。

<当時の新聞記事は、コチラ>
http://goo.gl/CezBQO

病院経営陣が勤務するドクターや医療スタッフから非常に高い評価を得ているということ、いろいろな新しい取組みをされているというお話を複数の方から伺っていましたので、その内情を事務局長の神原氏にお話いただくべくお邪魔しました。

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外来病棟・療養病棟は、旧市立常磐病院の建物を改装してそのまま使用していますが、新築されたPET・透析センターは、古い建物を取り壊した上で新築されています。
<データ>
一般床120、療養床120、透析床136(一部、休床あり)
常勤医師:25名
診療科:一般内科・腎臓内科・婦人科・外科・整形外科・泌尿器科・小児科・放射線科
緊急医療:病院郡輪番制度の二次救急医療機関
看護師:日勤と夜勤の2交代制

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透析中の様子です。1フロア50人、合計100人が同時に人工透析を受けることができます。通常、血液中に溜まった老廃物を腎臓がろ過し、体外へ排出するのですが、透析患者はその腎臓の機能が有効に働かないため、老廃物を人工的に取り除くという人工透析を1回4時間、週3回を受診しなければ、生命の維持できなくなる方々です。いわき市内には、人工透析患者は1,000人おり、そのうち約700人を、ときわ会が引受けています。透析患者の中には、フルタイムで働いている方もおり、その要望から、透析時間は午前、午後のほか、夜間(17:00-22:00)のく3クールが設定されています。

使用されている機器は、最新の全自動透析装置が使用され、自動脱・急速補液・自動返血ができるので、医師・スタッフの工数軽減が図れ、その分患者に向き合う時間ができるそうです。患者はそれぞれベッドに横たわり、ドクターが回診していました。

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これが医療ロボットda Vinci (ダヴィンチ)です。内視鏡を併用する手術用ロボットで、おなかの6カ所しか穴を開けず、大きく切らないため、患者への負担が軽いとされています。本体価格が3億円程度と高額なため、国内ではまだ100あまりの病院だけにしか導入されていません(県内の病院では初導入、現在でも浜通りではここだけ)。先進医療としての認可申請はされているものの、医療費は健康保険の対象ではないので、原則として高額の自費診療になります。2012年から前立腺ガンの手術のみ保険が適用されており、常磐病院でも87例の手術実績があるそうです。

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PET-CT機器は2管球CT256発というもので、短時間でより幅広い撮影範囲が出来る機械だそうです(浜通りではここだけ)。そうはいっても薬液服用時間等の待ち時間があるので、1日8人がmaxだそうです。

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PETで撮影した画像は、東京女子医大にデータ転送され、所属するがん専門医によって画像診断(読診というらしい)されます。実はPET診断は、これが肝なんです。画像撮影自体は高額な機器と放射線スタッフがいれば物理的に可能ですが、その画像を見て、どこにガンの可能性があるかは医師のがん経験値が必要です。それをデータ転送という形で、いわきにいながら、ガン経験豊富な医師に診てもらえるというは大きなメリットです。

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乳幼児は測定機器に拒否反応を示すことが多いですが、彼らに協力してもらうため、いろいろな仕掛けがありました。壁にアンパンマンの絵があったり、本が置かれていたり。特筆は、ガチャガチャです。いろいろなかわいい消しゴムが入っているのですが、検査に協力しれくれたこどもに1回分のメダルをあげるという仕掛けです。併設の幼稚園経営者の発想と唸りました。

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ドクターに対する扱いは、最大級のおもてなしといって良いと思います。日勤されるすべてのドクターには、少しでも精神的な疲れをとってもらうべく、すべてのドクターに対して個室が用意されています。これは東京から平日毎日東京からスーパーひたちの始発で往診に来られるドクターも例外ではありません。この来て頂いてありがたいというドクターに対する感謝の念は、多くのドクターが感じ入るそうです。

通常、医局(医師が待機したり、打合せする場所)は共用スペースのみで、ドクターは終日誰かの目に触れ、自分ひとりの時間が作れません。また一日に複数の手術をこなすドクターもいますので、精神的な疲れも相当になります。当直明けに診療が続くこともあり、昼休み等のちょっとした仮眠を自室でとれることができれば、大きな疲労回復ができます。これは他の病院では見られない、ときわ会ならではのドクター重視の姿勢の現れでしょう。

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常磐病院の常勤ドクターは、決まったお部屋となるため、それぞれの医学書や私物等の持ち込み可能で、診療時間の合間や当直の間等をここで、有意義かつ自由に過ごしていただくことになります。

