著者の専門は、健康心理学。スタンフォード大学の新進気鋭の心理学者です。心理学、神経科学、医学の最新の研究を応用し、個人の健康や幸せ、成功及び人間関係の工場に役立つ実践的な戦略を、実際の10週の講義で行い、「人生を変える授業」として絶大な人気だそうです。これまで抽象的な概念として見られていた「意志力」について深く、実践的な研究を行い、「意志力」とは何か、コントロールする術はあるのかをわかりやすく説明してくれます。最終的に、受講者の行動を変化させるという臨床まで行う、面倒見の良い先生です(いいっぱなしの学者と、一線を画しています)。各受講生は、なりたい自分になるための身近な目標を設定し、その目標を達成するために、授業で学んだ戦略を次の授業までの1週間、実生活において試すという実験を行うそうです。その結果、自分にとってどの戦略が効果的だったかについて、受講生たちは教室の仲間の前でフィードバックを行う、そして試行錯誤を繰り返しながら、目標を達成し、なりたい自分に一歩近づいていくそうです。
意志力というと、とかく精神論に傾きがちですが、意志力強化と精神論とは無縁であることを、科学的にはっきり示してくれたことが、著書の最大の肝です。意志力を強くするために必要なのは、失敗に対する罪悪感や自己批判でなく、自分に対する思いやりと、自分の心と体の反応を科学者の目で客観的に観察することだと説いています。そして、思考や感情を抑えつけたり、欲求を頭から否定せず、行動をコントロールする、そのために正しいエクササイズをすることを推奨しています。
端的に言えば、心身のバランスをとること。その意味でエクササイズとしてのヨガや瞑想の効用も認めています。自らヨガのセラピーも務め、意志力を鍛える方法のひとつとして、実践されています。机上の研究でなく、自らが行動で示す、という点でファンになりました。
訳本ですが、最新のジョーク(クリントンやオバマも引き合いに出されています)がちりばめられ、平易な言い回し、親しみやすい例示(ひんぱんにマックや、ジュース、ケーキの誘惑が出てきます)が、どんどん読者を引き込んでいきます。それにしても、あまりに美しい容姿!こんな先生なら、さぞかし勉学に身が入るかも(逆かも?)。スタンフォード大学の学生がうらやましい・・・
本人の実際の授業のビデオ(本に書いてあることと全く同じ内容を話しています!)↓↓↓
http://goo.gl/tMY4v