人口流出、街中商店街の空洞化をはじめとする、地方の衰退が著しいです。対策のヒントを探しているそんな中、タイトルに惹かれて書店で購入しました。

<著書の要旨>全国的に、地域再生や地域づくりに名を借りたハコモノ作りへの不満は根強い。こうして作られたハコモノの多くは、当初見込みを大きく下回り、事業として失敗するからだ。経済的な豊かさばかりを追求した結果、本来の目的である地域再生がうまくいっていない。株主利益ばかり追い求めて、社員を蔑ろにする企業が淘汰されるのと似ている。その理由は、顧客視点・住民視点が後まわしになっているからだ。今後は、上からの押しつけの計画でなく、住民からの提案に変わっていくべきだ。

衝撃だったのは、専門家が地域再生の成功事例として称賛する都市の多くが、実は衰退している面があることです。本書では、宇都宮市、松江市、長野市、福島市、岐阜市、富山市の例です。例えば、宇都宮市は餃子の街として全国的に売り出して成功しているように見える一方、その後ろには下記のような死屍累々の失敗もあるとのこと。
・上野百貨店の破綻(2000年)、福田屋百貨店の郊外移転
・西武百貨店の撤退(2002年)
・ロビンソン百貨店の撤退(2003年)
・宇都宮109の撤退(2005年)
・ロフト・アムスの撤退
・フードテーマパーク「宇都宮餃子共和国」は、11か月あまり撤退(2006年)
知名度が高く、人気の109がわずか4年弱で撤退せざるを得なかったのは衝撃。

地域社会の衰退の要因が社会現象(少子高齢化・車社会・商業施設郊外化など)だけであれば、いわゆるコンパクトシティ※、すなわち郊外規制と街中一極集中を同時にすすめることが、処方箋のひとつになるのでしょうが、それだけでは、人気がある百貨店の地方撤退の説明ができません。

大事なのは、顧客視点・住民視点が後まわしになっていないか?ということです。
大型商業施設誘致にしても、空家店舗対策に補助金を出す施策にしても、提供者・供給者側の論理であって、地元の消費者・顧客側からの出てきたニーズ、ボトムアップの事業でないことです。地域づくりの計画や意思決定が、業者や役所の「上から下ろす」現在の仕組みである限り、失敗の構図から抜け出せない。今後、地域づくりの計画は、確かに、消費者が主体となる仕組みに変えていくことが重要なのでしょう。

※コンパクトシティについては、青森市や広島市が成功事例として紹介されることが多いですが、いわき市でフィットするかはどうかと思っています。そもそもコンパクトシティは、人々が集まる強いニーズがあることが前提のはず。高齢者がどうしても徒歩圏で生活のすべてを済ましたいとか、近所の多数の方と緊密におしゃべりしたいというようなニーズが高まってこないと難しいと思っています。いいかえれば現段階では、買い物が車ででき、郊外型の広い住宅に住みたい人々が多ければ、拙速に上から目線で、コンパクトシティを目指す必要性が薄いかもしれません。郊外は不便なので、活気がある街なかに住みたい!という中年層・シルバー層が明示的に増えてきてはじめて、コンパクトシティは議論の俎上にあがるのではないでしょうか。その前提として、街なかに人を引きつける熱気があることと、LRTや循環バス(頻度高く、かつ定時運行)、自走式の大駐車場等の、個人所有車を持つことよりもメリットがある交通インフラを持つことが必須でしょう。
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