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個室内には宿泊可能なベッドだけでなく、専用のバストイレも室内に新設されています。月曜に東京の自宅から来て、金曜に東京に帰るという生活をしている常勤医にとって、ビジネスホテル並みの快適な個室が用意されていることは、病院選びの大きなアドバンテージになっているでしょう。

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職員に対する職場環境作りにも感心させられました。病院内に託児所が設けられ、スタッフは自分の子どもを安心してここに預けて、勤務に専念することができます。他の病院でも託児所を設けているところもありますが、ここの特徴は24時間オープンしていることと、ときわ会が運営する金谷保育園があることです。3才以上の子どもは、朝常磐病院に来て、そこから保育園の送迎バスで、金谷幼稚園に通園していきます(金谷幼稚園は、キティちゃんバスで有名)。夕方は同じく送迎バスで常磐病院に帰ってきて、職員が勤務終了後に託児所に子どもを引き取りにくるシステムです。(病院なので当然ですが)看護師も常駐し、スタッフは安心して勤務に集中することができ、勤務以外の時間を濃密に子どもと接することができるようになったそうです。現在、職員400名ですが、保育室定員数は36名で登録園児が50名です。

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1フロア全部が、託児所のために使われています。保育士の資格を持った方が、15名以上常駐しています。訪れたときは3才以上の子は幼稚園に行っている時間帯でしたので、3才未満の子、約10名が保育士さんと遊んでいました。

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「ときわの湯」も特筆すべきでしょう。これは天然温泉を利用したドクター・職員専用の温浴施設です。勤務後に疲れた体をほぐしてもらおうと用意しているものです。夜勤明けの看護師や当直中のドクターに好評なだけでなく、上記保育所で預かったもらった子ども達と、日勤明け後の夕方にいっしょにお風呂に入ってから帰宅するという使い方もあるそうで、職員のワークライフバランス向上に寄与しています。ここでも職員の職場環境重視の姿勢(単なる給与や勤務時間数等の待遇だけでなく)が現れています。

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職員師弟の教育にも力を入れています。もともとは東京在住のドクター招致のために、師弟のよりよい学習環境を提供しよう考えたのがきっかけで、この夏休みに「ときわ塾」と称して、夏休みの1ヶ月に職員の師弟、小学校1-6年生約20名に声をかけ、病院内で勉強を教えたり、課外学習と称してスポーツをしたり、はたまた埴輪作りやかまぼこ作り体験をしました。教員免許を持つ職員がアレンジしたものの、東京からボランティアで東大生数名がお手伝いしてくれたこともあり、大成功だったそうです。現在は、学期中の夕方にも、お子さんをお預かりして勉強をみてあげることを始めています。

身近に接したことで、東大生に対し変な心のハードルを持たないことは彼らの将来に大きくプラスになると思います。この中から、勉学に励む子どもが育つであろうし、その中の何人かは医療関係に進学するかもしれないことを期待しています。要は裾野を広げていくことにより、より優秀な若者となり、鮭が生まれた川へ帰ってくるように、いわきに医療関係者として帰ってくることを期待しています。これには10年単位のタイムスパンがかかりますが、それは覚悟の上でやっているそうです。神原事務長と話していて、何度もこどもの教育が一番とおっしゃっていたことが印象的でした。私もそれに賛同します。

先日、いわき医療未来会議で、いわきの医療をよくするために何を始めたらよいか議論したところ、こどもたちの職業体験が案として上がっていました。医療の現場をこどもたちに見てもらうことによって、職業に対する具体的なイメージがつき、将来の進路の大きな目安になると考えるからです。また具体的な職業を目指すことにより、学業に向き合う積極的な意味があると考えるからです。まさに神原事務局長は、この職業体験をときわ会内でやろうと考えており、まずは職員師弟を対象にはじめると考えていらっしゃいました。将来的には対外的にも門戸を広げたいとの考えもあるようなので、ぜひ一緒にやらせていただきたいと思いました。

<いわき医療未来会議は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/31104525.html

ときわ会医師診療の心得10箇条が、掲示されていました。日本医師会で出されているものに準じた形で平易な言葉で書かれていますが、患者重視・職員重視が具体的に現れています。社是というと、誰に向けて書かれたものかわからない、難しい漢字等で戒めるものが多いなか、とても好感を持ちました。

常磐病院の譲渡時においては、建物の無償譲渡及び5年間の市有地無償貸与に加え、8.8億円の常磐病院継承開設費補助金が、ときわ会に対して支出されました。当時の詳細な経緯やその諾否は分りませんが、その後の追加設備投資及び運営は、うまくいっているようです。

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※写真掲載は許可をいただいております。
※ときわ塾については、講師として参加された東京大学の学生が書いた記事が医療ガバナンス学会発行のMRICのメルマガがありましたので、以下にそのまま転載します。

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いわき、ときわ塾を訪れて

東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻
修士課程一年
前橋 佑樹

2013年9月12日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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●「いわきの子供たちに勉強を教えてくれませんか?」
そうときわ会事務局長、神原章僚さんに言われたのは、今年の三月の事でした。当時私は友人と一緒に、東京で親交のある競輪選手の古川功二選手の応援に、福島県いわき市を訪れていました。そこで開かれた宴会の席での話だったのですが、その時は、分かりました、考えておきます、と深く考えずに返事をしてしまいました。しかしその後あっという間に話は進み、七月には「「魁!ときわ塾」をやろうと思います。小学生が20名ほど参加予定です。」と、受け入れ体制が整った旨のメールをいただきました。私は、東大剣道部の後輩の小田紘之君(東大工学部四年)と、その研究室の先輩の太田耕右君(東大大学院工学系研究科一年)と一緒に八月の六日から九日まで再びいわきに行くことになりました。

●ときわ会
ときわ塾を主催するときわ会グループは、いわき市を中心に、人工透析と泌尿器疾患を中心に診療する医療グループです。一方で、介護老人保健施設や幼稚園を持つなど、医療のみに限らない活動をしています。私がときわ会を知ったのは、東日本大震災のとき、大学の先輩がいわき市の透析患者の搬送を協力した縁からでした。三月にいわきを訪れたときにご紹介いただき、いわき市内の津波被害のあった沿岸部を案内していただきました。その際、震災から2年経った当時でも残ったままのガレキや、津波にさらわれた家の残骸など、震災の爪痕を目の当たりにし、自分に何が出来るだろうと考えたことがこの度いわきに再び行こうと思ったきっかけの一つでした。

●ときわ塾
ときわ塾は、いわき泌尿器科内の部屋を借りて行われました。小学生低学年10名、高学年9名を対象に、朝8時から夕方5時頃まで速算や読書、学校の宿題、外国人講師を招いての英会話などの勉強が行われ、テニスやボードゲームなどのレクリエーションも行われます。その他、戦争についてのお話や、座禅、新地高校の高村泰広先生による宇宙についての講義など、いわゆる塾というイメージによらない様々な活動が行われました。我々が赴いたときはちょうどお昼時で、子供たちと給食を一緒に食べることになりました。初めての出会いにも関わらず、ときわ塾の瀬谷知之先生から「東大の先生が来てくれました!」と紹介を受けると、子供たちはどんどん質問してきます。「先生好きな食べ物なんですか?」「先生ギリシャ数字知ってますか?」(なんと子供たちはモノからデカまで全部言えた。)「彼女いますか?」など、大人だったら初対面の人にまず聞けないようなことまで平気で突っ込んできます。普段小学生と接する機会のない私にはそれだけで十分新鮮であり、あっという間にいわきの子供たちに親しみを感じるようになりました。
はじめ、我々の仕事は子供たちに勉強を教えることと考えていたのですが、神原さん、瀬谷先生に、「子供たちと本気で接して、話してほしい」と言われ、考えを少し変えました。子供たちと同様に、全力で速算、速読に取り組む。7日の午後には体育館で紙飛行機を飛ばしたのですが、全力で取り組んだ結果、見事に子供に負けてしまいました。子供たちは我々に勝つと本気で喜びます。我々が出来ることは微々たるもので、何を伝えられるのか分からなかったのですが、子供たちの喜ぶ姿を見て、少しでも役に立てたのかな、と感じることが出来ました。
最終日、瀬谷先生の計らいで、1時間ほど子供たちから質問を受け付ける時間をいただき、その中で、「どうやったら東大に行けますか?」と質問されました。そもそも小学生が大学のことを考えているのが私は驚きだったのですが、出来るだけ正直に、「目標を持って、楽しく勉強して下さい。」と答えました。抽象的な答えになってしまい、どこまで伝わったか分かりませんが、将来一人でも多くの人が、自分の目指すところに行ってくれればと思い、いわきを後にしました。

●現場からの復興
私はこの春から東大大学院工学系研究科の原子力国際専攻に進学しました。この専攻に進学しようと決めたのは震災から1年と少し経った去年の6月ごろ、報道される情報が正しいのか間違っているのか、自分の周りは安全なのか安全でないのか分からず、自分で考えられるようになりたいと考えたのがきっかけでした。しかし、いざ進学して勉強してもわからないことだらけ、原発再稼働はいいのか悪いのか、最近だと汚染水の海洋への流出などは大丈夫なのか、中々答えを出すことは出来ません。ですが、今回福島へ行って子供たちとふれ合い、復興という観点から何をすべきなのかが少し見えた気がしました。
福島の復興というと、原発事故の収束や、立ち入り禁止区域の除染などの印象が先行しますが、一方で人材育成、教育も非常に大事なことだと思います。子供の成長できない土地に未来はないからです。被災地の教育というと、人材がいなくなり、苦慮するイメージがありますが、必ずしもそうではありません。例えば、福島県立相馬高校は震災以後、外部の講師を招き、継続的に指導いただくことで、大学合格実績を飛躍的に伸ばし、今年は遂に東大合格者を出しました。この時に主体となって外部講師に働きかけたのが、震災当時相馬高校に勤められていた前述の高村泰広先生です。地域の教員が外部の方とうまく交流し、被災地の教育レベルを上げた例だと言えます。いわきのときわ塾も同様で、地域で活躍するときわ会が主体となり、我々の様な県外の人間と協力する事で、小学生たちの教育レベルを引き上げようという取り組みです。大学受験のように結果が明確に出るものではないのですぐに効果が見えるものではありませんが、保護者の方からの評判はよいようで、冬にも開催してほしいという希望が多数出ているとのことです。私に出来ることは、継続していわきに行き、子供たちと接すること、そして新しい仲間を紹介することです。原子力を学ぶ者としては、つい原発再稼働の是非など大きな事ばかり考えてしまいますが、現地に入って自分に出来ることをすることの大事さを気付かされました。

【略歴】
平成  1年 兵庫県三田市に生まれる。
平成  9年 如月剣友会にて剣道を始める。
平成14年 兵庫県私立灘中学校・高等学校に入学。剣道部に所属、主将を務める。
平成21年 東京大学理科一類に入学し、運動会剣道部に入部する。
平成25年 東京大学工学部を卒業し、同大学院工学系研究科原子力国際専攻に入学する。

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ご覧になる環境により、文字化けを起こすことがあります。その際はHPより原稿をご覧いただけますのでご確認ください。
MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp
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配信・解除依頼はホームページ http://medg.jp/mt/ の「お問い合わせ」からご連絡ください。手続きに数日要することがありますので、ご了承ください。
今回の記事は転送歓迎します。その際にはMRICの記事である旨ご紹介いただけましたら幸いです。
MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp
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震災後の土地利用に関する懇談会

本日9/4に「震災後の土地利用に関する懇談会」が、市役所議会棟で開催されました。これは市街化区域と市街化調整区域(以下、調区)の区域区分の指定の見直し(いわゆる、「線引き」の見直し)等について、学識・経済・農業・不動産などの関係者の意見を伺い、今後の取組みに反映させることを目的としたものです。

市内では、双相地区からの避難民23,000人の流入もあり、住宅用地(及び工業用地も)が逼迫しています。そのため供給が需要に追いつかない状態で、家を新築しようにも敷地を買い求めることができない状態が続いています。そのため、原則として家を建てられない市街化調整区域を、市街化区域に編入して宅地化してほしいという要望が開催の背景にあります。

検討テーマは、下記の3つです。
1. 市街化区域内の未利用地の有効活用
2. 市街化調整区域における土地利用
3. 町外コミュニティへの対応

出席者は、以下の方々です。市役所都市建設部長を司会進行役とし、市からの説明は都市建設部の職員が行いました。
・いわき商工会議所 会頭 小野栄重氏
・いわき市農業委員会 会長 鈴木理氏
・福島県宅地建物取引業協会 いわき支部長 佐藤光代氏
・福島県建築士会 いわき支部 岡田かおり氏
・福島工業高等専門学校 建設環境工学科 准教授 斎藤充弘氏
・福島県土木部 都市計画課長 鈴木典弘氏
・福島県企画調整部 生活拠点課 主幹兼副課長 国分守氏
R0020468

<データの確認>
いわき市の総面積:123,135ha
うち、都市計画区域外:85,518ha(69.5%)、都市計画区域:37,617ha(30.5%)
うち、市街化調整区域:27,569ha(73.3%)、市街化区域:10,048ha(26.7%)

都市計画法の定め:
・市街化区域と市街化調整区域との区域区分(線引き)は、無秩序な市街化を防止し、都市の発展を計画的に誘導するため、県が定める都市計画
・概ね5年ごとに実施する都市計画基礎調査の結果等に基づき、見直しを行う
・市街化区域とは、計画的に市街化を図る区域であり、市街化調整区域とは、原則的に市街化を抑制する区域

いわき市の場合、当初指定が昭和45年で、以後5回の変更を経て現在に至っています。最後の5回目が平成16年であり、本来であれば見直しがあってしかるべきタイミングですが、大震災等により、線引き見直しが中断しています。
R0020466

以下、私のメモをもとに発言内容の抄録です。なお正確ではありませんので、正式には市の公表資料をご参照下さい。
全体討議
(小野)避難されている12町村23,731人、うち町外コミュニティ希望の4町で12,931人が、いわき市に流入している。これからさらにいわき市への引っ越しを希望されている方がいることを考えると、いわき市の将来人口は増加するという前提で、都市計画があるべき
(斎藤)生活環境や交通インフラ等の整備は、長期的視点での都市計画として取り扱うべき
(小野)双相地区住民は、喜んで市内に受入れるべき。逆の立場だったらどうか考えれば自明だ。住民同士のあつれきや、市民の住宅取得困難、医療サービスの低下はあっても、長期的ビジョンを持ち解決することは可能だ。現在は平時でなく、非常事態である。震災で亡くなった英霊達に報いるためにも、線引き見直しにあたって再生のモデル都市となるような姿勢で取り組まなくてはならない
(鈴木(農))市街化区域内の農地から宅地への転用許可申請が150件を超えた。
(佐藤)住宅取得希望者に対し、供給が全く追いつかない。現存空屋だけでなく取壊予定の家屋も直して住んでいる。これでも対応しきれず、いわき市外に流出してしまった方もいる。
(岡田)平成23年度の建築確認件数は1,200件、平成24年度は2,000件で5割増しだ。ここでも住民票を移さない相双地区の方がおり、市民とのあつれきを生んでいる。受入れるのは大前提だが、市民の声も聞いて欲しい
(国分)県としては閉鎖された仮の街を造る計画はない。県の整備する災害公営住宅は分散型を想定している。
(鈴木(県))市街化区域内の未利用地の有効活用を優先することを考えている。

テーマ1. 市街化区域内の未利用地の有効活用
(執行部)市街化区域内の未利用地が発生する要因としては、都市インフラ未整備や所有者の営農希望、現況が山林である等がある。市道は幹線の整備が優先されるので、必ずしも市街化区域全域まで行き渡っていない
(佐藤)行き止まり道路の買い上げ等を検討してほしい
(執行部)市街化区域内の未利用地が発生する要因を、地区ごとに調査する必要がある
(斎藤)保全すべき農地は、地域にとっての財産という見方もある
(鈴木)農地・山林開発にあたり、自前でのインフラ整備負担は重いので、未開発になっているところがある

テーマ2. 市街化調整区域における土地利用
(執行部)平成18年の都市計画法の改正によって、以前は認められていた調整区域内での大規模宅地開発が原則として認められなくなった
(小野)現在は非常事態なのだから、双相地区からの避難民の住宅需要に対し、調整区域を市街化区域に編入して、宅地供給すべき。北茨城・双相を入れれば40万人都市構想も見えてくる。市街化区域内の未利用地の有効活用と、調整区域の線引き見直しは同レベルで議論すべき
(佐藤)使い勝手の悪い市街化区域から調整区域への線引き見直しがあってよい。また市街化区域隣接の調整区域は、市街地として形成すべきであれば市街化区域に線引き見直しすべき
(鈴木(農))農地保全は守るが、この非常時においては総合判断すべきだ。個人的意見だが、鹿島街道沿いの市街化調整区域農地は、一定のインフラが整備されており、利活用・開発すべきではないか
(岡田)草木台や若葉台はすでにインフラ整備済みであり、公共下水に接続されているところもあるが、なぜか調整区域のままだ。どうして市街化区域に線引き見直ししないのか
(執行部)市街化区域の編入については、面積要件や市街地隣接要件等があって、これまでやってこなかったが、見直しも検討する
(鈴木(農))集落接続農地は、一般住宅敷地として転用を認める方針と聞いている。これからは農業委員会と都市計画課との密接な連携が必要だ。ただ農業者年金は、農地を手放すと支給停止になってしまう仕組みになっており、特例等の対応が必要
(鈴木(県))以前は、調整区域の開発許可基準に郊外型住宅団地があったが、現在は要件が厳格になり認められない。ただ調整区域内でも地区計画制度を活用すれば、住宅開発は可能。それが過疎地での人口誘導やまちづくり計画の手法として利用できる

テーマ3. 町外コミュニティへの対応
(国分)県施行の災害公営住宅は県全体で3,700戸、いわき市に1,800戸を建設予定。小名浜神白200戸、常磐桜が丘50戸を先行して整備する。受け入れ市の都市計画に影響を与えないよう配慮し、現在は市街化区域内の未利用地に限定しているが、まとまった土地は稀少なため、もし調整区域にも建設できるとありがたい。現在の計画戸数は、避難者からのアンケートに基づいて算定しているが、今後いわき市への入居希望者は増える可能性が高い
(斎藤)分散型といっても、インフラが整備されているところでなくてはならない。例えば、震災事業の土地区画整理事業地区内の宅地も候補地とすべき
(小野)いわき市への移住希望者が増えれば、現在予定されている集合住宅のみでは不足する。線引きの見直しは、市と県が一緒になってやらねばならない。国の出先機関が建設されれば、住宅はそれに付随して必要になる。第2つくば構想として、市・県・国の3位一体となって40年後見据えたモデル都市づくりを制度設計してほしい。
(鈴木(農))優良農地の確保が、農業委員会の役割である。住宅建設は、市街化区域内の未利用地+市街化区域隣接の調整区域を優先して欲しい。現在の仮設住宅周辺も、避難民にとって住み慣れた環境なので候補となるのではないか
(佐藤)避難民のアンケート実施から、日々環境は変化している。医療や職業に困っている人達が存在するが、それぞれ新しい生活に向き合っている。そういう人達が諦めて市外に出て行ってしまわないようにしてほしい
(岡田)豊間のワークショップに参加したが、若者世帯の参加は少なく、ほとんどが高齢者世帯だった。内郷の雇用促進住宅等に住んでいる若者世帯は、病院・道路・買い物の利便性を享受してしまった以上、豊間に戻りたがらない。高齢者が豊間に建設される災害公営住宅に入居できたとして、その後亡くなったら誰が住むのだろうか。また住民のほとんどが集合住宅に住んだことがなく、駐車スペースの制限や壁からの生活音がとても気になる。
(鈴木(県))市街化区域隣接状態やインフラの整備状況も踏まえて、総合的に線引きの見直しを行う
(国分)双相4町といわき市とで、公営住宅や住宅政策のあり方について意見すりあわせしていきたい。コミュニティ復活交付金は、ハード事業(周辺道路の改良や上下水道の基盤整備)もソフト事業(地域交流)も使える。小名浜下神白では、県道・市道の改良工事や地域集会所等を整備予定だ

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当初予定していた2時間を超過しての懇談会となりました。懇談会の形はとっていますが、線引きの見直しの担当部局である、福島県及び市の都市計画課を交えての意見交換は、非常に意義のあることだと思います。総じていえば、平成27年度を目処に市街化調整区域の見直し(市街化区域の拡大)は避けられない、と思います。双相地区住民を受入れる以上、すべて取り込んで、復興の再生モデル都市になるという意気込みでなければ、震災で亡くなった方に申し訳が立ちませんし、藻谷浩介氏からいわきへの提案もそのことを指しています。

<藻谷浩介氏からいわきへの提案は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/30993813.html

当日は、NHK、福島テレビ、テレビユー福島、福島中央テレビの4社のカメラが入り、関心の高さを感じました。一方、(意外にも)傍聴者は約20名だけで、市議会議員の傍聴者は私と狩野議員のみでした。 

いわきの緊急医療の現状

いわきの緊急医療体制が崩壊の危機に面している、といわれています。その理由は、救急病院の受入体制の不備、平たくいえば、救急車を呼んでも病院に到着するまで一時間以上も待たされるケースがあるということです。緊急医療現場の医師・医療スタッフの献身的な努力(長時間勤務も含めて)にもかかわらず、事実としてうまく回っていないのは、その仕組み・構造にあります。

まず現状分析です。救急病院は、救急度に応じて第1次、第2次、 第3次救急病院の区分があり、第3次は緊急手術を要する患者が搬送される病院です。いわき市は第2次に大きめの病院が指定され、第3次救急病院は、磐城総合共立病院ひとつだけです。統計によると、119番通報から救急車が現場到着までに要する時間は、市内平均で約10分。そしてそこから救急病院まで搬送されるのに、約30分かかっています。その差は患者を受入れてくれる救急病院を、救急車内から電話をかけ続けて探しているロスタイムです。ロスタイムが発生する要因には、受入れ先の病院で、当直医師の専門が必ずしも患者の症例に合っていないケースや、そもそも当直医師が出払っているケース、空きベッドがないケース等の理由で、救急患者を受入れられない場合があります。ただ問題は、それが頻発し、いわゆるたらい回しになることが多く、どこにも受入れ先がなく、、一時間以上も路上で停車し、電話をかけまくっている救急車を目撃した方も多いのではないでしょうか。

そういった事態が起きてしまう底流には、いわき市内の病院勤務医が不足しているという事実があります。全国平均では、人口10万人に対し140人の勤務医が配置されているのですが、いわき市においては283名の勤務医が在籍し、人口10万人に対し90人に足りません。全国平均に比べると、いわき市は単純計算で約200人の勤務医が不足していることになります。傾向をよく見ると、2000年には400名近かった勤務医師数が、年々流出し、2010年には300名を下回っています。勤務医不足は今に始まったことではないので、この10年間で100名近くの勤務医減少に対する諸施策は、失敗だったと反省せざるをえません。

さらに大震災を機に、双相地区の住民流入により、医療リソースがそちらへさかれ、さらなる医療サービス低下を招いているというのが現状です。
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これまで、勤務医不足に対して施策を打ってこなかったわけではなく、それらの施策が有効に機能してこなかったためと思われます。
・磐城出身の医大通学者に対する奨学金制度:当初貸与であるが、一定期間共立病院に勤務すると返済免除になるという制度。ただ、手続きが煩雑な割に月額貸与金額に魅力が少なく、利用者が少ない。
・勤務医サーチ担当者配置:配置人数が過少で、かつ大きな決裁権限が与えられているわけではないので、今のところ目だった大きな成果は上げられていない。
・大学への寄付講座:医大から医局員をいわきへ回してもらう代わりに、大学へ相当な金額を寄付するという制度。予算措置済であるものの、大学側に医局員の余裕がなく、実現していない。
・東北大学大学院との提携講座:この4月に開講予定であったが、担当教授等が決まっていなかったこともあり、学生の応募実績なし。

市の担当者に聞く限り、いくつかの手は打ってきたものの、現状で考えられる手は出し尽くした感があります。新病院建設が切り札との見方もありますが、既知の医師にヒアリングする限りにおいて、医師が病院に魅力を感じ就職する決め手となるのは、医師としてどのように技術的なスキルアップができるかや、研究等に対するフレキシブルな対応、医師に対する感謝の伝え方等だといいます。そこには設備のピカピカ度というのは、回答のトップ10に入っておらず、設備が新しいことに超したことはありませんが、新病院建設により医師が集まると考えるのは、あまりに短絡的というかお気楽な楽観主義(でなければ、確信的なレトリックでしょう)だと思います。

市の施策では「医師確保」という用語がしばしば見られますが、これも上から目線であって対象となる医師個人を軽視しているという見方もできます。すなわち犯人逮捕等に使用される「確保」という用語は、これから三顧の礼で招聘しようとする医師らに対してふさわしくないと考えるからです。

では、どのような対策が有効に機能するか、知人の医師や外部の専門家と一緒に考えてみました。お手軽で即効性のある処方箋はなく(もしあったら、とっくに実施しているはず)、いくつかの施策の組み合わせになると思います。すでに提案済みのものもあるので、後はそれを、どのようにして迅速に実行していくかです。
<短期的>
・浜通り全体の医療体制を維持するためとして、国・東電に対し、数十名単位での勤務医の出向人事ローテーションを組んでもらう
・全国に散っている、いわき出身の医師及びいわきを支援してくれる医師の一本釣りし、受入のためのパッケージを新設
<中期的>
・経営体制を再構築した上で、(医師からみた)病院自体の魅力向上
・医師を目指す高校生に対して、国立医大だけでなく私立医大の選択枝を拡大し、大きな奨学金ファンドを新設
・世界の知恵を借りることで、外国で活躍されている著名な医師を連続招聘し、いわきでしか体験できない医師のスキルアップの機会を用意
<長期的>
・浜通りに放医研・医科大学・医療スタッフ研修機関を、設置・誘致し、いわき出身の医師・医療従事者の裾野を広げる

上記の施策は、当方のいわき夢プランで説明しましたが、いずれも現行法の中では少しだけハードルの高いものもあります。ただ現在は、いわきの緊急医療の正念場。今、スキーム作りができなくでは、今後10年間のいわきの緊急医療の改善は見込めないと思います。現在、いわき市長選挙の真っ最中であり、候補者の中には近い考えの方もいらっしゃるようです。参考にしていただければ幸いです。 
irasuto_2013

<がんばっぺ通信は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/29109446.html

いわきサンシャインマラソン 申し込み開始

本日から、第五回いわきサンシャインマラソンの申し込みが始まりました。来年2/9(日)の開催です。
http://www.iwaki-marathon.jp/

今回はフルマラソンの定員7,000名、その他3,000名と、はじめて合計1万人を突破することになります。昨年度までは参加ランナーに高評価をいただいていましたが(評価ランキングで、全国第3位!)、参加人数が増加することにより、運営が難しくなることも事実ですので、これまでの運営ノウハウを発揮する必要があるでしょう。

私も、昨年は初マラソン参加しましたが、ランナー目線で良い点、改善すべき点等を感じることができました。スタート地点の運営手法や、交通規制のやり方等、改善すべきとこははきちんと認識すべきと思います。これまでも、いろいろなところでお話ししてきましたので、それが今回どのようにとりいれられていったか、注目しています。
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<前回の結果については、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/23383050.html 

いわきサンシャインマラソンは、市外の方の参加は過半であり、同時に沿道に出て応援してくれた多数の方々によって成り立っています。それがいわきの復興活動に力強いエールを送ってくれたとともに、いわき経済に多大な貢献をしてくれたことも事実です。私がその経済効果を試算してみたところ、他のイベントの追随を許さないものでした。そんなイベントにランナーとして参加できたことを嬉しく思いますし、今年もぜひ参加したいと思います。

<いわきサンシャインマラソンの経済効果は、コチラ>
http://www.mikito.biz/archives/24802043.html
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がんが消えた! 及川胤昭 鶴見隆史著

民間療法の匂いがぷんぷんするタイトルですが、知人に勧められて読んでみました。著者のひとりは、名古屋大学大学院卒の理学博士で、マイナス水素イオンの研究をされている方です。マイナス水素イオンついては、まだまだ科学的に解明されていないことが多い分野ですが、水素イオン発生の特許をいくつか取得されている、その道の研究者です。
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著者によると、がん発生の主な要因は、人間の細胞を酸化させる活性酸素の働きであることが分かってきたそうです。がん治療は、手術、抗がん剤、放射線という標準3大治療は対症療法にすぎず、体内の活性酸素を徹底的に除去することこそが、がん発生防止対策(及び対症も)と主張しています。活性酸素の減少に効果を発揮するのが、抗酸化力の強いマイナス水素イオンを体内に摂取することと、同時に酵素とミネラルをふんだんに取り入れて細胞の抗酸化力を高める食餌療法がベストとの結論です。

さらに、マイナス水素イオンを実際に治療に取り入れている現役臨床医師の鶴見隆史氏が、標準医療を行なう医師から見放された転移がん・難治がんが次々と治っていく、複数の実際の症例を紹介しています。マイナス水素イオンが直接の治療効果があることを、直接に証明していくためには、膨大な治験データと科学的証明等が必要なのでしょう。一方、(学術的には、民間療法といわれようとも)現実に治験効果の可能性があるのであれば、そういった証明を必要とまではせず、マイナス水素イオンによる治療をトライしたいと求める患者及び家族も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

実際、著者の主張されている、(マイナス水素イオン摂取以外の)食事療法、すなわち体によいものを食べ(ミネラル)、ストレスをため込まない生活を(森林浴等)し、体によいことをする(適度な運動)、ということは極めて、当たり前 のことです。実践できるところから、自分の身近な生活に取りいれていくという気持ちでいたいですね。
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吉田みきと プロフィール

ふるさとの福島県いわき市で、市議会議員として活動しています。いわき市は、震災後、複層的な問題が山積しています。公認会計士・一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 認定 アンガーマネジメントファリシテーターとしてのキャリアを生かし、フレッシュな視点で問題点を洗い出し、解決策を提案していきます。

ギャラリー
  • 任期満了に伴い、市議会議員の職を卒業
  • 令和2年7月議会 一般質問⑤(医師不足解消)
  • 令和2年7月議会 一般質問④(骨髄バンクドナー)
  • 令和2年7月議会 一般質問③(いわきの先人たちの顕彰)
  • 令和2年7月議会 一般質問②(仮称)磐城平城・城跡公園
  • 令和2年7月議会 一般質問①(いわき七浜海道)
  • 医者が教えるサウナの教科書
  • QVBとは
  • QVBとは
  • QVBとは
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  • 人生が楽になる達人サウナ術
  • 成城学園前駅 空中庭園
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  • 人生を変えるサウナ術 なぜ、一流の経営者はサウナに行くのか?
  • いわき平競輪 場外食堂
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  • 社長が入社式で鉋をかける理由 アキュラホーム宮沢俊哉氏
  • 言ってはいけない中国の真実 橘玲著
  • エクササイズコーチ パーソナルトレーニングジム
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  • 女帝 小池百合子
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